映画『82年生まれ、キム・ジヨン』から考える、 夫婦の呼び方・呼ばれ方 〜家庭内の思い込みから自由になるヒント~
日々の慌しさからインプット機会を取りづらくなっているママに向け、スタートした『VERY Academy』。第2回が10月2日(金) に開催されました。
同タイトルの書籍を本誌で取り上げた際も子育て世代からの反響の大きかった『82年生まれ、キム・ジヨン』の映画をもとに、家庭内や夫婦の思い込みを見直すというテーマに沿ってトーク。実際に子育てに携わりながらも世代も異なる出演者同士、お互いに学び合う時間に……。大充実の収録後の感想をインタビューしました!
メインテーマである夫婦の呼び方・呼ばれ方について牧野さんは「家庭内のジェンダーに気づいてから『主人』をやめて『夫』に変えたものの、知り合いの配偶者の呼び方にはまだ悩む」と告白。
一方、ジェンダーに対して軽やかな考えを持つちゅうちぇるさんは、呼び方に悩む相手の配偶者についても「男だから・女だからは関係なく“パートナー”で統一している」と話題をリード。
田中先生もこれまでの歴史や統計などさまざまなデータを用いて子育て世代の今を紐解きつつ、「今日も出かけにバッグが見当たらず、つい妻に在り処を聞いてしまった。家庭内の中のこまごましたことは女性の仕事という思い込みが僕にもまだある」と反省する姿も。
実際に子育て世代だからこそ、それぞれの家庭や夫婦関係に沿ったリアルな意見が飛び交いました。
社会学者・田中俊之先生
「意見が分かれることもある
価値観の転換期こそ
面と向かって話し合いを」
「45歳の僕がジェンダーロールの問題について話すと、自分自身が出来ていないこともあって自分の発言がブーメランになることも多いのですが、難なくジェンダーの問題をクリアしている20代のりゅうちぇるさんにはそれがない。
ジェネレーションギャップがあるのは社会が変化している証拠なので異なる世代で話を出来たことは有意義でしたし、いよいよ夫婦の呼称について新しい言葉を作る時期なのかな、と思いました。『たかが呼び方』と言葉狩りのように捉えられてしまうこともあると思いますが、それこそフェミニズムの歩みそのもの。どちらが正しいと対立構造を作らずに議論を深めていくことが大事だと思っています。
面と向かって話し合うことで、お互いの理解に影響を及ぼし合うことを「認知的感染」と言います。これが起こると相手の考えを頭ごなしに「おかしい」と思うことはできなくなるのです。と言っても実際には異なる意見を持った人が面と向かって話し合う場を作ることがいちばん難しいですが (笑)。でも、少なくとも家族はいつも顔を合わせるのだから。まずは今回の配信についてでもいいので家族と話してみて欲しい、と思いました」
りゅうちぇるさん
「答えがない時代だからこそ
夫婦で話し合っていくしかない」
「夫婦の呼び方・呼ばれ方に始まってお正月の帰省までいろんな意見に触れて、夫婦関係や子育てって“正解”がない、と思いました。我が家の場合、2歳の子どもを連れて移動するって本当に大変なことで……。
でも、『こうしないといけない』という答えはないはず。思い込みを捨てて、『うちはこうする』という答えを夫婦で話し合って答えを出していくことが一番大切ですよね。コミュニケーションがなによりも大切だと改めて感じました」
VERYモデル・牧野紗弥さん
「2人に影響を受けて
『家族の会話を変えたい』と思いました」
「りゅうちぇるさんはすでに『パートナー』という呼び方も使っていたり話すことすべてが新鮮でした。25歳のりゅうちぇるさんがここまで異なる価値観を持っているのだから我が子たちはどう変わるのだろう、と考えたり……。変化のスピードも違うので想像もできないですね。きっと私の常識は通用しない、その気づき自体が刺激に。
また、夫とジェンダーについて話すと、つい感情的になってしまうのですが、田中先生のお話から、統計など根拠となるデータを用いることでより伝わりやすくなると知ったのも大きな気付き。会話の仕方を変えるきっかけになったし、家族の会話の量をもっと増やしていきたいと思いました。
印象に残ったのはりゅうちぇるさんの『とにかく言葉にして、100話して伝わらないなら1000話してみる』という言葉。言わなくても分かると甘えてしまいやすい家族間で、それだけの覚悟とエネルギーで向き合っていることがすごい。私も1000話すつもりで、夫にも子どもにも、とことん話しかけ続けてみたいと思います」
VERY編集長・今尾朝子
「性別に縛られない
新しい役割分担を作るためにも
家族の話し合いが大事」
「子育て世代といっても幅広いので、りゅうちぇるさんのように若くしてお父さんになった人の意見を聞けたことが楽しかったですね。りゅうちぇるさんが見ている世界の新しさはきっとみなさんも刺激を受けるはず。映画にも励まされたし、りゅうちぇるさんの存在にも希望を感じました。
今後につながる課題だと思ったのは、家族で話し合うことの大切さ。映画のテーマにもなっているジェンダーロール、家庭内の役割が性別によって決まることは見直していかないといけないけれど、役割分担が悪いわけではない。固定概念を取り払った上で家庭内の役割をどう振り分けるか。家族みんなが納得できる形を目指して、それぞれの家庭で話し合って決めていく時代。これまで以上に家族のコミュニケーションが大事だと思いました。」
<衣装協力>
[牧野さん]シャツ¥51,000スカート¥61,000(ともにレジーナ ピョウ/インターナショナルギャラリー ビームス)ピアス¥13,000ネックレス¥13,000リング¥7,000(すべてワンエーアールバイウノアエレ/ウノアエ ジャパン)ブーツ¥82,000(ネブローニ/デミルクス ビームス 新宿)
[今尾さん]ワンピース¥63,000(シー ニューヨーク/ブランドニュース)イヤリング¥380,000リング¥360,000(ともにTASAKI)パンプス¥79,000(ジャンヴィト ロッシ/ジャンヴィト ロッシ ジャパン)
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『82年生まれ、キム・ジヨン』
©2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
■あらすじ
結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。そんな彼女を夫のデヒョンは心配するが、本人は「ちょっと疲れているだけ」と深刻には受け止めない。しかしデヒョンの悩みは深刻だった。妻は、最近まるで他人が乗り移ったような言動をとるのだ。ある日は夫の実家で自身の母親になり文句を言う。「正月くらいジヨンを私の元に帰してくださいよ」。ある日はすでに亡くなっている夫と共通の友人になり、夫にアドバイスをする。「体が楽になっても気持ちが焦る時期よ。お疲れ様って言ってあげて」。ある日は祖母になり母親に語りかける。「ジヨンは大丈夫。お前が強い娘に育てただろう」――その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず、ひとり精神科医に相談に行くが・・・。
10月9日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:クロックワークス
撮影/相澤琢磨 スタイリング/池田 敬 ヘア・メーク/シバタロウ(P-cott) 取材・文/増田奈津子 デザイン/川井 萌 編集/羽城麻子・守本幹生