私の好きな二次元男子~『HUNTER×HUNTER』クロロ=ルシルフル~【石井美絵子さん書き下ろしwebエッセイ】

「二次元男子」――それは現実には存在しなくとも、誰かの心をつかんで離さない魅力的なキャラクター。その勢いは漫画やアニメの枠を超え、2.5次元舞台や実写映画などでも話題を呼んでいます。気になるあの人の”推し”への思いを、本人書き下ろしのエッセイとともにお届けします。第三回目は本誌きっての漫画好きで、 ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』に出演したこともある、CLASSY.モデル【石井美絵子さん】の好きな二次元男子をご紹介。

私を支えてくれた男、「クロロ=ルシルフル」

辛いとき、自分を支えてくれる存在はいますか?

私は18歳からモデルの仕事を始めました。最初はなかなか仕事がうまくいかず当時のマネージャーに連日厳しく指導してもらう日々…。オーディション用紙に記入する文章のOKがもらえず、長い時は正午から21時までご飯も食べずぶっ続けで書き続けたりしていました笑。

そこまで気にかけてくださって本当にありがたいことと頭ではわかっていても、時には苦しい気持ちが隠し切れなかった時もあり…。そんな私の精神を支え続けてくれたのが、クロロ=ルシルフルでした。大袈裟だと思われてしまうかもしれないですが本当なんです。

帰宅時間や就寝前は、『HUNTER×HUNTER』の世界でクロロと自由に生きる時間でした。
現実ではありえない世界観、人物、そういう別の世界で自由に生きる、妄想するからこそ現実でも頑張れる…。今思うと、現実世界で深刻になりすぎないために、もう一つの自分の世界が必要だったんだなと思います。

そして、そこにはクロロという魅力的すぎる二次元男子がいました。

書ききれないほど“推し”ポイントが満載

クロロの推しポイントは”幻影旅団”という盗賊の団長としての確固たる信念や、表には出さないけれど実は仲間想いなところ。盗賊なのに荒っぽい雰囲気ではなく本を読むのが好きというギャップ。荒くれ者の団員達をまとめることのできるカリスマ性にもときめかずにはいられません!まだまだ描かれていない部分もとても多いキャラクターなので、その余白を自分なりに想像することも、最高の楽しみの一つです。

自身の生にも死にも執着しないクロロの本当に望むものっていったい何なのでしょう!?と、最終的にいつもその考えに行きつきます。

最も心に残ったのは、仲間を失った時の無言の涙

クロロの魅力を感じる瞬間はたくさんあるのですが、その中でも特にグッと惹かれたシーンを一つ紹介させてください。

仲間の死を知った瞬間、クロロは言葉も発さず静かに涙を流すんです。そこにいるのは血も涙もない極悪非道と恐れられている盗賊の団長ではなく、ただの1人の人間。私たちみんなが持っている感情、大切な人を失ったときに流す涙。このシーンで一気に心を鷲掴みにされ、愛おしさを抱いてしまうのです!

強くて知的でミステリアスなクロロの涙はなんて美しい…。また、その涙や悲しみを他の仲間には決して見せないところがすごく良い…!

漫画の中でなら、どれだけ悪い男に惹かれて骨抜きにされても問題ないですから、もうどんどん色んな方にハマっていただきたいです!!

石井美絵子(いしいみかこ)さん・1990年4月17日生まれ。『CLASSY.』を始め、様々な雑誌でモデルを務めるほか、ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でタキシード仮面やセーラープルートを演じるなど、女優としても活躍。

イラスト/はらだ有彩 構成/CLASSY.ONLINE編集室