東洋医学の専門家が教える、免疫力を下げる「3つのNG原因」

新型コロナウイルスの流行により、一気にパワーワードに躍り出た「免疫力」という言葉。でも、具体的に免疫力って一体何なのか、いまひとつわかっていない人も多いのでは?免疫力を下げないためにやるべきことを専門家のみなさんに教えてもらいました。

血流を改善して体を温めることで免疫を下げない体に

東洋医学では体の防衛力を維持するためには血流を体の隅々まで届かせることが重要だと考えられています。血流について、クラッシィ世代の女性が気をつけたいことを鍼灸師の先生に教えていただきました。

1.血流に問題が起こる理由3つ

東洋医学の考えでは体の防衛力である免疫は「気」の流れが担っているとされています。そして「気」の流れに関係が深いのが「血」の流れ。まずは血流の状態に問題が起こりやすい3つの原因をチェックしましょう。

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    ❶血虚(けっきょ)=血流の流れが足りない
    気が足りなくて血液が流れないタイプ。極端な冷え性、風邪を引きやすい、顔色が白っぽい、声がか細い、体が細い人が多いのが特徴。もともと体が弱く、生理不順、経血が少ないなどのトラブルがあることも。睡眠や栄養をしっかり摂り、食事は何度かに細かく分けて食べて、食べる量を確保するようにしましょう。

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    ❷瘀血(おけつ)=血流が滞っている
    余分なもの(瘀血)が全身にたまっているタイプ。不摂生、食べ過ぎ、運動不足、睡眠不足などが原因で血液が滞り、肩こりや体のあちこちの痛み、便秘がち、暑がり、シミ(肝斑)、生理痛などの症状が。アルコール、揚げ物が好きな人に多い。食事量を減らし、油、肉、乳製品、甘いものなどこってりしたものを控え、野菜と運動量も増やして対策を。

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    ❸ストレス
    ストレスや睡眠不足が原因で血液を押し流す力が弱くなっているタイプ。イライラしやすく、クマもできやすい。知覚過敏で足は冷えているが上半身はのぼせている。運動量を増やし、発汗して気を発散させることで気が巡ってきます。

2.どの理由でも必ずやるべき基礎養生はこの3つ

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    ❶なるべく12時前に寝る
    東洋医学では寝ている間に命を養う「気」が補われると言われています。12時前のなるべく早い時間に布団に入ることで体の奥の部分の「陰」の気を補い、防衛力を高めることができます。また、睡眠中は皮膚と内臓に血液を巡らせ修復する大切な時間でもあります。気と血液を増やすにはまずは睡眠と思ってください。

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    ❷食生活を見直す
    食事は量と時間を決めて、食べすぎにも気をつけましょう。食事の時間が決まっていると体内時計が整いやすく、自律神経も整います。体にとっても決まった時間に決まった量の栄養が体内に入ってくると気血の運行もスムーズに行えて楽です。また、糖質過多で栄養不足の人が多いので甘いものと炭水化物は控えめに、たんぱく質と野菜を多く摂るようにしましょう。

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    ❸毎日、適度な運動をする
    運動は強制的に気血の流れを活性化でき、関節や筋肉の運動をなめらかに保つことで気血を阻害することなくスムーズに流します。今は極端に運動不足の人が多いため、ラジオ体操の第一と第二を1日2回、毎日10分でも少しずつ続けることで末梢まで血を巡らせ、体の滞りを減らすことができます。ランニングなら5分、散歩なら6000〜8000歩、20〜30分が目安です。

3.簡単にできるペットボトル温灸で血流改善

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    血流改善や睡眠に効果的なツボ
    お湯を入れたペットボトルの側面でツボを刺激するのも手軽でおすすめの方法です。ホット用のペットボトルの1/3に水を入れ、残りの2/3にお湯を入れて60〜70℃の温度にするか、電子レンジで60〜70℃のお湯を作って入れれば完成。

    東洋医学の考えでは体の防衛力で

    血流改善なら三陰交という足首の内側のツボ、睡眠の質を高めるには足の裏でペットボトルを転がすようにして失眠と湧泉というツボを温めます。バスタブにもしっかり入って体を温めてほしいですね。

4.リモワ生活の落とし穴!「目の酷使」が気血を滞らせる

現代人はスマホやパソコンなどで目を使いすぎていて、日常的に気血を大きく損傷させてしまっています。目を閉じて、音楽だけを流す時間を作ったり、目を使わない時間を意識して作りましょう。また、よい香りは気を巡らせる効果があるのでアロマを楽しむのもおすすめです。

教えてくれたのは

鍼灸師・アシル治療室院長 若林

鍼灸師・アシル治療室院長 若林理砂さん
高校卒業後に鍼灸免許を取得、早稲田大学第二文学部卒。自身が主宰する「アシル治療室」での鍼灸治療のほか、東洋医学や武術を学ぶ「Studio Libra」を運営。著書も多く、女性を中心に幅広い層から支持を集めている。asil-llc.info

イラスト/二階堂ちはる デザイン/大塚將生(marron’s inc.) 取材/加藤みれい