【レシピ】いつもの料理を10分で ⑪スープカレー
しっかりと時間をかけて作る日もあるけれど、それでは毎日がまわらない……。
とはいえ、時短料理は溢れているけれど、
ただただ短い時間で料理ができればいいと思っているわけではない……。
「なぜ」このやり方なら、10分で作れるのか?
「どこ」さえおさえていれば、味の要が守れるのか?
理由を知っていれば、レシピを見続けなくてもサッと作れるようになる。
料理研究家の上田淳子さんに、(ほぼ)10分で作るための、省いていい部分・守るべき部分、そして”発想の転換方法”を教えていただきました。
もちろん、時間をかけて作るレシピは素晴らしいけれど、
日々の小さな幸せには、こういったレシピも必要だなと感じるのです。
この作り方は、”本物じゃない”と思われる方もいるかもしれません。
ですが、名前のついた料理の”想像する絵”にこだわりすぎなくてもいいのではないでしょうか?
定番料理を作る際の、
こういう方法にしてもありなのでは? という
振り幅の広さを紹介していきます。
Vol.11
スープカレー
さて、数多あるカレーのレシピ。じっくりと時間をかけて作るレシピもあればサッとできる時短カレーのレシピもありますよね。そんな家ごはんの王道メニュー、「カレー」。
さて、上田流の作り方は?
今回は、夏に食べたいスープカレーをテーマに、10分で作るためにはどこに重きをおいて、どこを省くのか? について考えていきます。
ほぼ10分で作れるのには、理由がある…!
省きどころ・抑えどころ
POINT①具材は、早く火の通る食材を選ぶ!
早煮え野菜を中心に選んでいきましょう。今回は、玉ねぎ・トマト・ズッキーニ・なすで。
POINT②野菜は煮込まない、蒸し煮する
火の通りを早くする=野菜を小さく刻む、だけではありません。
食べごたえを出すためにも、そしてスープカレーならやっぱり、大ぶりな野菜を食べたい! ですよね。
ニンニク、ショウガ、クミン、バターを入れたフライパンに大ぶりに切った野菜を加えて。「蒸し煮」にします。野菜たちを蒸し煮して先に火を通しておくことで、煮込まなくても、野菜の旨みがぎゅっと、そしてスパイスやバターの香りもしっかりと詰まった味わいに仕上がります。
POINT③スープの旨みは”鶏肉”で
鶏肉を美味しく食べたいと思うと、先に炒めてから煮込みたくなりますが、今回はあくまでも10分調理。スープに旨みを出すことを優先していきます。今回は、鶏肉は炒めずにそのままスープの中へ。鶏肉が出汁となり、短い煮込み時間でも旨みが増幅していくのです。
POINT④スパイスは、カレー粉とクミンシード。
隠し味は、野菜ジュースとナンプラー!
スパイシーさは、カレー粉とクミンシードで。バター・ショウガ・ニンニクで奥行きをプラスしていきます。
短い調理時間でも味に深みを出すために、旨みが凝縮された野菜ジュースとナンプラーを使用。ぜひ、トマトベースの野菜ジュースを使ってください。
【材料】2人分
- 鶏モモ肉唐揚げ用…6切れ
- 玉ねぎ…1/2個(100g)
- トマト…1個(150g)
- ズッキーニ…1/2本(80g)
- なす…1本(80g)
- おろしニンニク…小さじ1/2
- おろし生姜…小さじ1
- 塩…小さじ1/2
- 胡椒…適量
- バター…10g
- クミンシード…小さじ1
- カレー粉…小さじ2~大さじ1
- ブイヨンキューブ…1個
- 野菜ジュース、水…各1カップ
- ナンプラー…小さじ1程度
- ご飯…2人分
【作り方】
1.鶏肉に塩、胡椒をすり込んでおく。玉ねぎは櫛形に、トマトはへたを取って櫛形に、ズッキーニ、なすは大ぶりに切る。
2.フライパンにバターとクミンシード、ニンニク、ショウガを入れて強めの中火にかける。バターが溶けて香りが立ってきたらなすと玉ねぎ、ズッキーニを加えさっと混ぜ、水(1/3カップ)を加え蓋をし2分ほど蒸し煮にする。
3.2に鶏肉、ジュース、水、カレー粉、ブイヨンキューブを加えて、煮立ったら中火で蓋をし、5分煮る。
4.仕上げにトマトとナンプラーを加えて味を調える。一煮立ちしてトマトが温まったら器に盛り、ご飯を添える。
【バックナンバー】
【PROFILE】
上田淳子:料理研究家。スイスやフランスのレストランで修業を積み、現在の道へ。食育の活動も行う。著書多数。近著に『ごちそうしたい、ほめられたい 実は簡単! ハレの日ごはん』(NHK出版)、『上田淳子のチキンスープ − 鶏肉=具材、スープ。簡単、本格的。』(グラフィック社)など。
撮影/大森忠明 文・構成/松本朋子