【東京アートパトロール】DOUBLE FANTASY John & Yoko
歴史を作ったアイテムが目の前に!
2018年にジョン・レノンの故郷、イギリス・リバプール博物館で開催され、累計70万人を動員したという展覧会「DOUBLE FANTASY John & Yoko」が東京・六本木に巡回中です。
ヨーコが深く関わり、企画されたという内容は盛りだくさんで、時系列にそって二人の出会いから、世界に対して発信したメッセージ、音楽やアート作品、私物衣装など計100点以上が展示されています。
私が改めて惹きつけられたのは、「出会い」とされているコーナー。
1996年11月7日にジョンが友人に誘われ出かけた、ロンドンの画廊「インディカ・ギャラリー」で二人は初めて出会うのですが、このギャラリーの模様が再現されているのです。
当時、前衛芸術に懐疑的だったというジョンが、ヨーコの作品「天井の絵」(脚立を登って、虫眼鏡で天井の絵を見る作品)を見て、天井に小さく〝YES〟と肯定的な言葉あったことにホッとし、温かい気持ちになり二人の距離が近づいたというエピソード。
さらに、「釘を打つための絵」ではオープン前の真っ白なキャンバスに釘を打つためには5シリング硬貨が必要というヨーコに『想像の5シリングを渡すから、想像で釘を打って良いか』と尋ねたことなど。
その後、世界一有名なカップルとなる二人ですが、出会いはピュアでシンプル、そして運命だったのだと知りました。
ジョンとヨーコが出会った1966年インディカ・ギャラリーの再現(「天井の絵」)
Photo by Shintaro Yamanaka(Qsyum!)
東京展の独自展示コーナーでは、1976年にジョンがアメリカのグリーンカードを獲得して、アメリカ国外への旅行が叶い毎年日本を訪れて家族旅行を楽しんでいた頃の写真も。
ジョンがローマ字とイラストで日本語の単語や意味を綴ったスケッチなどからは遊びココロのある人柄を感じられます。
ジョン・レノン 日本語練習スケッチ・ブックより ”AMAI”
©Yoko Ono Lennon
ジョン、ヨーコ、ショーン 1979年 軽井沢にて
Photo by Nishi F. Saimaru ©Yoko Ono
さらにファッション好きとして見逃せないのは、1974年のボブ・グルーエンのポートレートでジョンが着用していたNYCTシャツの実物や、1969年にジブラルタルで結婚した時に着用していた衣装など。
今まで写真で何度も見てきた、あの衣装の現物が目の前にあるのは「ここに歴史あり!」と迫ってくるものがあります。
結婚式のジョンのジャケットは、タグからピエール・カルダンということも伺えました。
1969年ジブラルタルでの結婚時の衣装
photo by Shintaro Yamanaka(Qsyum!)
NEW YORK CITYのTシャツ
photo by Shintaro Yamanaka(Qsyum!)
タイミング良く、ピエール・カルダンの自伝映画『ライフ・イズ・カラフル!未来をデザインする男』も公開中。合わせてチェックすると時代感もリアリティをもって感じられて楽しめます。
Photo by Iain Macmillan ©Yoko Ono
【DATA】
ソニーミュージック六本木ミュージアム
東京都港区六本木 5-6-20
〜2021 年 1 月 11 日(月祝)
[休館日:2020.12.31(木)/ 2021.1.1(金)]
一般当日券 ¥2,600
text:安西繁美
女性誌やカタログで主にファッション、食関係、アートの企画を担当する編集・ライター。流行には程よく流されるタイプで、食いしん坊、ワインと旅行好き。家族や友人に美大出身が多いのに私は画力ゼロ。描けないけど書けるようになれたらいいなと。ジョンは今年で没後40年、ピエール・カルダンは98歳でデザイナー現役、オノ・ヨーコ87歳の活躍はご存知のとおり。色々凄すぎ。私は人生まだまだ若輩者です。