ジャニーズ論!アイドル論!佐藤アツヒロさん×ヒャダインさんスペシャル対談全文公開

毎回、意外な一面をのぞけると盛り上がりをみせる、対談形式のこじだん連載第2フェーズ!今回のゲストは、音楽クリエイターとして幅広い分野で活躍するヒャダインさん。ピアノやギターのあるスタジオで音楽の話題を中心に、ジャニーズやアイドル談義に花が咲く、楽しい時間となりました。
※お写真は、発売中のMart8月号をご覧ください。

テーマ:時代を超えたいいもの

いつの時代でも素晴らしいと感じられる、曲やアイドル、価値観などを本音でトーク。

at千駄ヶ谷のスタジオにて
関ジャニ∞やKis-My-Ft2など、ジャニーズにも多くの楽曲提供をしている、音楽クリエイターのヒャダインさん。今回の対談では、番組でも語ることの多いジャニーズや光GENJI愛を、佐藤さんにぶつけてもらいました。

時代によってアイドル像は変化していきますね

佐藤 僕や光GENJI、ジャニーズって、ヒャダインさんから見てどういう印象ですか?

ヒャダイン 小さいころから見ていたキラキラした世界ですね。楽曲提供させていただいていることが、いまだに信じられないです。ただ改めてきちんと歌うところを見るようになったのは、大人になってから。少年隊の映像は今見ても、運動能力や歌唱力がすごくて驚きます。

佐藤 僕もそれは思います。1曲ごとに衣装やセットなどをしっかり決めて、世界観をつくりあげていた。現在は女性アイドルが、その傾向を引き継いでいる気がします。

ヒャダイン 世界観をつくるという部分ではSexyZoneがドバイに行ったりと、現在のジャニーズグループもアイドルイズムを引き継いでいると僕は思います。ただアイドルって昔は手の届かない存在でしたが、今はSNSなどの影響で、身近な存在になってきていますよね。

佐藤 そう思います。身近さもありつつ、グループになるとすごいパワーを発揮する。時代によってアイドル像が変化していて、10年20年後もまた違ったものになるんでしょうね。


(誌面ではヒャダインさんが弾いてくださったピアノ。実際にアツヒロさんと距離を保ち、時間を区切った上でお話しながら、即興で素敵なメロディーを奏でてくださいました。スタジオに置いてあった譜面も、初見でさらさらっと弾いてらっしゃったのは、さすがの一言)

――おふたりにとって、印象深いジャニーズの曲はなんですか?

ヒャダイン 少年隊の「デカメロン伝説」、光GENJIの「パラダイス銀河」など、好きな曲だらけ。各グループのデビュー曲も、基本的に好きですね。クレイジーイズムが生きている曲なども、ささります。

佐藤 僕もまだジャニーズに入る前でしたが、「デカメロン伝説」は振り付けもジャケットもカッコよくて好きでした。ただ、僕らが歌った「STARLIGHT」「ガラスの十代」「パラダイス銀河」くらいから、ちょっと曲の路線が変わった気がします。

ヒャダイン そうですか!?〝しゃかりきコロンブス〞っていうワードは、絶対にジャニーさんが「You、それいいね!」って気に入ったんじゃないかって思っていました(笑)。

佐藤 確かにあの曲で僕たちは、いっきに銀河系まで行きましたね(笑)。その後、SMAPで、より身近な歌詞になり、そこからTOKIO、V6、KinKiKids、嵐とつながっていくんですよね。

ヒャダイン 当時は光GENJIというネーミングはもちろん、タンクトップに短パン、ローラースケートという姿にも驚きました。ジャニーさんにしか思いつかない世界観だと思いました。

佐藤 でも、よく考えると僕らや少年隊、それよりさらに前の先輩方も、みんなタンクトップに短パンなんです(笑)。10代の少年がキラキラするのに、合っていたんでしょうね。

ヒャダイン もしかしてSnowManやSixTONESも通った道なんですか?

佐藤 えー、どうだろう(笑)。


(こちらはアツヒロさんに持っていただいたギター。目線を合わせたり、手元を見たりと、ヒャダインさんとの呼吸もぴったり。セッションのシーンを撮影させていただきました)

ジャニーズは次々に新しいものを生み出すのがすごい

――ヒャダインさんが今までにジャニーズに楽曲提供したものには、どのようなものがありますか?

ヒャダイン 僕は基本的に、歌い手のリアルを描いた歌詞をつくります。そのため関ジャニ∞やKis-My-Ft2など、リアルな歌詞を歌うグループに提供することが多いですね。Kis-My-Ft2の宮田くんへは、彼のオタクの楽しい部分が伝わる楽曲をつくったことがあります。

佐藤 歌詞の中にアイドルの素の部分が見え隠れしているのがいいですね。

ヒャダイン 今求められているのは、そういうことなのかなと思います。コロナ禍を機にアイドル業界もいろいろと変わっていますが、ジャニーズは新しいものを次々と打ち出していてすごいですよね。

佐藤 ただ、ジャニーズの中にいると、新しさも古さもいろいろな世界観と共に、自分がやりたいことを大人たちと相談し合って、そこから生まれるものをジャニーさんが味付けをしていく。そこはやっぱり男の子の集団ですから。どの時代を見ても、常にお祭りですね。

ヒャダイン 確かにジャニーズの皆さんに曲をつくらせていただくときも、メンバーに聞くときちんとやりたいことを伝えてくれますね。

佐藤 昔からやりたいことは本人主導で、その意見をまわりのスタッフがなんとかしてくれていました。

ヒャダイン 逆にやりたいことがない人もいますか?

佐藤 いますよ。やりたいことがある人がグループを引っ張り、そうじゃない人は、その意見が尊重されます。ただそういうメンバーが、例えば演技やMCなど別の場所で力を発揮したりすると、それを伸ばしていこうってなるんです。

ヒャダイン 素敵なことですね!

佐藤 だからSixTONESもSnowManも各グループごとに、違った方向を追求しているんだと思います。

裸の王様にならないよう「先輩から後輩に降りること」が大切

――ところでおふたりは曲づくりや舞台演出などで、世界観をつくりあげることが多いと思います。そのようなとき、どのように取り組んでいるのですか?

ヒャダイン 僕はメカニカルに作業していくのが好きで、レコード会社からの曲の発注書や、打ち合わせどおりにつむいでいくタイプ。自由課題が苦手で、テーマと締め切りを提示してもらえれば、それに合わせてつくるほうが楽です。縛りがあるほうがつくりやすいですね。

佐藤 リアルな歌詞をつくるということは、身近なテーマが多いですか?

ヒャダイン そうですね。歌う人の代わりに言葉をつむいだり、言いたいことの延長線、補助線を引いてあげる。それを彼らが自分たちの言葉にして歌い、成長してくれればうれしい。さらに聴いたファンの人が感銘を受けてくれたら、よりうれしいです。

佐藤 僕は縛られるよりも0から1をつくるほうが好き。生み出した1をまわりに助けてもらいながら、さらにみんなでつくっていく感覚がいいですね。なにかをつくるとき、想像と真逆なことを言われると、こんな発想もあったんだとびっくりします。そういうときは自分が生んだものでも壊して、新しいものを混ぜていくことが大切。変化させながら、みんなで作品を完成させていくのが楽しいですね。

ヒャダイン 僕も提出した作品に、直しの意見をいただくことがあります。ただ作品をよくしたいと思い言ってくれることがほとんどなので、すぐに変えるようにしていますね。

佐藤 僕もその時の状況が完成だと思っているわけではないので、意見を聞くようにしています。

ヒャダイン ダメ出しはする方も怖いし、言いづらいと思うんです。それでも伝えてくれるのだから、ありがたい。誰からも言われなくなったらいよいよ……ですから(笑)。言われている間は大丈夫だと思っています。

佐藤 まわりから言ってもらえる環境づくりは大切ですね。

ヒャダイン 裸の王様になったらまずいですよね。僕は言いづらい雰囲気にならないように、ふだんからお調子者を演じたり、偉ぶらないように心がけています。そうすることで依頼する側も、もしかしたら意見を聞いてくれるかもと思ってくれるようです。

佐藤 僕が大切に思っているのは、「先輩のほうから後輩の立場に降りていくこと」で、ずっとそれを心がけてきました。僕は先輩に対しても、言いたいことをはっきり伝えるほうなんですよ。それを、少年隊の皆さんは受け止めてくれました。例えば、東山さんがくだらないことを言っていると、じーっと僕は冷たい視線を送ります。そんな僕を、東山さんは嬉しそうに「アツヒロ、俺は今、わざと言っているんだよ」と、返してくれます。

ヒャダイン 東山さんが照れたりツッコミをされるって、想像できないですね(笑)。

佐藤 嵐がハワイでデビュー会見をしたときに、東山さんと一緒に、実は僕も行っていたんです。部屋もつながっていて、プライベートでハワイの海に入ったことのないと言っていた東山さんだったので、夜の帰り道、「海に入りませんか?」と誘ったら、「水着はいてないぞ!」「いや、だからこのまま入りましょう!」と、服のまま海に入りました。すると、東山さんが「アツヒロ、楽しいな~‼本当に楽しいな~‼」と、水面をバシャバシャしながら、満面の笑みを返してくれました。

ヒャダイン それはすごい(笑)。先輩が降りてきてくれたら、恐縮しすぎずに後輩もちゃんと受け止めることも大切ですよね。先輩の立場でいることが多い東山さんだからこそ、佐藤さんがそれだけ無邪気に慕ってくれたのは、きっと嬉しかったんじゃないですか。

佐藤 でしょうね(笑)。

ヒャダイン 僕の好きな言葉なんですけど「『誰を好きか』より、『誰といるときの自分が好き』かが重要らしい」と、友人が言ってました。東山さんは佐藤さんといると、好きな自分になれるんじゃないですかね。今日対談してみて、佐藤さんは本音で話をしてくれる人だと感じました。伸び伸びした海外ではもっと違った一面が見られそうで、ぜひ一緒に海外旅行に行ってみたいです(笑)。

佐藤 本当ですか(笑)。では、いつか一緒に。

(実は撮影前、スタジオにはほかのカーテンが下がっていたのですが、光の調整をしたいと、急遽、違う布をカーテン風にカメラマンさんが取り付けてくださいました。撮影前は、スタッフが前入りし、光のバランスなどをチェックし、撮影場所を調整します)

《編集後記》
なぜ、今回ヒャダインさんにオファーさせていただいたのか。それは、アツヒロさんが内海光司さんと組んでさまざまなパフォーマンスを魅せる「ウッチーとアッくん」 プロジェクトを拝見し、アイドルについて語っていただくなら今だ!と思ったからです。時代と共に変わってきたという〝アイドル像〞ですが、垣間見える人間らしさの一方で、やはり誰かをドキドキさせ、共感させ、励ましてくれる大きな存在であることは変わらないなとも思ったのでした。

〈Profile〉
佐藤アツヒロさん
1973年神奈川県生まれ。1987年、光 GENJIとしてデビュー。2000年『ララバイまたは百年の子守唄』で初舞台を踏み、以降、数々の作品に出演し舞台俳優として高い評価を得る。 Johnny’s web内「ATSUHIRO’s STYLE」 にてアツヒロさん本人が回答するQ&Aやブログ、写真などを掲載中!

ヒャダインさん
1980年大阪府生まれ。音楽クリエイター。3歳のときにピアノを始め、 作詞、作曲、編曲を独学で身につけ、京都大学を卒業後に音楽活動をスタート。ももいろクローバーZ、AKB48、 ジャニーズでは関ジャニ∞やKis-My-Ft2などに楽曲提供を行っている。「musicるTV」(テレビ朝日系列)や「久保みねヒャダこじらせナイト」(フジテレビ系列)、「One More Pint!」(FM NACK5)などに出演中

撮影/有馬秀星 取材・文/酒井明子 編集/菊池由希子 構成/長南真理恵