【レシピ】ワインセラーローゼンタール 島田由美子さんのハルマキ100本ノック 22本目/100
八百屋さんに登場する春野菜に、心躍る時期になりました。春巻きの語源は、春の新芽を巻いて食べて、無病息災を願ったことからきているとか。食べて美味しく、体にもやさしい春巻きを毎週1本ずつ、ご紹介します。
題して「ハルマキ100本ノック」。
「こんな食材、春巻きにならないかな?」など、リクエストも受けつけております。
(herself@kobunsha.com)までお願いします。
まずは最初に、100本すべての共通ルールです
- レシピは3本分の量で表記。
- フライパンを使用。※ここで使用しているフライパンは、直径26㎝のテフロン加工のものです
- 使う油は、大さじ4。フライパンが小さい場合は、これより少ない量に加減しましょう。
- 火加減は弱火から中弱火。じっくり揚げ焼きする感じです。
- 火を入れる時、ひっくり返す時以外は、なるべく触らない。下手に触らない方が、きれいに仕上がります。
- 巻き終わりの糊付けは不要。巻き目を下にして火を入れれば大丈夫です。
春巻きの皮は、モランボンの春巻きの皮を使っています。時にはゴツゴツした具を巻いたりもするので、破れにくく、かつ美味しい皮が理想。モランボンの皮は、ちょうどいい厚さで、パリッと仕上がるところが気に入っています。薄い皮を使う場合は、具材を巻く時や火を入れている時に破れないよう気を付けましょう。
22/100
「かぶりつく筍春巻き」
筍は、大きな塊にかぶりつくのが好きです。じっくり焼いたり、揚げたりした筍は、とうもろこしのような甘味が美味しくて、ガブリといきたい。なので今回は、どんと一切れ、かぶりつける大きさの筍を巻いて作る春巻きです。小さくても大きくても、筍ひと切れの形に添わせて、みっちり巻いて、丸かじりの楽しさを満喫しましょう。
今回使う筍は、面倒かもしれませんが、頑張って生から茹でた時に作って欲しいと思います。
スーパーや八百屋さんで茹でてくれた筍でも美味しくできます。ただ、真空パックの水煮は丸かじりに向いていません。
今だからこその美味しさを、感じていただけたら嬉しいと思ってレシピにしました。
【材料】3本分
- 茹で筍…1本(大きくても小さくても)
- アンチョビ…2〜3枚
- とろけるチーズ…およそ30g(筍の上にうっすら被るくらいの量)
- 春巻きの皮…3枚
- サラダ油…大さじ4
- 塩…少々
※レシピは10㎝強の筍(皮を剝いた状態)1本で作った目安です。筍の大きさによって、作れる本数が変わります。皮に巻けそうな大きさに切り分けて、お好きな本数を作ってみてください。
【作り方】
1.筍は皮を剝き、春巻き1本につき一切れに巻きやすい大きさに切り分ける。アンチョビは粗くみじん切りにする。
2.春巻きの皮の上に筍をひと切れ、切断面を上にして置き、アンチョビととろけるチーズを上にのせ、筍の形に添って、みっちり巻く。
3.フライパンにサラダ油を入れ弱火で温めたら春巻きを並べ、そのまま弱火でじっくり揚げ焼きする。
4.すべての面が美味しそうなキツネ色になったら油を良く切り、そのまま切らずに塩を添えて供す。箸ではなく手で持ってかぶりつくと、さらに美味しいです。
【合わせたいお酒】
軽めの赤ワイン。ほんの少しだけ冷やして低めの温度で。
column1:筍の皮はどこまで剝く?
ローゼンタールでは、剝けるところまで剝いています。まず、茹でた筍は、灰汁を抜いた後、皮付きのまま保存容器にゴロンと入れて冷蔵しています。味が抜けるので、水にもつけません。これで3,4日は美味しく食べられます。いざ使う時に皮ごと縦半分に切ると、可食部とそうでない部分が、はっきり分かれているので、先端の姫皮を残しながらペロリと剝いています。ちょっと邪道かもしれませんが、ラクチンですよ。
column2:春巻き切る? 切らない? 問題ふたたび
先日、お客さんたちと春巻き論争になりました。
「春巻きは切らない方がいい! 最初から最後まで食べたい」「切ったそこから、美味しさが逃げそう」などなど切らない派多数で、びっくり。
私は基本、切り分ける派です。
箸で摘まみやすいし、お客さんが、ナニナニ?という感じで切断面をのぞく様子が嬉しいというのもあります。
ただ、これは料理屋の発想ですね。
手で持ってガブリ、というのは、かじる前の「お楽しみはこれからだ」感満載ですし、丸ごと独り占めできる満足度、口中いっぱいの快楽度も高いです。
一方、料理エッセイ界の大御所、漫画家の東海林さだお氏は春巻きについて、1本が「異常にでかい」のが嬉しいと述べつつも、そのでかさゆえに、箸で持ち上げると落ちる「ドタリ」問題にふれ、「かといって、(食べやすく)切っちゃうとマズソー」と複雑な心境を綴っています。(「ゴハンのまるかじり」所収、「春巻きの厄介」朝日新聞社より)
正解はありません。自分の美味しい食べ方を追求してみましょう。
この連載では、通常半分に切り分けていますが、「これは切らずに、絶対にかぶりついて欲しい」という場合は、1本だけ切って切断面を見せて、ほかは、そのまま盛っています。
3、4等分という時は、一口で食べるのが楽しそうな場合です。
ちなみに、議論のなかで私が一番気に入ったのは、「3本のうち2本は2人それぞれにかぶりついて、残り1本は半分かじって相手にあげる」とのたまった某氏のご意見。
確かに、グッドアイデアです。
聞いているこっちが、照れましたけど。
動画でも紹介しています!
【バックナンバー】
1本目:原木シイタケと生ハム、ゴルゴンゾーラの春巻き
【プロフィール】
島田由美子:ドイツワインと野菜料理を楽しめる「ワインセラーローゼンタール」店主。春巻きはお店の定番メニュー。季節によって、中身が変わります。
ワインセラーローゼンタール
住所:東京都中央区銀座8-7-11 ソワレ・ド・銀座第2弥生ビル8F
☎03-3574-8758
営業時間: 18:30~23:00
休:日、祝
公式サイト
撮影/牧田健太郎 構成/松本朋子