歯科医師が「マスク時代こそ口内ケアすべき」と言うワケ

1日中マスクをしていて隠れている「口の中」のケア、今までよりおろそかになっていませんか? 口内環境は免疫力やアンチエイジング、ダイエットにも大きく関係しています。「口の中」をキレイにすることのメリットを、今こそしっかり知っておきましょう。

みんなの「口の中」は大丈夫?

読者代表女子が歯科検診を受けてみました

「口の中」をキレイにするとこんなにいいことがいっぱいある!

    1.肌のたるみやフェイスラインの引き締めに効果あり!
    よく噛むことは顔周りの筋肉を引き締める効果があり、肌のハリやたるみの予防につながります。一方で食いしばりの癖がある人は奥歯周辺の筋肉が発達してエラが張って見えることも。食いしばり癖を直すことでフェイスラインもすっきりします。(森下先生・以下同)

    2.「歯磨き」をキチンとすることで免疫力がUP
    口の中の細菌が多いとインフルエンザの罹患率も明らかに増えることがわかっています。感染症予防には口内環境も良好にしておくことが重要。マスク、手洗い、うがいに加えて「歯磨き」を徹底しましょう。また、新型コロナウイルスの流行により常にマスクをする生活になり、息苦しさから口呼吸になりがちな人が増えています。口が乾くと虫歯や歯周病も進行しやすくなり、風邪も引きやすくなるので気をつけて。

    3.口の中が健康だと腸内環境も整います
    舌磨きの実践で便秘や下痢が改善されるなど、腸内環境がよくなったという研究もあり、腸内環境は口内の分野でも今、注目されているテーマです。口の中が健康であることは腸内細菌のバランスを保つことや、腸の健康へとつながります。口と腸はつながっているので、口から体全体をキレイにするという意識を持ってもらいたいです。

まずは歯磨きやフロスで口の中をしっかりケアして

    \歯間ケアを毎日のルーティンに/
    糸ようじやフロスは必ず毎日使いましょう
    歯周病菌は空気を嫌う菌なので、「歯と歯茎の間」や「歯と歯の間」など空気の届きにくい部位を好み生息します。だからこそ歯ブラシの毛先が入りにくい歯と歯の間は毎日必ずキレイにしてほしい部分。歯間ブラシは歯茎が後退して、すき間ができているもう少し上の世代向きなので、まだそれほど歯茎が後退していないアラサー世代ならフロスか糸ようじがお勧め。歯科専用フロアフロス<左>45m¥600、<右>250m ¥2,300※ともに参考価格(オーラルケア)歯科用デントイーエックス ウルトラフロスS3<3本入り>¥200(ライオン)

    \毛先が曲がってきたらすぐ交換を!/
    歯科医師は電動歯ブラシより手磨き派が主流
    手磨きのほうが歯と歯茎の間もしっかりキレイに磨けて力の入れ具合の加減もしやすいので、私は手磨き派。歯科医は手磨き派が多いです。力を入れすぎないためにペンを持つように歯ブラシを軽く持ち、45度の角度で毛先を歯茎の中に入れこむように、歯茎のマッサージも意識して動かします。歯並びが悪くて磨きにくい部分や、親知らずなど奥歯をキレイに磨きたい人にはタフトブラシもお勧め。もし電動歯ブラシを使うなら安価なものは避け、ある程度金額をかけてでも高性能なタイプを。電動歯ブラシはゴシゴシ動かすのではなく、歯ブラシの位置をゆっくりとスライドさせるように動かします。三角の毛先が歯と歯の間など、磨き残しがちな部分の汚れをキャッチ。歯科専用タフトブラシ「プラウト」S¥270※参考価格(オーラルケア)

    歯ブラシの選び方を見直そう
    歯ブラシの毛のかたさは「ふつう」を選びましょう。しっかりと磨きたくて「かため」を選ぶ方がいますが、歯茎を傷つける原因となることも。歯周病が進行している場合では「やわらかめ」を使うよう指導されることもありますが、歯茎の状態が改善したら「ふつう」のかたさに戻しましょう。交換頻度はだいたい1カ月が目安。毛先が少しでも開いてくると新品の歯ブラシの6~8割くらいしか磨けません。ヘッドの大きさも重要で、 磨きたいところに毛先を向けやすいヘッドの小さいものを。クラッシィ世代の女性には毛先が先端に向かうにつれて細くなっていくテーパードカット型の歯周病予防タイプをお勧めします。毛先が細くなったスーパーテーパード毛が歯周ポケットにも届き、歯茎にも優しい磨き心地。歯科用システマハブラシ44M ¥300(ライオン)※デザインは現在、若干変更になっています。

起きてから寝るまでの生活習慣でNG例7つ

    NG1.朝起きてから歯を磨かない
    起床後すぐにうがい&舌磨きを!
    理想は朝食前後に歯磨きすることですが、それが大変なら食前にうがい&舌磨き、食後に歯磨きを。朝は寝ている間に増えた雑菌が口内で繁殖しているので、起きたら絶対にうがいだけはしてください。マウスウォッシュを使っても、水だけでも大丈夫です。その際、一緒に舌磨きもしましょう。

    NG2.朝食にスムージーを摂る
    朝食はスムージーより野菜スティックを。
    朝食は美容のためにスムージーという方も多いかもしれませんが、口内の健康に欠かせないだ液はしっかり噛むことで出てくるので、固形物、繊維質をしっかり噛んでほしいです。噛むという動作で得られるメリットは大きく、脳への刺激のほか歯茎や顔周りの血流を促進してくれる効果も。しっかり噛むことはとても大事なので、歯科医としては同じ野菜やフルーツを摂るならスムージーにせずそのまま食べてほしいですね。私は毎朝、生野菜を食べています。固形物を食べると舌の汚れがはがれおち、だ液が口の中を洗浄してくれるので口臭だけでなく虫歯や歯周病の予防にもなります。朝は野菜ジュースやスムージーだけという人は口臭に要注意です。

    NG3.お茶や水で口臭を消そうとする
    食後にキシリトール100%ガムを噛むと◎。
    ガムを噛むならぜひキシリトール100%使用のものを。タイミングとしては食後がベストです。ガムを噛んでだ液を出すことで、口の中に残った残留物も流してくれます。また、口が乾燥してきたなと思った時もキシリトールガムを。口臭は水やお茶を飲んでも消えないので、だ液を出すことがポイント。口の乾燥からくる口臭にはガムでだ液の分泌を促して、口の中の雑菌をはらう必要があります。甘味料としてキシリトールを100%使用し、歯にくっつきにくいガムベースを採用。歯科専売品。歯科専用キシリトール100%ガム35g<左>クリアミント<右>マスカット各¥250※参考価格(オーラルケア)

イラスト/二階堂ちはる 撮影/五十嵐 洋 取材/加藤みれい 取材協力/グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科 https://www.grantokyo-swan.com/