【東京アートパトロール】浜町 ティーハウス ニューバランス

下町・日本橋浜町に突如出現したニューバランスのコンセプトストア

 隅田川沿い、清洲橋近くの日本橋エリアの一角にあり、明治座や水天宮からも近い日本橋浜町3丁目界隈。

実家からも近く、兄妹や友達も住んでいるので、度々訪れるのですがこの一角に先日オープンして周辺住民の間でも話題になっているのが「T-HOUSE New Balance」です。

看板もなく、周囲の下町の雰囲気とは全く違うオーラを放っている店舗は、川越にあった炭問屋の築122年の「蔵」の軸組を移築し、その周囲を「新築」の白い壁で覆ったという凝った造り。
1Fはニューバランスの最新のプロダクツや限定商品を展示・販売やインスタレーション等のスペース、2Fは新しいコンセプトを開発するニューバランスのクリエイティブチームのアトリエになっています。
意匠監修と内装設計は、日本ではブルーボトルコーヒーの店舗設計でも知られる建築家の長坂常氏。

店内は大きな吹き抜けがあり、古木と白壁の質感と色のコントラストが迫ってくる独特の雰囲気を持つ空間で、そこに商品がミュージアムピースのように並べられていました。

下町開発の仕掛け人は?

浜町のこのエリアは、他にもパリのステーショナリーブランド「パピエ ティグル」の直営店や、ブルックリンさながらのカフェダイニングを備えたホテル「HAMACHO HOTEL」、古民家をリノベーションした飲食店など、表参道や代官山のような意識高い系物件が、この56年の間で立て続けにオープン。町の雰囲気が変わってきています。

でもどうして、このエリアだけ、こんなにオシャレな店舗が集まっているのでしょうか。それは、自発的に集まったわけではなく。あたり一帯の地主でもある財閥系不動産会社「安田不動産」が開発に携わっているからなのでした。

そこで地元ということもあり気になり、安田不動産の担当の開発事業本部・平田さんと豊田さんに話を伺ってきました。

おふたりよるとこのエリアは、2015年から他地域との差別化を図るため「手しごと」と「緑」のみえる街をテーマにオフィスビルや高層マンションなどの大規模開発(面開発)だけでなく、中小規模開発(点開発)で路面型店舗の誘致を積極的に行なっているとのこと。誘致する店舗は、どこにでもある大規模チェーン店ではなく「街の個性」になるような企業や飲食店を心がけているとのことでした。

このプロジェクト、まだまだ仕掛けが続くようで楽しみです。

そして個人的には、現代美術の若手アーティストと周辺の住民やオフィスワーカーの作品展がランダムに開かれるようなギャラリーのような寄合所のようなスペースができればいいなと期待しています。

 

 

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T-HOUSE New Balance
Photo: Takuya Nagata

「看板もなく、大きな真っ白な壁を持つ店舗。周囲の雑多な雰囲気とは一線を画しています」
●東京都中央区日本橋浜町3-9-2

https://www.instagram.com/p/CBUb3xbJz0M/

 

3
PAPIER TIGRE
「自然光たっぷりのパピエ ティグル。主に扱っているのはノートやカード類などステーショナリー類。
●東京都中央区日本橋浜町3-10-4

https://papiertigre.stores.jp

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Hama House
「カフェやイベントスペース、ブックショップなどの複合施設。20179月オープン」
●東京都中央区日本橋浜町3-10-6
http://hamacho.jp/hamahouse/

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谷や 和(KAZU)
「一軒家を改築したうどん割烹店は、このエリアの再開発の中では2016年オープンした古参。カラスミうどんが名物です」
●東京都中央区日本橋浜町3-2-7
https://www.tg-supply.jp/taniya/shop/

 

6
TOKYO MIDORI LABO.
T-HOUSEと同じ頃にオープンした、緑と農のある持続可能な社会を実現するため、都市におけるグリーンソリューションを創造する研究所MIDORI LABO。建物内にはカフェやオフィスのほかに会員制のシェアファームもオープン予定なんだとか」
●東京都中央区日本橋浜町3-9-5
http://tokyomidorilabo.jp

 

text:安西繁美
女性誌やカタログで主にファッション、食関係、アートの企画を担当する編集・ライター歴四半世紀。流行には程よく流されるタイプで、食いしん坊、ワインと旅行好き。東京日本橋出身、よって下町気質。家族や友人に美大出身が多いのに私は画力ゼロ。描けないけど書けるようになれたらいいなと。