【LIFE STYLE】パリ近郊 花とともに暮らす 番外篇 #旅の断片
パンデミックが終わったわけではないけれどワクチンの接種やソーシャルデイスタンスなどウイルスとの距離の取り方がまた少し変わったような感じがするフランス。そして、やはりそれでも来る夏。いろんな規制の下、用心を重ね、人が各々バカンスに出る季節が始まりました。
旅はいつもその土地に吹く風を感じさせてくれます。
あてもなくそんな時間を過ごすことはきっと、とても人間らしいこと。
ふと目に映った風景、植物…その瞬間にぱたっと、扉が開き何処かに続く。
旅の中で拾い集めたその土地の空気、インスピレ–ションの綴りです。
夜の海水浴
夏休みの海。今日は一日暑かった。
夕方、潮が引き小さな島に渡り歩くことにする。
砂地と岩場を辿り水の中に住んでいる生物を見ながら通り抜けていくと、白や黄色の野草が生える島についた。
足が水の奥底につく時間は限られていて、一日に2回その間だけに現れる風景はいつ見ても面白い。日常の下に隠れている非日常がぽっかり見える時。
20時。
島の端に自然が作った防波堤のようなごつごつとした石の砂利浜に辿り着くと地平線を背景にすいすい泳ぐ人が見えた。
足を水につけると驚くほど冷たい。勇気を出しゆっくり時間をかけて水に入る。まずは膝まで、次は腰まで。キリキリと体が冷えていく。そしてやっとのこと肩が水の下の入ると驚き!突然冷たさが消え去った。
太陽は海から40度くらいの高さ。それを見ながらゆるゆる泳いでみる。
夜の海水浴は短い。
さっき海にいた人はひとしきり泳いで帰ってしまったようだ。
海水が戻りだすとその速さはすこぶる早い。今のうちにそろそろ戻ろう。
昼間の青緑の海を探す人達。
海に落ちる太陽の雫を探す人達。
ここでは海の呼吸に合わせて一日が過ぎる。
【PROFILE】
西田啓子:ファーマーズフローリストInstagram@keikonishidafleuriste
フランス・パリ近郊花農園シェライユ在住。パリの花のアトリエに勤務後、自然を身近に感じる生活を求め移住。以来、ロ-カルの季節に咲く花を使いウエデイングの装飾や、農園内で花を切る事から始める花のレッスンを開催。花・自然・人との出会いを大切にする。
https://keikonishida-fleuriste.jimdo.com/