【レシピ】いつもの料理を10分で ⑬酸辣湯
しっかりと時間をかけて作る日もあるけれど、それでは毎日がまわらない……。
とはいえ、時短料理は溢れているけれど、
ただただ短い時間で料理ができればいいと思っているわけではない……。
「なぜ」このやり方なら、10分で作れるのか?
「どこ」さえおさえていれば、味の要が守れるのか?
理由を知っていれば、レシピを見続けなくてもサッと作れるようになる。
料理研究家の上田淳子さんに、(ほぼ)10分で作るための、省いていい部分・守るべき部分、そして”発想の転換方法”を教えていただきました。
もちろん、時間をかけて作るレシピは素晴らしいけれど、
日々の小さな幸せには、こういったレシピも必要だなと感じるのです。
この作り方は、”本物じゃない”と思われる方もいるかもしれません。
ですが、名前のついた料理の”想像する絵”にこだわりすぎなくてもいいのではないでしょうか?
定番料理を作る際の、
こういう方法にしてもありなのでは? という
振り幅の広さを紹介していきます。
VOL.13
酸辣湯(サンラータン)
酸辣湯を食べたのは、フランスに住んでいた頃のこと。中華料理店で食べた酸辣湯は、ラー油の辛さというよりも黒胡椒がの刺激が印象的でした。今回は、黒胡椒の辛さが際立つ酸辣湯を作っていきます。
酸辣湯(サンラータン)は、中華料理のひとつで、酸味とほどよい辛みが癖になるスープ。具材はさまざまですが、鶏肉・豆腐・きくらげやしいたけなどのきのこ類、たけのこなど食感のあるものが細切りされて入っている印象がありますよね。
酸辣湯を作るためのキットなども売っていますし、市販の鶏ガラスープの素を使うのも大賛成。
でも、鶏だしをしっかり取ってなおかつ10分で作れたら!?
美味しいのポイントを考えていきます。
ほぼ10分で作れるのには、理由がある…!
省きどころ・抑えどころ
POINT①だしはしっかり取る。だけど鶏ひき肉で!
10分料理といえど、スープの美味しさは手を抜かない!
鶏ガラでも鶏手羽先でもなく、鶏のひき肉を使えば、短時間で、美味しいだしを取ることができます。ポイントは、水から煮ること。たんぱく質を熱によって変性させて、旨味を引き出していきます。もちろんだしを取ったひき肉は具材に。
POINT②季節の具材を好みで
酸辣湯というと、しいたけ・たけのこの細切りをイメージする人も多いかも知れません。「この料理を作るときは、この食材じゃないといけない!」といった、固定観念にとらわれることなく、好きに季節の具材を入れてみてください。夏ならトマトとレタスとか。トマトをくし型に切るだけ。レタスは手でちぎればOK! ですが、トマトは先にしょうがと炒めて旨味を出しておいたり、レタスは水につけてパリッとさせておくなど、ちょっとしたことをしておきましょう。ぐんと美味しくなります。
【材料】2〜3人分
- 鶏ももひき肉…200g
- ねぎ…1/3本
- トマト…大1個(200g)
- しょうが…小1かけ
- レタス…2〜3枚
- 春雨…15g
- 塩…約小さじ1
- こしょう…好みの量
- 酢…大さじ2~3
- ごま油…大さじ1
- 水溶き片栗粉(片栗粉 小さじ2:水 小さじ4)
- ラー油…好みで
【作り方】
1.ねぎは斜め切りにする。しょうがは細切りにする。トマトはくし形に切る。レタスは水につけてパリッとさせておく。
2.鍋にひき肉を入れ、水3カップ(分量外)を加えて泡だて器でよく混ぜる。弱めの中火にかける。沸いたらていねいにアクを取り、1のねぎを入れ弱火にして、5分ほど加熱する。
3.フライパンにごま油としょうがを入れて中火にかける。香りが立ってきたらトマトを入れて軽く炒める。この中に2の汁と具すべてを移し、春雨を入れる。春雨が柔らかくなったら、塩、こしょう(胡椒の辛さが際立つ程度の量)、酢で味を調え、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。
4.3にちぎったレタスを加え、軽くしんなりとしたら器に盛る。好みでラー油を入れて混ぜる。※酢をきかせたい場合は最後に加えても。
【バックナンバー】
【PROFILE】
上田淳子:料理研究家。スイスやフランスのレストランで修業を積み、現在の道へ。食育の活動も行う。著書多数。近著に『ごちそうしたい、ほめられたい 実は簡単! ハレの日ごはん』(NHK出版)、『上田淳子のチキンスープ − 鶏肉=具材、スープ。簡単、本格的。』(グラフィック社)など。
撮影/大森忠明 文・構成/松本朋子