猫好きライターが厳選する「猫の本」5選【日本文学編】

コロナ禍での生活制限や、慣れないニューノーマルな生活。ストレスがたまりがちな毎日の中で、私達を癒してくれる猫。ヴィジュアルだけじゃなく、その行動や存在、猫のすべてのが大好きな猫好きにお勧めしたい猫本を紹介。第2回目は、猫が題材の日本文学を、世界で愛されている名作から、猫との世界一周気分を味わえるユニークな1冊まで幅広くピックアップ!

1. 『猫の客』(河出文庫) 著・平出 隆

『猫の客』あらすじ ●主人公は

『猫の客』あらすじ
●主人公は夫婦と隣家で飼われることとなった猫のチビ
●ある日、隣の家から訪ねてくるようになったチビ
●夫婦にとって愛おしい存在になったチビとの別れは突然やってくる

💡ライターのおすすめポイント

海外22カ国で翻訳され、世界で愛される猫文学。主人公の家で飼われるようになった猫が、ある日家に訪ねてくるようになり、愛情が芽生えていきます。ほのぼのと穏やかに過ぎていく毎日での、チビとの交情。猫に興味がなかった主人公が、段々と猫に魅かれていくその描写は愛おしく、淡々と静かに描かれる文章の中に、猫への深い愛情が感じられる作品です。世界で愛される小説なだけあって、味わい深い表現が多いのも、この本の魅力。それにしても、主人公が住む、広々としたお屋敷は、見取り図が欲しくなります。

2. 『旅猫リポート』(講談社文庫) 著・有川 浩

『旅猫リポート』あらすじ ●野

『旅猫リポート』あらすじ
●野良猫ナナとナナを助けてくれたサトル
●一緒に暮らして5年経ったある日、サトルはナナを手放す最後の旅にでる
●ナナを手放なすことを決意した、サトルの秘密とは?

💡ライターのおすすめポイント

一般的には、犬よりも情に薄く、ツンデレ、自分勝手と言われる猫。けれど、犬とは違う猫ならではの愛情表現や、距離感の愛くるしさは、猫好きな人ならわかるはず。この小説では、猫のナナ目線で物語が進み、出会いから最後の旅までで描かれる、独特の猫ならではの視線や、周囲の人間に対しての想いが痛いほど伝わってきます。ほのぼのとした作風は途中から、悲しみと優しさの感情に心が揺さぶられ、涙なくてしては読めませんが、猫とこんな会話ができたら幸せと切ない中にも、温かな気持ちにしてくれます。

3. 『猫ヲ読ム 文筆家・漫画家が綴る、ネコセトラ』(雷鳥社) 編・谷口香織 絵・ホリナルミ

『猫ヲ読ム 文筆家・漫画家が綴

『猫ヲ読ム 文筆家・漫画家が綴る、ネコセトラ』あらすじ
●さまざまな人が綴った、猫と付き合う中で語った猫への想いのエピソード集
●言葉を語るのは、文筆家、評論家、画家、学者、医者、芸人など多彩!
●エピソードを彩るのはホリナルミさんのイラスト

💡ライターのおすすめポイント

寝る前に、ほっこりした気持ちになりたい。そんな時に、手に取る1冊。小説や詩集ではなく、74名の著名人が「猫」への想い、付き合う中で語った言葉を120通りも収められています。「猫ヲ好ム」「猫ヲ知ル」などテーマごとに集められたエピソードは、日常的なものから哲学的なものまでありますが、決まって十人十色な猫への愛情表現が感じられます。猫好きイメージのある方から、意外な方まで、猫への偏愛を語り、カバーからもイメージできるように猫好きの聖地、神社のようなエピソード集です。

4. 『明日はニャンの国? 猫といく冒険 トラネコボンボンの365日 世界一周 猫の旅』(誠文堂新光社) 著・中西なちお

『明日はニャンの国? 猫といく

『明日はニャンの国? 猫といく冒険 トラネコボンボンの365日 世界一周 猫の旅』あらすじ
●著者は旅するレストランとして活動するトラネコボンボン
●1日ごとに、世界の街、名所とその様子がイラストと文で描かれます
●猫と一緒に365日、世界を冒険した気分を味わえる! 大人向けの絵本作品

💡ライターのおすすめポイント

当たり前のように行っていた海外旅行も、去年から続くコロナ禍で叶わないものに。実際に行けなくても、想像の中で、世界一周を楽しめるのが本書。しかも猫と一緒に! 描かれる内容は、その日によって様々。1日、1ページごとに、世界の街や名所のその様子や、出会った猫のことが綴られます。例えば、3月8日はロシアでバター祭り、5月2日ブラジルのマナウスのアマゾン川に。イラスト共に綴られるなかなか体験できないような場所への空想の旅は、正に冒険! ページを追って読まずに、目を瞑って本を開けて、サプライズ的にその地名を楽しむのもお勧めです。独特のピースフルな世界観は、ストレスレスな生活の中でのリフレッシュになるはず。

5. 『猫は抱くもの』(キノブックス) 著・大山淳子

『猫は抱くもの』あらすじ ●ね

『猫は抱くもの』あらすじ
●ねこすて橋という名の橋の周辺で集会をする猫と、人間の物語
●ねこすて橋周辺の猫達が織りなす、5話連作短編集
●人と同じで猫の人生にも山も谷もあるけれど最後には救いがあって温かい

💡ライターのおすすめポイント

2018年に映画化された『猫は抱くもの』の原作は、優しい感情に心が包まれる、著者の考える猫の世界観が魅力的な1冊。ねこすて橋周辺で行われる猫の集会、クリスマスに興味津々の猫、切ない恋愛模様、どれも微笑ましく、油断しているとうっかり泣けてしまう温かな短編集です。連作になっているので、すべての話がつながっている滑らかな文章は読みやすく、久々の読書にもお勧めです。「猫は、抱くもの」そのタイトルに激しく同意しながら、猫を抱いた時のような柔らかく、穏やかな気持ちになれます。

味澤彩子 ビューティを中心にフ

味澤彩子
ビューティを中心にファッションやライフスタイルも担当するCLASSY.ONLINEライター。担当媒体は『STORY』『VERY』など多岐に渡る。根っからの猫好きが高じて女性自身別冊『ねこ自身 2匹目』『ねこ自身 グルーミング』『FNASH ねこ自身』では編集を務める。現在飼っているのは三毛猫の「みー」と「はな」。好きな猫のタイプは「ツンデレ」。猫に関する書籍は25冊所有。

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構成/CLASSY.ONLINE編集室