10人の器作家の「暮らしの白」 ②吉田直嗣さん

吉田直嗣さん
白磁 三角小鉢

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「土+灰+α」という最低限の材料で、シンプルに作る吉田さん。白磁小鉢は「磁器土+透明釉」。
釉薬の化学変化により白の中に淡い陰影ができる。口縁は極薄。¥4,400。約Φ16.5×高さ5.5cm

焼物には大きく分けてふたつある。陶土を用いた陶器と陶石を用いた磁器だ。薄く繊細な器が魅力の吉田直嗣さんが白い作品に用いるのは、滑らかで伸びがよく、極限まで薄く作ることができる磁器の土。
「磁器土は余計な手を加える必要がないと思えるほど、完璧な素材。そんな土を前に僕はただシンプルにろくろをひくだけです」という吉田さん。磁器に触りたいという思いが、自分を白に向かわせたと語る。
「ただ美しいと思えるものがそばにあることは、それだけで幸せなことだと思う」と器に取り組む彼にとって白とは、高台から口縁に向かう線や薄さを印象づける口造りなど、器が器であるための「ライン」の美を鮮明にするもの。奇をてらわない美しさに気付かせる色なのだ。

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撮影/邑口京一郎 取材・文/衣奈彩子 構成/松本朋子