【40代的BL座談会】今なぜBLが流行っているの?BL歴30年の編集者おすすめ漫画は?

そもそもBLって何? 今なぜBLが流行っているの?
BL初心者からベテランまでの40代の3名に語ってもらいました。


<対談者はこちら>

BLの世界をまったく知らない  HARUKOさん(モデル)
BL歴30年  山田麻琴(本誌編集)
栫井 利依さん (心理カウンセラー)


★ ライトなBLドラマが人気の火付け役

HARUKO(以下敬称略) 今「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」通称チェリまほが、あらゆる世代で話題ですね。

栫井 ちょっと冴えない童貞のサラリーマンの安達に、仕事もできてクールでイケメンのMr.パーフェクトの黒沢が恋をするのはBLの公式通りですけど、実は安達には黒沢の乙女全開の心の声が聞こえているコミカルさが受け入れやすいのでしょう。

山田 「おっさんずラブ」にしろ少し笑いもあるラブコメ的なものが今のBL人気を牽引していますよね。ラブの要素はあっても性的行為がないブロマンス寄りなものが、BLの入口としてはやはり受け入れやすい。
 

★ 純度の高い恋愛が乙女な部分を刺激

HARUKO 黒沢の片思いで好きな気持ちをなかなか打ち明けられないところは誰もが恋愛で経験することだから共感を呼びますよね。チェリまほも原作はマンガだし、映画で話題の『窮鼠はチーズの夢を見る』も原作はマンガよね。そこからマンガに興味を持つ人も多いように思います。山田さんはBLマンガ読まれますよね。

山田 私はもともと少女マンガ好きで、そこからBLに目覚めたから歴は結構長いかも。BLって少女マンガの延長線上のものとして好んで読んでいる人も多いと思う。BLは絵柄のタッチもキレイだし主人公はみんなイケメンだし。作者も圧倒的に女性が多いので、女性心理に基づいて描かれていると思います。
 

★ 現実を脇に置いて物語に逃避できる

栫井 少女マンガだと主役の女性キャラクターが鼻につくこともあるけど、男性と男性ならそこにジャッジは働かず純粋に好ことができますよね。日本の女性は年齢、容姿、社会的地位など様々なものに抑圧されているように思います。だから千差万別な関係性が描かれているBLはそれをほぐしてくれるオーダーメイドの薬のようなものかもしれません。近年ではLGBTが認知され、ますますBLの作品もいろいろな分野で増えてくると思われます。

山田 以前からBLに需要のあるドラマCDに代わって人気声優がCV(キャラクターボイス)をしているゲームの人気がますます出そうですね。

HARUKO これからの世代はもっとジェンダーに寛容だからBLも、もっと自然な形で受け入れられそうですね。
 


<本誌山田オススメ!>

パパとぼくとかぞく になってよ 完全版 靴川

光文社でもBLマンガが 電子版で読めます!シングルファーザーの翼は、3歳の息子・空のため、仕事に家事に育児に追われる。そんなときゲイの比呂が引っ越してきて始まる物語。

百と卍 紗久楽さわ

紗久楽さわ著 祥伝社

江戸文化に触れられる春画のような漫画。切なくて艶やかで愛しい。終始ドキドキしながら読み進められます。陰間文化が垣間見られるし、台詞まわしも粋。

新宿ラッキーホール 雲田はる

雲田はるこ著 祥伝社

キャラクター一人一人に命を感じます。もちろんBLだから絡みのシーンはあるけど、物語がしっかりしていて一気読み。苦味とサクマは生きるも死ぬも一緒で末長くお幸せに。

小野友樹

BLのドラマCDやCVの 新帝王として君臨中。人気BLマンガ「抱かれたい男1位に脅されています。」のドラマCD東谷役。「新宿ラッキーホール」もオススメの作品です。

撮影/イ・ガンヒョン モデル/HARUKO ヘア・メーク/森ユキオ(ROI) 取材/小花有紀 ※情報は2021年2月号掲載時のものです。

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