【レシピ】いつもの料理を10分で ⑫魯肉飯(ルーローハン)
しっかりと時間をかけて作る日もあるけれど、それでは毎日がまわらない……。
とはいえ、時短料理は溢れているけれど、
ただただ短い時間で料理ができればいいと思っているわけではない……。
「なぜ」このやり方なら、10分で作れるのか?
「どこ」さえおさえていれば、味の要が守れるのか?
理由を知っていれば、レシピを見続けなくてもサッと作れるようになる。
料理研究家の上田淳子さんに、(ほぼ)10分で作るための、省いていい部分・守るべき部分、そして”発想の転換方法”を教えていただきました。
もちろん、時間をかけて作るレシピは素晴らしいけれど、
日々の小さな幸せには、こういったレシピも必要だなと感じるのです。
この作り方は、”本物じゃない”と思われる方もいるかもしれません。
ですが、名前のついた料理の”想像する絵”にこだわりすぎなくてもいいのではないでしょうか?
定番料理を作る際の、
こういう方法にしてもありなのでは? という
振り幅の広さを紹介していきます。
VOL.12
魯肉飯(ルーローハン)
バラ肉などの脂身が多い豚肉を甘辛く煮て、ごはんに載せて混ぜていただく、台湾の定番料理。
作り方や使う材料はレシピによってさまざまですが、塊肉を2〜3cm角に刻み、八角やしょうが、にんにく、五香粉、干し海老、エシャロットなどのスパイスや食材と醤油や紹興酒などの調味料で、じっくりと煮込んで、茹で卵も一緒に鍋に入れて、味をしみしみにして。と一度にたくさん作ったほうがいいような気がするほど。少し面倒な料理です。
さて、そんな魯肉飯を、
2人分くらいで、さっと10分で作りたい! と思います。そのための上田流の取捨選択とは?
ほぼ10分で作れるのには、理由がある…!
省きどころ・抑えどころ
POINT①塊肉は使わない!豚バラ薄切り肉で
塊肉を刻む手間もそうですが、少ない煮込み時間で、味をしっかり染み込ませるために豚バラ薄切り肉を使用します。
そのかわり、食べごたえを出すために大きめにカット!
POINT②多めのしょうが・にんにく・桜海老
作り方はさまざまではありますが、レシピによってはエシャロットを使ったり、八角や干し椎茸の戻し汁を使ったり。旨味となるものをふんだんに使っているものが目立ちます。ですが、今回は、10分調理で、さっと作るのが課題。
しょうが・にんにく・桜海老と少ない食材でも、たっぷりと使うことで、味に奥行きを出していきましょう。
そのほか、材料にある酒も紹興酒に変えるだけで、ぐっと味わい深くなります。
POINT③短時間で煮卵になる! うずらの卵を使えばいい
魯肉飯で欠かせないのが、味の染みた煮玉子。ですが、10分で作るとなるとなかなか染み込みません。それならば、卵を小さくすればいい。うずらの卵なら、短い煮込み時間でも染み込みますよ。市販のうずらの卵水煮でOK。
魯肉飯
【作り方】2人分
- 豚バラ薄切り…200g
- 長ネギ…1本100g
- おろし生姜…大さじ1
- おろしニンニク…小さじ1
- ごま油…大さじ1
- 桜海老…3g
- 醤油…大さじ1と1/2
- 砂糖…大さじ1と1/2
- 酒(あれば紹興酒)…大さじ2
- 五香粉…小さじ1
- 水…100ml
- うずらの茹で卵…6個
- ご飯…2人分
【作り方】
1.豚バラ肉は4cm幅に切る。長ネギは小口切りにする。桜海老は粗く刻む。
2.フライパンにごま油、にんにく、しょうが、長ネギ、桜海老を入れて強めの中火にかける。香りが立って少し色づき始めるまで2分ほど炒め、豚肉を入れる。さっとほぐして、表面が白っぽくなるまで炒めたら、水、調味料、香辛料、うずらの茹で卵を入れる。煮立たったら中火にし、蓋をして3分、蓋を取って2分。煮汁がほぼなくなるまで煮る。
3.ご飯を器によそい、2を煮汁とともにかける。
※野菜が足りないと感じたら、煮ている間に豆苗やチンゲン菜を蒸し煮して添えて。
【バックナンバー】
【PROFILE】
上田淳子:料理研究家。スイスやフランスのレストランで修業を積み、現在の道へ。食育の活動も行う。著書多数。近著に『ごちそうしたい、ほめられたい 実は簡単! ハレの日ごはん』(NHK出版)、『上田淳子のチキンスープ − 鶏肉=具材、スープ。簡単、本格的。』(グラフィック社)など。
撮影/大森忠明 文・構成/松本朋子