夫婦間の【避妊】リアル調査「結婚してからの避妊は必要ない?」

「結婚前はきちんと避妊をしていた夫ですが、結婚したら必要ないよねと、ゴムをつけません」という読者さんの話を聞きました。独身時代の避妊はクローズアップされますが、夫婦になるとうやむやになりがち、語られることが少ないのが現状です。でもママ自身の体やキャリアにも関わる重要なこと。避妊について、そろそろ主体的に考えてみませんか?

 

 

 

▼結婚したら避妊しないのが当然?
パパに「ゴムつけて」が
言えない人もいるみたい

 

「今すぐ欲しいわけじゃないけど、
結婚してからつけないのが習慣。
つけてっていうのも言いづらいです」

以前から夫は2人目が欲しいと言っていて、年齢的にも本当は妊活すべき時だと私自身わかっているのですが、仕事が充実していて。夫の思いをうやむやにはぐらかしていることに罪悪感を抱き、はっきり「今はいらないからつけて」と言うのは、ひどいかなって思うと言えません。(N・Mさん・3歳女の子のママ)

 

「念願の仕事が決まった時。
射精の時だけゴムをつけたけど
破けて妊娠。
以降ピルを飲んでいます」

ゴムをつけるのを嫌がる夫に射精直前だけつけてもらいました。するとゴムが破けていたことが発覚。慌ててアフターピルを飲んだものの妊娠。ずっとやりたかった仕事が決まった直後だったので受け入れ難く号泣し、しばらく夫婦関係も険悪に。それからはピルを飲み、ゴムもしてもらっています。(A・Tさん・3歳女の子・1歳男の子のママ)

 

「半年に1度のセックス。
念願の1回だから、
『ゴムつけて』は嫌がるし、
言えないです」

仕事が忙しかったり、夫も性欲が薄めだったりで、セックスは半年に1回くらい。私にとっては待ってました! の貴重な時間です。夫が嫌がるとわかっているのに「ゴムをつけて」と言ってその1回がなくなるくらいなら……と委ねてしまっています。終了後、夫に促されてシャワーで洗っています。(M・Iさん・6歳男の子・3歳女の子のママ)

 

「復職してすぐだから、
2年は仕事に集中したいものの、
夫はゴムが嫌い。
雰囲気を壊したくなくて
言い出せません」

復職して2年間はキャリアと会社のためにもしっかり働きたい。だからさすがに復職したばかりの今、妊娠するのはマズイと思っているのですが「ゴムつけて」と言うと一気にムードが失われるのが嫌で言えません。せっかくの時間が現実的になってしまうので、膣外射精にしています。(R・Wさん・5歳・1歳男の子のママ)

 

 

▼「コンドームを
買うのはパパ」ですか?

 

「夫がつけるんだから、
夫が買うのが当たり前だと思う」

もともと結婚前の男女の関係を築くなかで、男性がつけるのだからコンドームを用意するのは男、という思いがあります。今はつきあっていた時ほど頻繁にセックスがあるわけではないので、その1回にロマンチックさを求めてしまいます。だから以前と同様にしたい夫が用意してさりげなくつけるのは当然ですよね。(F・Sさん・3歳女の子のママ)

 

「常に子どもと一緒の私が
買うと思うと恥ずかしい」

買物中、子どもが遊んでゴムを触るのも嫌だし、私がゴムを買うなんて恥ずかしいです。気にしすぎかもしれませんが、子どもを連れた私が買うと店員さんに「不倫?」って思われそうで……。やっぱり夫が買うものと思っているので、私がネットでポチるのも抵抗があります。(S・Kさん・2歳男の子のママ)

 

「自分がつけて欲しいから、
自分で用意しています」

コンドームは夫に買って欲しいとかは考えたことはないです。もう2人目はいいと思っているので、妊娠したら困るのは私。だからつけて欲しくてドラッグストアでついでに買うか、ネットでポチっています。「ゴム買ったよ」と言うと夫は自らつけていますよ。(T・Uさん・6歳男の子のママ)

 

 

▼ピル、ミレーナに対する、
パパたちの偏見もあります

 

「生理痛がひどく婦人科で勧められて
ミレーナを入れたら、
夫に不倫を疑われた」

生理の出血量が多く、痛みも辛くて婦人科に相談。まだ妊娠を望んでないと伝えたらミレーナを勧められてその場で入れました。帰宅後、夫にミレーナのことを伝えたら「え、不倫するつもりなの」と言われ、思いもよらない言葉に辛さをわかってくれないことにイラッとしました。(M・Tさん・4歳・1歳男の子のママ)

 

「ピルを飲もうと思って話したら、
夫から大反対されました」

幼稚園受験もあり、まだ妊娠のタイミングではないと思ったので「ピルを飲もうと思う」と夫に言ったら「ピルはやめて」と反対。なぜと聞いてもやめての一点張り。どうやらピルは体のリズムを無理に変えるよくない薬だと誤解していたようで、助産師さんがピルについて語るYouTubeを一緒に見て理解しました。(F・Iさん・3歳男の子のママ)

 

 

■LiLyさんと、ママたちにとっての「主体的な避妊」を考えました

 

妊娠する可能性がある女性の体
避妊のコントロールを手にするのは
女として当たり前

まず、想定外の妊娠って、あるんですよ。40代で希望しなかった3、4人目ができて中絶をし、それがきっかけで離婚したという話も何度か聞きました。妊娠の計画がずれてしまうと家族の人数が増えるどころか減って離婚にまでなることも。さらに体や心に深い傷を負う中絶だってありえるんです。男とは違う、動物として、妊娠出産するのは女。だからこそ避妊に向き合うどころかコントロールを手にするのは女として当たり前のことです。出産・育児の大変さをわかっているのに、夫に「ゴムをつけて」すら言えないなんて、もっと女性としてのプライドを持った方がいい。プライドって本来、大切なものを守るときにこそ持つもの。こういうときに持たないで、どこで持つの? と思う。人生で一番大事なところの妊娠・出産のコントロールは女性がするのは当然ですよね。体と人生のケアはきちんと自分でするもの。自分の体は自分のものだから。

そうなると、夫の方がゴムを買うべきかなんてどっちでもいい話。コンドームはトイレットペーパーと同じ。二人にとって必要なものだから、どちらが買ったっていい。また、〝コンドームを使う=大事にされている〟から夫が買ってつけて欲しいという人もいると聞きましたが、そんな乙女心みたいなことを混同して、夫に委ねるなんて信じられません!

ただ、夫婦で子どもを産むタイミングは話し合っておくことは必要です。「いつ産む?」「復帰して2年は働きたいから3年後かな」「そうしたら今じゃないね、それまで避妊しようね」と日常の中で柔らかく話す。避妊についての徹底的な話し合いはセクシーな会話ではないのでセックスレスに繋がることもありえます。

避妊の方法ですが、女性主体のピルや避妊リングのミレーナという選択肢もあります。そういう避妊方法を誤解している夫の話がありましたが、全てを夫婦で話さなくてもいい。「ピル飲んでもいい?」と夫に許可をもらう必要もない。それは夫への裏切りでもなんでもありません。自分の身体のことなのに〝許可制〟なんて。妻がピルを飲んだりミレーナを入れたりする避妊だけだと、夫は何もしなくてずるいという話もありますが、負担のレベルが違います。私たちの負担は中絶の可能性、育休願い、キャリア中断など重いものばかり。なぜ私ばかり避妊しないといけないの? と思うならその負担を今一度考えてみてください。健やかに生きるために必要なことだと思うから。

◉LiLyさん

作家。1981年生まれ。2006年、作家デビュー後、現代の男と女の気持ちの機微を絶妙に捉えた作品で人気。10歳男の子、8歳の女の子のママ。
@lilylilylilycom

VERYwebにて性教育エッセイ・ノベル「Girl Talk with LiLy」配信中。

撮影/福本和洋 取材・文/立花あゆ 編集/城田繭子

*VERY2020年11月号「『結婚してからの避妊』について考えてみた」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。