早起きのコツは?寝だめは意味ある?【睡眠の疑問7つ】

日本人は睡眠時間が短いうえ睡眠満足度も低く、ステイホームの影響で睡眠リズムが崩れてしまった人も急増しているそう。梅雨明け後の暑い夏の夜、ぐっすり眠って心も体もリフレッシュするために、まずは寝る2時間前からの過ごし方を意識してみましょう。いい眠りに入るには準備が大切。寝る2時間前から体を寝る状態に持っていき、ぐっすりと眠れる環境を整えることで、 眠りの効果を最大限に発揮させましょう。

睡眠について気になること7つ

    A.早く寝ても寝付けないはず、いつもと同じ時間に寝てOK
    「人の眠りは体内時計でコントロールされているので、よほど疲れていなければ普段より早くベッドに入っても、結局いつもと同じくらいの時間までは寝つけないはず。なので、いつもと同じか少し早い程度の時間に就寝するのがいいでしょう。旅行など何か楽しい予定がある日に自然に目が覚めるように、夜寝る前に前向きな気持ちで〝明日は何時に起きよう!〟と強く意識する〝自己覚醒〟を利用すると、目覚める1時間くらい前から体が起きる準備をし始め、意図した時間にしっかり起きられて、眠りの質もいいことがわかっています。翌朝までに仕上げたい仕事がある時も、疲れて思考力が落ちている状態で夜更かしするより、しっかり眠って自己覚醒を使って早起きするほうがおすすめ」

    A.睡眠の〝貯金〟はできませんが寝不足の〝借金返済〟なら可能です
    「休日に長く寝ることで睡眠を〝貯金〟するような効果はありませんが〝睡眠負債〟を返済することは可能。目覚ましをかけず普段と同じ時間に寝て、目が覚めた時間がいつもより2時間以上遅いなら〝睡眠負債〟=寝不足という証拠。〝睡眠負債〟は眠らない限り解消しないので寝て返済する必要があります。理想は平日の睡眠時間+2時間まで、遅くても午前中には起きましょう。昼過ぎまで眠ってしまうと夜の寝付きが悪くなり、体内時計も乱れ体調不良の原因に」

    A.無理に寝ようとしないこと一旦ベッドから離れてリラックスを
    「睡眠はその日の体調に大きく影響を受けるので、たまたま眠れなくなってしまう日もあります。仕事のことを頭の中であれこれ考えていたら、心身が緊張してきて眠れないということも。そんな時は無理に寝ようとせず、一旦ベッドから離れて、照明を落とした部屋で雑誌をパラパラめくったり、音楽を聴いたりして気持ちを落ち着かせて。体内時計が正常に働いていれば、また自然に眠気が訪れます。眠れないからと、スマホを見るのは逆効果なのでやめましょう」

    A.市販の薬は一時的な使用にとどめてクリニックの処方がベターです
    「脳と体の疲れを取るために睡眠は必須なので、眠れない状態が続くよりは薬を上手に使って眠ることを優先するのは大切です。ただ、市販の睡眠改善薬はアレルギー薬の副作用としての眠気を利用したもので、翌朝に眠気やだるさが残ることもあります。市販薬の使用は一時的にとどめて、必要があるなら自分の症状に合ったタイプの睡眠薬を医師に処方してもらいましょう。また、グリシンというアミノ酸が主成分のサプリメントは目覚めがよくなり、安定して眠れるというデータもあるので試してみては」

    A.ショートスリーパーは体質、そうでない人が目指すのは危険です
    「短時間で深い睡眠がとれれば、活動時間も増えて1日が充実するという考えで、短時間睡眠を目指している人がいます。確かに睡眠時間が3~4時間くらいでも自然に目覚めるという人がごく少数ですが存在します。しかし、ショートスリーパーは体質であって、なろうとしてなれるものではなく、そうでない人が短時間睡眠をすると健康をむしばむだけです。普通の人であれば7時間前後の睡眠時間は絶対に必要。自分に必要な睡眠時間を把握することが重要です」

    A.脈拍を測るスマートウォッチやセルフチェックサイトを利用して
    「眠りの深さは脳波で定義されるため、枕元に置いて寝返りなどの体動だけを判断材料にする睡眠アプリの信憑性は低いです。一方、眠りの深さで脈拍が微妙に変わることが研究により指摘されており、Apple WatchやFitbitなど脈拍も同時に測定するタイプのスマートウォッチや、就寝時に装着して脈拍や血中酸素濃度を測定する指輪型センサーなどは参考になります。また、国立精神・神経医療研究センターの『睡眠医療プラットフォーム』というサイトでは、手軽に睡眠セルフチェックができます」

    A.誰でも自然な眠気が起こる時間帯、コーヒー+仮眠を
    「日中、特に眠気を感じやすいのが14~16時。睡眠のリズムの中で自然な眠気が起こる時間帯です。そのタイミングで10分程度仮眠をとるだけでも、脳の疲れは取れます。昼食後、コーヒーを飲んでから仮眠すれば20〜30分でカフェインの覚醒作用が出てくるので、寝すぎることなく目覚められます。ただし、医学的に標準とされる7時間前後の睡眠時間を規則正しくとっているのに強い眠気が生じる場合は、睡眠障害や病気が原因のこともあるので医師に相談を」

教えてくれたのは…中村真樹先生

◆青山・表参道 睡眠ストレスクリニック 院長 中村真樹先生
日本睡眠学会専門医、日本精神神経学会専門医として、豊富な臨床研究と診療経験をもとに睡眠に関する悩みをあらゆる角度から解決。著書に『仕事が冴える眠活法』(三笠書房)港区南青山5-1-22 青山ライズスクエア3階
☎03ー6427ー6062 http://omotesando-sleep.com

イラスト/二階堂ちはる 監修/中村真樹 デザイン/佐藤 潤(STUDIO pas mal) 取材/加藤みれい