歯周病って実際はどういう病気?どうやってケアする?【歯科衛生士が教えます】

40代ともなると歯肉炎や歯周病という言葉をよく聞きますが、違いについてまではきちんと理解できていない人が多いのではないでしょうか。特に歯周病は放っておくと大変なことになるのは漠然と知っているけど、実際はどうやって対策をすればいいのでしょう。歯科衛生士の玉置まゆさんにお話を伺いました。

©️DENTALISH

「歯肉炎と歯周病の大きな違いについてですが、歯肉炎は歯茎だけの炎症で留まります。その場合は正しいブラッシングをすれば自分で治せる病気なのです。しかし歯周病になると、歯茎の中にまで細菌が入り込んでしまい、歯と歯茎の間に歯周ポケットという隙間を作ってしまいます。その歯周ポケットの中に細菌が入り込むと、歯茎の中で毒素を出して歯を支えている骨を溶かしていってしまうのです」

歯周病は生活習慣病なので、本当は自分で予防できるはず。しかし一度歯周病に移行してしまうと、自分で治すことは困難。歯周病によって骨が溶けたり、歯茎が下がってしまうと、元の健康な口の中の状態に戻すことは難しい病気なのだとか。

歯周病は軽度、中程度、重度と3段階に分かれていますが、実は日本人の成人のおよそ8割がこの3段階のどこかに属していると言われています。自覚症状がなく進行していってしまうのが歯周病で、歯肉炎なのか歯周病なのかは専門医でないと判断できません。歯周病になったら、歯科医院に通って治療を受けて、なおかつ、自分でも歯ブラシを頑張っていく。それでも完治することは難しく、歯周病をそれ以上進行させないために今の現状を維持していくという考え方です」

歯周病は口の中の問題ではなく、体全体へと影響を及ぼすとも。それは本当なのでしょうか。

「はい、本当です。歯周病菌や歯周病による炎症から出た炎症性物質が全身の血液を巡って全身に菌が蔓延すると、血管そのものに影響し、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなります。特に糖尿病と歯周病はかなり関連が深く、糖尿病のリスクの判断基準とされるHbA1c(ヘモグロビンA1c)という数値が、歯周病が改善されると安定してくることが実証されています。また、女性は妊娠や出産によるホルモンバランスの変化で口腔内環境が乱れ、歯周病に罹患しやすい傾向があります。さらに歯周病に罹患している妊婦さんでは、そうでない妊婦さんに比べ早産や低体重児出産のリスクが高いこともわかっています。このように全身疾患と歯周病は深い関係があり、歯周病が進行すると全身の健康に悪影響を及ぼすといわれているのです」

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では、実際に私たちが普段の歯磨きで気をつけることやすべきことは何でしょうか。

歯周病の一番の予防は正しいブラッシングを身に付け、それを習慣づけることが大切です。歯ブラシの持ち方はペングリップ(鉛筆持ち)で、歯と歯茎の境目に45度に傾けます。一本ずつ小刻みに小さなストロークで横磨きをしていきます。大きくストロークして磨いてしまうと過度に圧がかかることで歯茎を傷つけてしまったり、歯と歯の間や歯と歯茎の境目に上手く毛先が入りこまず、汚れが残ってしまう原因になるのです。お口の中の汚れは細菌です。元々お口の中には様々な細菌がいますが、食べカスを栄養とし細菌が増殖して、お口のトラブルを引き起こすのです。なので正しいブラッシングを行い、お口の中にプラーク(細菌叢)を残さないことが重要です」

何かと忙しい40代がきちんと磨くのにコツなどはあるのでしょうか。

「きちんと磨けるなら手磨きでかまいませんが、口の中の汚れをしっかり落とすにはプロが歯磨きをしたとしても20分かかると言われています。電動歯ブラシなら細かく入り込むことが可能なので、時短になります。電動歯ブラシでもきちんと磨けていないときは、歯科医院に電動歯ブラシを持参して、使い方を教えてもらうのもいいでしょう」

時短になる電動歯ブラシも進化。たとえばパナソニックのドルツの最上位モデルはスマホアプリで正しい磨き方をマスターできる。

「さらに一日一回はフロスや歯間ブラシを使って、口内環境をキレイな状態にすることも大切です。就寝時は細菌が繁殖する時間なので、夜寝る前に口の中の細菌数を減らしてから寝るとよいでしょう。また、洗口液ですすぐだけでは汚れは取れません。口の中の汚れは粘つきがあるので、洗口液は歯磨きあってのプラスαとして利用するのがよいでしょう」

フロスや歯間ブラシは極力1日1回を目標に習慣づけたい。

デンタルIQが低いと言われている日本人。歯周病は予防できる病気なので、3カ月〜半年に1回は、必ず定期検診を受けることも重要なのだとか。

「最近歯科医院にかかっていないのであれば、自分は歯周病なのかどうか心配になった方もいることでしょう。ただし、『歯磨き時に出血しただけだから軽度?口臭が気になりだしたから歯周病が進行している?歯がぐらついてきたら重度?』などと自分で判断しないことも大事。少しでも気になったら必ず歯科医院へ行きましょう。セルフケアだけではなくプロフェッショナルケアも合わせて行い、歯周病を予防していくことがとても重要です。出血しないから私は大丈夫と思っていたら、実は歯周病だったというケースはよくあります。歯科医院は、歯科治療が終われば通わなくて良いと思っている方がとても多いですが、”歯科医院は何も問題がなくても通うところ”という認識がもっともっと進むといいですね。症状が出てから行くのは手遅れになるケースもあります。予防するために常にケアをしていく。歯周病は自分で防げる病気です。ぜひSTORY世代の皆さんは、人間ドックを受けるように、定期的な歯科検診に通うことをおすすめします」

教えてくれたのは

玉置まゆさん 歯科衛生士
玉置まゆさん 歯科衛生士
2008年東京医学技術専門学校卒業。銀座の天井久代先生のもとでたくさんの学びを重ね、チーフ経験の中で新人教育の重要性を痛感。転職後は歯科医院の新規立ち上げや分院のスタッフ育成、仕組みづくりなどを行い、2015年より(有)エイチ・エムズコレクションに所属。”35歳は歯と歯茎の曲がり角、40代は健康歯茎か歯周病の分かれ道”と、口元も口内環境もアンチエイジングか可能な分野であるとし、講師としても活躍している。

撮影/BOCO(パナソニック・ドルツ分)  取材/北野法子

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