モデル・女優、国連WFP日本大使、歌人と、幅広いジャンルで活躍する知花くららさん。さまざまな活動を通じて、自分らしいライフスタイルを確立する知花さんの愛読書とは?
知花くららさん

雑誌ほかテレビ、ラジオなど多方面で活躍中。短歌の師・永田和宏氏との共著『あなたと短歌』や自身の短歌集『はじまりは、恋』を出版。建築を学ぶ大学生でもある。1女の母。
知花くららさんおすすめの一冊

『 建築家なしの建築』B・ルドフスキー/著 渡辺武信/訳 鹿島出版会 ¥2,000
美しい景色に思いをはせて
また旅に出たくなる本
今、建築を学ぶために芸術大学に通っています。そのなかで勉強に行きづまったとき、大学の先生にすすめられて読んだのがこちらの本でした。そこにあったのは、私の故郷である沖縄や、旅のなかで見てきた、たくさんの大好きな景色。それはまさに、私が建築に興味を持ったきっかけでもありました。
建築を学ぶうちに、〝どうして私の考えることは周りの人と全然違うんだろう〞〝どうしてこうも不器用なんだろう〞と戸惑うことがありました。でもこの本を読んで、私のイメージの源泉は、〝これまで旅をしてきたなかで見てきた景色の積層なんだ〞と気づき、考え方に余裕が持てるようになりました。
近代の素晴らしい建築ももちろん美しいもの。でも私にとって美しい建築といえば、土地に根差したマサイ族のお父さんの家や、地面を掘ったアフリカの野趣溢れる教会や、大好きな沖縄の風景のなかにあったりします。そんな美しい情景に思いをはせながら、またいつか旅に出たいと思える本です。
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『 某月某日―永田和宏歌集』永田和宏/著 本阿弥書店 ¥2,700
言葉と向き合う楽しさを知ることができる本
永田和宏先生は、私の短歌の師匠でもあります。先生が以前、「最近はなんだって歌になるんだよ」とおっしゃっていたのがとても興味深かったので、ぜひ読んでみたいと思っていたのがこちらの歌集です。
短歌は、読み手に想像してもらう余白のある詩歌のかたち。その短歌に、日付が入っているというのはとても新鮮。リアルさが伝わり、詠み手の目線がより鮮やかになるように感じます。短歌はハードルが高いと感じる人でも、この本は日記のような感覚で読めてなじみやすいと思います。読むうちに、自分でも短歌をつくってみたくなるかも! 私もいつか、こんなふうに気負うことなく、歌を詠むことができるようになりたいなと思います。
※表示価格は本体価格です。
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じんわりしみる新・愛読書〈有名人編〉【2】優木まおみさん
イラスト/小林 晃 取材・文/田島えり子 構成/Mart編集部
2020年9月号
特集「癒されて、夏」
コラム「ウィズコロナの今こそ!"じんわりしみる"新・愛読書〈有名人編〉」より