起業家・マニアン麻里子さん「譲り受けたシャネルの時計が心のスイッチ」

清楚で穏やかな佇まいと、柔らかな笑顔。華奢な姿からは想像できない、熱い情熱と底力が、彼女の奥底に潜んでいる。その情熱こそが、社会を動かし、人を率いて、時代を大きく変えていく。職場もプライベートもひっくるめて、私たちは幸せであるべきだと。多様な人が、能力や個性を発揮できる豊かな社会を次世代に残すため、彼女は、走り続けている。

 

Q. 愛用の時計は何ですか?

A. シャネルのプルミエール
フランス人の義母から譲り受けたもの。
彼女からおしゃれを借りるような気分。

Q. あなたにとって、腕時計とは?

A. ファッションの仕上げであり、心のスイッチを入れるもの。

Q. 人に、どんな時間を届けたいですか?

A. 時間の解放、そして余白。

社会を動かす大きな手が、
豊かな時間の扉を開ける

 フランス人の義母から譲り受けたシャネルは、彼女のおしゃれを借りるような気持ちに。ジャガー・ルクルトの心臓部を持つ機械式のラルフローレンは、時計好きの夫から。そして、自らを鼓舞する気持ちで購入したBABY-G。表情の異なる腕時計は、女性で妻で母、そして起業家という、あらゆる顔を持つマニヤン麻里子さん自身を表すかのよう。ラグジュアリーなだけではない、瞬時に本気モードになれる強い魂もそこには宿っている。
「激しくて情熱的なものに、昔から憧れがありました。きっとその勢いで、恐れを持たずに挑戦してしまったんですね」
 36歳で立ち上げた会社は、「ユア コンシェルジュ」というサービスを運営。企業やオフィスビルに常駐し、働く人の日常生活をサポートするという時代の先を見たビジネスだ。相談内容は、暮らしにまつわるものから、子育てや受験、介護など多岐にわたり、時には経験者やプロにつないで依頼人の問題を一緒に解決する。
「仕事復帰したとき、出産前と同じパフォーマンスを求められるのに、その解決方法がどこにも見つけられないんです。生活の一個でいいから助けてもらいたいと思っても、それは日本では専業主婦が請け負ってきたものだったと痛感しました」
 社内にあふれるフェミニズムの問題に目をつぶり、夕方に、保育園に駆け込めば子どもが泣いている。会社にいても家にいても、罪悪感しかなかったという日々の中で思い立った起業だった。
「この状況を絶対に変えてやる、と思いました。子どもたちの時代には、自分が経験してきたような生きづらさがあってはいけないんです」。
 社会に届かない小さな声を、ひとつひとつ丁寧に紡いでいきたいという彼女。絡んだ糸をほどいていくように、人々の心に豊かな余白を作り出していく仕事だ。大らかな笑顔を携えて、彼女が社会に蒔く種は、いま光を集め芽吹き始めている。

Profile

マニヤン麻里子

東京都生まれ。3歳から9歳までをニューヨークで暮らす。21歳から24歳までをパリで過ごす。一橋大学社会学部卒、フランスHEC経営大学院修了。大学院修了後は、パリの雑誌系出版社にてグローバルマーケティングを担当。帰国後、仏ソシエテ・ジェネラル証券、米ゴールドマン・サックス証券会社等で金融商品開発や営業に従事。2016年に株式会社TPOを起業する。UWC ISAK Japan評議員。12歳の息子、9歳の娘のママ。

撮影/HAL KUZUYA ヘア・メーク/サユリ〈nude.〉 取材・文/須賀美季 編集/渋澤しょうこ

 

VERY NAVY 6月号『一緒に成長、私を語る〝時計〟のはなし』から 
詳しくは2021年5/7発売VERY NAVY 6月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

 

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