【中学受験⑭】どの組織でもリーダーはとっても大事です 校長先生の話を聞いてみよう!の巻

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皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。今回も「実際に学校説明会に参加してみよう!」編。第6回目です。

前回は「“学校見学ツアー”に参加して、学校の生の様子を観察してみよう!」というお話をしました。

今回のテーマは学校説明会では必ずといっていいほどにプログラムに入っております「校長先生のご挨拶」。これに真剣に耳を傾けてみよう!です。


どのような組織であろうとも“リーダー”は大事です

リーダーはいわば、その組織の船長。その船が安全に目的地まで航海できるか、乗船メンバーが船旅を楽しめるか、極論を言うならばそれはすべて、その船長の才覚と力量にかかっています。

学校も組織のひとつですので、リーダーである校長先生は本当に重要な役割を果たしておられるのです。学校説明会はその中高一貫校の威信をかけたオフィシャルなイベントですので大抵の学校が気合いを入れて臨みます。故に、その学校の顔とも言える学校長の気合いの入り方は相当です。話に熱がこもり、ついつい予定時刻をオーバーしてタイムキーパー役の先生からの“巻き”が入ることも「あるある」です(笑)

先日も「前回も広報から『話が長い!』って怒られちゃって・・・」とボヤいていた校長先生にお会いしましたが、愛されキャラでいらっしゃるのでファンも多く、そのせいもあって大人気校のリーダーでいらっしゃいます。

このように人気校の校長先生のお話はとても楽しく、知らず知らずの内にその話術に引き込まれていくことが多いものです。笑いあり、心を打つ話ありで飽きることなく、最後には来場の保護者から拍手が起きることも少なくありません。

しかし、お話が上手・不得手ということは、そんなに重要なことではありません。 ここでは、校長先生のお話のどのポイントについて意識すればよいかをお伝えしましょう。

1 明確で具体的なビジョンを語ってくれるか 

中高一貫校は12歳から18歳までの、いわば急激に大人へと成長する時期に過ごす場所になります。この時期はしっかりとした人生の土台を築く時。先行き不透明と言われる時代において、未来を予測し、人間として幸せに生きるために付けておきたい力は何か?を明確にし、学校関係者すべてを巻き込んで、その思いをやり遂げる意志を示してくれているか。

聞いていて「なるほどなぁ。そうなのか~」と共感できたならば、その学校はあなたのご家庭に合っている学校かもしれません。

2 ワクワクする未来を予感させてくれるか

リーダーがどちらに向かって舵を切ろうとしているのかも大切です。学校も時代に合わせて日々、進化していますが、校長先生のお話の中で「子どもたちをこのように育てていく」という具体的な話に注目してみましょう。

学校は本来は「楽しい場所」でなければなりませんが、校長先生の話を聞いてみて、もし、お子さんがその学校に入学したとして、我が子の知的好奇心をくすぐる場所になり得るか、我が子の楽しい未来が待っていそうな予感がしたか?も重要なポイントです。

3 責任感が服を着ているように思えたか

一貫校の中でも、私立中高一貫校は公立中学に比べると学費も高額です。親は懸命に働いて、その学費を工面しているので、そのことも影響し、我が子が入学した学校への期待値が高いことが特徴です。そういう意味からも責任重大という使命を自覚されている私学の先生は多いと思います。「未来ある子どもたちを預かっている」という使命感を校長先生の言動から感じ取ってみてください。

4 あったかい人柄を感じたか? 

ある中学受験のご重鎮が「校長先生はちょっといい加減だけど明るく、遠くを見ている人がいい」と語られたことがあります。ここで言う“遠く”というのは未来であり、学校の外の世界であります。つまり積極的に学校外に出て勉強をする先生がいいということです。このあたりは保護者には見えにくいところではありますが、校長先生のご人脈というものもとても大切な部分なのです。しかし「良い加減」と「明るい」というお人柄は、私たちにもすぐに伝わってくるでしょう。

意外に知られていないのですが、多くの中高一貫校の校長先生は生徒とも仲良し。すごく距離が近いんです。生徒全員の名前と顔が一致している驚異の記憶力をお持ちの校長先生も少なくありません。「この校長先生、あったかいなぁ」「子どもたちが好きなんだなぁ」という感じが漂ってきたら、大切な子どもを預けて満足!である学校の可能性が高いと思います。

5 教育に信念を持っているか?

中高一貫校には建学の理念というものがあります。創設時より続く、理想とする概念のことです。校長先生がこの理念を時代に合わせた形で、どう発信し、実現しようとしているのかを聞いてきて下さい。「こういう人間を育て、世に送り出したい」ゆえに「本校では、こういう教育方針を持って、日々、生徒全員と向き合っている」というような教育に対する熱い思いを感じ取れたならば、多分、その学校にはとても良い風が吹いていることでしょう。


校長先生のご高話の中で「信頼できる」「共感した」「期待が持てる」あるいは「惹かれる」などというプラスの感想を持ったならば、その学校が志望校のひとつになり得る可能性があります。その場合は、更に深くその学校を見ていくことをお勧めします。

次回は8月5日にお目にかかりましょう。

鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト

2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。

その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。

ブログ:湘南オバちゃんクラブ https://note.com/torinko

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構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香

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