《30年間ビューティ担当のベストコスメ》【第37回】泡の導入美容液、ポーラの「Red B.Aビギニングエンハンサー」

泡コスメ、使う時にときめきますね。でも「泡」と一言で言っても実はとても奥深いものなのです。最近目につくのは炭酸モノですが、そうではない泡の導入美容液に出合いました。泡仕様にした理由も知見に基づき、その感触と香りで癒されるだけでなく、しっかり肌のエイジングに対応。なによりストレスに対応してくれる今の状況にぴったりなコスメが、2年前に出ていたのがすごいです。

今月の殿堂コスメは、ポーラの「Red B.Aビギニングエンハンサー」

Red B.A ビギニングエンハンサー 70g ¥6,800(ポーラ)。ごわついた肌をほぐして、スキンケアが効く肌にする導入美容液。キメ細かで滑らかな泡によって肌内部のラメラ構造を整え、次に使うスキンケアの浸透をスムーズにする。ストレスホルモンであるコルチゾールの居座り化にアプローチする「シュードアルテロモナス発酵液T」が、潤いやハリを失った肌の活力を取り戻す。多彩な成分配合によって、短期の肌変化と長期のエイジングのどちらにも対応。2018年9月1日発売。

\ここがすごい/

1:肌を老化させるストレスホルモンを抑制したい
2:炭酸ではない泡で、疲れた肌や敏感肌にもブースト
3:ごわついた肌はちゃんとほぐして早めにリセット


ストレスによる〝フリーズ肌〟は早いうちにリセットしたい。独自設計で完成した泡にふんだんな美容成分を入れた導入美容液

 肌にカツを入れたくて炭酸コスメを使ってみたところ、私の肌には刺激が強く、ちょっと残念なことに(涙)。それ以来、炭酸コスメは避けていました。そんなある日、ポーラのデパートカウンターでサンプルを渡されたのが「Red B.A ビギニングエンハンサー」。これは炭酸コスメのようだけど、どうしよう?と思いながらシュワシュワ泡の魅力に抗えず使ってみたら、なんと大丈夫だったんです、驚き!こわばった肌を良い香りのフワフワな泡でやさしくハンドプレスすると、いつもどんよりしている翌朝の肌色がパッと明るくなっていてさらに驚きました。それで調べてみたら、これ炭酸泡じゃないんですよ、3度目の驚き。炭酸じゃないのになぜ泡仕様なのか、なぜこれほどの効果があるのか?そこのところ、追究してみました。

 まずは、泡である理由です。「Red B.A」はストレスや疲れとエイジングの関係に着目したブランド。同じ溶液でもそのまま使うより泡のほうが不快感なくリフレッシュ感を与える、という知見に基づき、やさしい肌あたりと、泡がはじける時に立ち上る香りも良い効果を与えること、使う楽しさなどの理由により、泡で作ることを選択。炭酸の効能も考えましたが、肌が疲れた時や敏感な時にも肌を驚かさずに使えるようにと、炭酸ではない総合的な泡コスメにしました。 泡は〝起泡〟と〝消泡〟で成り立ちます。ガスの種類、ガスの量、ガスの閉じ込め方で出来上がる泡が変わるのです。「ビギニングエンハンサー」はマッサージができるほど厚みのあるもっちりした大きな泡が一気に崩れるようにするために、製剤の中に揮発性ガスを注入する時、〝起泡〟の働きをする水分の中に、〝消泡〟させるためのオイルを入れておく、というすごい技術を使っています。心地いい感触と安定性を保つだけで1年ほどもかかったという独特な泡なのです。

 次に、きっちりと効果を果たせる理由。「ビギニングエンハンサー」は、ごわついた肌をリセットするための導入美容液です。洗顔後の肌は皮脂汚れなどとともに、肌に必要な生体の保湿成分も洗い流してしまうため、一時的に〝疎水的〟(水分が馴染みにくい)な状態になっています。そこで介在役として働くのが「キャッチモイスト成分」。次に使うローションの水滴を広がりやすく馴染みやすくするため、肌とローションの架け橋になり、スキンケアが効く肌にリセットします。次に脂肪代謝促進効果のあるゴールデンカモミール、血行促進効果のあるアケビ茎エキスによってむくみをとりフォルムをリセット。最後に微細な泡が肌の凹凸に密着してほぐし、乾いた後にプレーンな膜を形成して肌質感をリセット。ガスが出て行った後にキュッと引き締まる感触もあります。

 さらに「Red B.A」で語らなくてはいけないのは、「居座りコルチゾール」対策。ストレスや体調、環境の変化によって、日々肌が変わる実感が美ST世代にはあるはず。コルチゾールはストレッサーに反応して増えるホルモンで、血液によって運ばれた場所でストレッサーから守る働きを促進します。しかし守るのを優先するあまり、なんと、表皮細胞の潤いと線維芽細胞のハリを生み出す力を低下させるという弊害が......役目が終わって速やかに代謝されれば問題はないものの、ストレスが長く続くとそのまま居座ってしまうんです。当然、肌は乾燥でごわつき、ハリが失われしぼんだまま。そこで、「Red B.A」シリーズには「シュードアルテロモナス発酵液T」を配合しています。これは、南極の氷と土の境目(氷が溶けたり凍ったりする過酷な場所です)に生存する菌の発酵エキスと、ポーラオリジナルのトウヤクエキスを合わせたもの。リブート、抗酸化、抗炎症、保湿に大きな働きをします。加えて、EGクリアエキスとYACエキスで糖化による肌くすみを解消し、オウレンエキスで表皮細胞の細胞間をつなぐタイトジャンクションを強化して水分蒸散を防ぎ、バリア機能を高めます。そして香り自体にもコルチゾールを減らす効果があるそうなんです。素晴らしい!

 考えてみれば、今の状況はまさに終わらないストレスにさらされていて、肌不調も当然です。もうすでに、心身の疲労で明日の自分の肌状態が変わるのはなぜ?という疑問から生まれたコスメが存在していたなんて。まさに今、出合えて幸せ、としみじみ思います。

\使っています♡/

プッシュするとキメ細かな泡がもっちりとしたひとかたまりになります。私は洗顔後に直径3cmほど多めに出して、額と両頰に置き、手のひらで顔を包み込むようにハンドプレスします。マッサージは軽く肌を持ち上げ外に向かって広げるくらいですが、それでも十分に効果があります。とにかく香りが素敵!スキンケアなのにトップはカシス、洋梨、バジル、ミドルはジャスミン、ローズ、カモミール、オレンジフラワーなど、ラストはアンバー、ウッディ、ムスク、という香調があるのがすごい。週2回の使用時間が楽しみです。夜ケアするとよく眠れるという声や、お酒を飲んだ翌朝(飲酒はコルチゾールを増やすそう)に使うといいといった声も。1本で週2回朝晩のマッサージで約50日分です。

『JJ』時代から美容を担当。スーパーモデルブーム、日本上陸前のM·A·Cをブレイクさせる。愛ある視点で厳しく化粧品を選び、「コスメは感動!」が信条。美ST ONLINEでの連載「30年目のコスメ愛」も好評。

30年間ビューティ担当・編集I

2021年『美ST』3月号掲載 撮影/河野 望 イラストレーション/大沢かずみ 編集・文/石原晶子

美ST