石田ゆり子さん、翻訳の絵本「海のむこうで」の魅力

HERS夏号のカバーモデル、俳優の石田ゆり子さんによる初翻訳の絵本、『海のむこうで』をご存知でしょうか?

原作は、作家でイラストレーターでもあった、アメリカ合衆国ミネソタ州生まれのM.B.ゴフスタイン。谷川俊太郎さんが翻訳した、『ねむたいひとたち』や『おばあちゃんのはこぶね』で馴染みのある人もいるかもしれません。

今年発売になった『海のむこうで』(原題『Across The Sea』)は、
1968年発表のゴフスタイン初期の作品で、日本では未刊行だったもの。

実に50年以上もの歳月を経て、石田ゆり子さんの翻訳で蘇ったわけです。

小さな小さな日常のなかに
幸せは宿っていて
その一瞬に集中して生きている子供達の時間は
不思議なくらい永遠なものとして
心に刻まれる。
その一瞬を切り取った物語。それが
私の思うゴフスタインの世界なのだ。』(石田ゆり子 「あとがき」より)

その小さな小さな日常に目を向けていきたい日々にこそ、読みたい一冊です。

この絵本は、独立した5つの物語で構成されています。海のむこうでおじいさんと私が時空を超えて出会う話からはじまり、ひと気のない風車に現れた食いしん坊な鳥のお話で幕を閉じる。つながっているようで、つながっていないようで、でもどこかでつながっているような感じのする物語。静かな日常。そこの先にある小さな希望が描かれています。

石田ゆり子さんの紡ぐことばが、柔らかく。やさしく。あたたかい。何度もくりかえし読みたくなる一冊。

今、どこかで、こういった言葉とやわらかくて思わず頬が緩むそんな優しい絵を求めているのかもしれません。

IMG_8212のコピー

著者:M.B. ゴフスタイン
翻訳:石田ゆり子
発行:株式会社トンカチ
2,750円

公式サイト