【VERY妻の「リコカツ」体験談③】養育費は絶対に諦めてほしくない

離婚活動、略して「リコカツ」。結婚や就職と同じように、“離婚”は人生の大きな決断です。だからこそ傷ついていても丸腰で臨まず、ちゃんと準備する……そんな「リコカツ」をして無事に離婚、現在娘と二人で幸せに暮らしているというAさんに取材してきました。
ドラマ『リコカツ』も話題になりましたが、リアルな「リコカツ」とは?
<1回目><2回目>と続き、最終回となった今回は、Aさんのいよいよ大詰めの「リコカツ」について、そして今のAさんについてお話ししていただきました。

 

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離婚した際、夫からの養育費がまったく払われない、またその額が十分でないケースがとても多いことはたびたびVERYでも取り上げてきたこと。でもAさんは、「娘のために絶対に十分な額を払ってもらう」と強い決意で、交渉にあたりました。

 

養育費は
絶対に諦めてほしくない

 

「お互いの収入の割合によって決まる養育費。
今までお相手の女性や夫の会社にばらさなかったのは、今まで通り働いてサラリーマンとしての定期収入をキープし、養育費を払い続けて欲しかったからです。

また不倫の慰謝料は最大で300万円が相場と言われていますが、合わせて300万円なので、元夫の不倫相手から300万円支払われた場合、元夫からは0円になってしまいます。日本の慰謝料や養育費の額はすごく少ない。こんなに苦労しないでも養育費がもらえるシステムがあれば救われる離婚経験者の方はたくさんいると思いますね」

 

不倫相手から受け取った
300万円の慰謝料があったから
自活の道を探れた

子どものためにも、お金は正義。最後まで決して折れなかったことが、後のAさん親子を助けています。慰謝料を支払ってもらった相手の女性への気持ちを尋ねると(慰謝料を手に入れるまでのエピソードは第2回へ記載)、

「元夫と同じ社内の人だったから、気持ち的にはばらしてしまいたいこともなくはなかったけれど、ばらしたところで何もメリットはありません。第一相手の女性だけが悪いのではなく、元夫が悪いので。ちゃんとお金を払って対応してくれたからいいかと…。慰謝料を支払ってもらったら、もう負のものには触れたくないので、あまり考えていません。向こうの女性には二人目のお子さんが生まれて幸せに暮らしているようです。でも女性からの300万円が手元にあったことは大きかった。自活できるまでの生活費や仕事の元手になりました

お相手の女性に、自分だけで賄える300万円のお金があったことは、不幸中の幸い。ちなみにこれは夫に隠れ自分の親に頼んで工面してもらったようです。

そしてこの戦いを支えたのは幾人かの弁護士さんたちですが、結局最後まで伴走してくれたのは同世代の働くママでもある弁護士さんだったそうです。

「性別や知名度問わずいろいろな弁護士さんに相談しましたが、同性でも『離婚は大変だから、考え直した方がいい』と言われてしまい、「いや、いっぱい考えたんだけどな…」となったり、ビジネスライクと感じて私とは合わない感じを受ける人もいたり。結局は同世代のママでもある弁護士さんにお願いしたのですが、仕事は仕事でバリバリやりながらも、相談を終えてから『いや〜ほんとに何やってるんですかね!』と雑談したり気持ちに寄り添ってくれる、血が通っている感じがあって決めました」

 

決着まで約5年。
やっと離婚して、今は…

 

そして養育費など様々な条件が揃いついに離婚に漕ぎ着けたときには、離婚を決意してから5年が経っていました。

「私の自活のタイミング、娘の精神的な成長。いろいろ私なりに考え、やりとりがやっとまとまってこの時期になりました。私は結婚が早かったので、離婚も第一線組みたいな感じ。もともと割と我慢するタイプだったので悩みを周りに言えなかったのですが、何もいいことないなと思ったんです。だから離婚に際して友達にもいろいろと相談しました。悩みをぶつけたり分かち合ったことで、結びつきが強くなったんじゃないかな。今は周囲から離婚や浮気の相談を受けることも多いです(笑)」

娘さんが未就学の時に始めた仕事も軌道に乗り、現在は会社化しているそう。

「離婚で忙しくてできていなかったのですが、やっと最近会社化しました。1人で立ち上げたものが、今は友人にも手伝ってもらい仕事は順調です。もともとは子育てが一段落したらと夢に描いていたことでしたが、相当早まりましたね(笑)。
今は日常の幸せを幸せと思えるし、離婚前より断然幸福度が上がったと思います。娘と元夫は月一、二回会っていて、ディズニーランドや好物のお寿司屋さんなどに連れて行ってもらっているようです」

でも、万事が解決、幸せ一直線ともいかないのがリアルなところのようです。

「元夫が再婚して、子どもが生まれるそうなのですが、あろうことか私ではなく娘に最初にそれをカミングアウトしてしまって。パパが大好きな娘は大ショックを受けてしまい落ち込んでしまって…。
離婚に際して、パパが浮気したからとは一言も言っておらず、悪口は一切聞かせたことはありませんでした。元夫からは、『ママのことが好きじゃなくなった』と聞いていたようです。娘にどう伝えるべきだったのか、今でも正解がわからないんですよね」

元夫が娘の父であることは変わりのない事実。赤の他人に戻った夫婦でもこれからも付き合いは続いていきます。

「面会交流のほか、高校卒業の段階でまた進学先に合わせて養育費の割合を決めないといけなくて。向こうが再婚して養う子ができていると減らされたり、私が再婚した場合や収入が増えた場合も減らされたりします。
どうして養育費が下げられちゃうんだろう。子どもであることに変わりはないのにと思っちゃいますよね。ちゃんと自分の子にみんな責任を持ってほしいです。シングルマザーで頑張っても手当も少なく、女性を応援しているとはとても思えないのが現状です。だから自分でもぎ取れるものはもぎ取って、頑張るしかない」

最後に、これから「リコカツ」したいと考えている人に、具体的なアドバイスをいただきました。

「証拠を見つけてしまったら、苦しいと思うのですが、相手を問い詰めるよりこらえて集め続けた方がいいです。そして専用のアドレスを用意して、そこに集める。それを時系列でわかりやすくまとめて、弁護士さんに相談しに行くのがいいと思います。仕事みたいですか?(笑) でも三十分の法律相談に行くときも、A4一枚にまとめた概要があるだけで時間を有効に使えますし、やるべきことが明確になります。仕事みたいに向き合っている方が精神的にもいいです。
あと離婚について話し合うときには、わからないようにスマホなどのボイスレコーダーを回します。そこからモラハラ発言や暴力があれば、それが証拠になる場合もありますし。
そうやってアドバイスしつつ、お世話になった弁護士さんの元に、離婚したいという友達をすでに十人ぐらいは紹介したと思います(笑)。悩んでいるママ、多いんだなぁって感じますね」

「パンドラの箱状態で、思い出すのに苦労しました」と笑いながら、誰かの助けに少しでもなるのならとお話ししてくれたAさん。「離婚したいなら、我慢しないで動いていけば、やれないことはないと思います」と、最後に教えてくれました。

Aさんのリコカツ年表

2014年・秋/夫の不倫に気づくも、話し合いにより和解。

2015年・春/再び夫の不倫疑惑が浮上。弁護士のアドバイスにより証拠集めを開始。その後、不倫が確定。離婚を決意するとともに、娘の日本の幼稚園受験の準備を開始。

2015年・秋/娘の幼稚園受験、合格

2016年・春/娘、幼稚園へ入園。日本へ帰国し、夫と別居を開始。夫へ不倫の事実を知っていること、離婚を考えていることを初めて伝える。日本で仕事を開始し自活の道へ。

2017年・春/夫へ離婚届を渡す。

2017年・夏秋/不貞相手への慰謝料請求を依頼。慰謝料300万円を受け取る。

2018年・春/娘、小学校へ進学。

2018年・秋/離婚合意書を夫へ渡す。そのまま親権交渉へ。

2020年・春/養育費交渉などを経て、離婚成立

※第3回は太字部分のお話

離婚までの覚えておきたいまとめ

・夫を責める前にまず証拠集め
・証拠を集める際は、専用のメールアドレスを作っておくと便利
・集まった証拠は時系列でまとめておく
・夫と話し合う時はボイスレコーダーを回す
・相性の合う弁護士を選ぶこと
・慰謝料の相場は最大で300万円
・養育費は子どもの成長にあわせて再協議が繰り返される

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取材・文/有馬美穂