貫地谷しほりさん「結婚して、良い意味で適当になれました」

子育てに家事と、目まぐるしい忙しさの毎日の中でふと訪れるひとときに、救われたことはありませんか。いつも笑顔で頑張る素敵な人たちにも大切にしている大人時間がありました。今回は、女優の貫地谷しほりさんにお話を伺いました。

 

 

夕方からキッチンに立って
お酒を飲みながら料理スタート

好きなお酒のあてを作って、夫婦でのんびり晩酌するのが、私にとっての大人時間。在宅ワークが増えた夫が仕事をしている横で、少し早めの時間から準備をして、夜が始まっていきます。よく飲むのは焼酎のソーダ割り、おつまみは昆布締めや塩辛がお気に入り。そんなゆるやかな時間が大切だなと感じます。

 

主婦業で一番好きなのは洗濯。一日2回は回しています。洗濯には並々ならぬこだわりがあるので、一緒に洗うものを分類して、シーツやブランケットなどの大物もこまめに洗います。気分まですっきりする感じが好きなのかな。作品に入ると生活が激変して朝も夜もなくなるので、丁寧に洗濯できないのが小さなストレスかもしれませんね(笑)。

 

結婚してよかったのは、
良い意味で適当になれたこと

昨年結婚して、時間の過ごし方はガラッと変わりました。女子会でも遅くまで飲んでいたのが、今は夫の帰宅時間に合わせて帰るし、何より家にいるのが楽しくなりました。結婚してよかったと思うのは、安心感を得られたこと。絶対的な味方がいると思えるのは、精神面ですごく大きいなぁと。仕事への向き合い方も変わって、10代20 代は仕事第一だったけど、今は仕事は人生の一部だと思うようになりました。たとえば出演した映画で、自分が思っているようなお芝居ができなかったら、この世の終わりというくらい落ち込んでいたけど、今は「次、頑張ろう」と思える。良い意味で適当になれた気がします。昔は自分への要求が高くて、考えすぎてお芝居ができなくなった時期もあったんです。でも、私の人生、仕事だけが全てじゃないと思えてからは、めちゃくちゃラクになれました。今は実家も含めて、家族の時間が一番大事なので、そこに何かが起きなければ大丈夫かなって。

 

ニット¥28,000 スカート¥18,000(ともにCLANE/CLANE DESIGN)ネックレス¥90,000(TOMOKO FURUSAWA Jewelry/CPR TOKYO)イヤリング¥8,600(gemma alus)

 

 

よく作るのは魚の昆布締め。難しそうに見えますが、昆布で挟んでおくだけなので実は簡単。晩酌のあてとして、また夫の実家にお邪魔する時にも持っていくと喜んでもらえました。体形をキープするために、基本的に一日一食しか摂らないので、食事や栄養については色々と調べたり、本で勉強したりもしています。

 

『簡単に始める ぬか漬けの教科書』(塩山奈央/世界文化社)

 

私と夫の実家はとても仲が良くて、母の誕生日会を両家でお祝いしたり、夫の帰宅が遅い日は私だけ夫の実家で食事をご馳走になったり。有り難いことに、夫も私の両親と仲良くしてくれて、夫が父を誘って二人でテニスに行くことも。今までは照れくさくてできなかったことを親にしてあげられるようになって、結婚を機に二人ともマメになったのかな。

 

苦手なことも嫌いな役も
楽しめる人でいたい

この先、子どもを持つことについては、そういう時がきたらいいなぁという感じ。絶対に欲しいとも欲しくないとも思わないし、授かりものなので自然に任せようかなと。義母が「いつでも乳母になるわよ」と言ってくれているのはすごく心強いですね。仕事では、苦手なことでも何でも楽しめる人でいたい。自分の嫌いなタイプの役を演じることもあるけど、自分くらいはその役のファンでいてあげなきゃと思うから。あと、リラックスしてない状態では、いいものはできないと思うので、リラックスもとても大事。現場で「用意!」と言われたら緊張は走るけど、自分なりのリラックスの仕方を少しずつ身につけたので、ちょっと力を抜いて、考えすぎずに、どんなことも思いきり楽しんでいきたいですね。

 

●貫地谷しほりさん Shihori Kanjiya
1985年東京都出身。中学生の時にスカウトされ芸能界入り。NHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」での主演をはじめ、多数のドラマ、映画、舞台、CMで活躍中。温かみのある落ち着いた声はナレーションでも人気。

撮影/興村憲彦 ヘア・メーク/SAKURA(まきうらオフィス) スタイリング/mick(Koa Hole inc.) 取材・文/宇野安紀子 編集/城田繭子
*VERY2020年10月号「わたしの、たまには大人時間」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。