【レシピ】いつもの料理を10分で ⑮秋刀魚の梅煮
しっかりと時間をかけて作る日もあるけれど、それでは毎日がまわらない……。
とはいえ、時短料理は溢れているけれど、
ただただ短い時間で料理ができればいいと思っているわけではない……。
「なぜ」このやり方なら、10分で作れるのか?
「どこ」さえおさえていれば、味の要が守れるのか?
理由を知っていれば、レシピを見続けなくてもサッと作れるようになる。
料理研究家の上田淳子さんに、(ほぼ)10分で作るための、省いていい部分・守るべき部分、そして”発想の転換方法”を教えてもらうウェブ連載。
もちろん、時間をかけて作るレシピは素晴らしいけれど、
日々の小さな幸せには、こういったレシピも必要だなと感じるのです。
この作り方は、”本物じゃない”と思われる方もいるかもしれません。
ですが、名前のついた料理の”想像する絵”にこだわりすぎなくてもいいのではないでしょうか?
今回は、秋。ということで、
定番料理ではなく、定番食材「秋刀魚」をテーマに進めていきます。
VOL.15 秋刀魚の梅煮
秋の風物詩、秋刀魚(さんま)。
今年も高騰していると聞きますが、それでも涼しくなったら食べたくなるもの。
とはいえ、忙しい毎日。
魚を焼くのはかんたんでも、魚焼きグリルの片付けまで考えると億劫になってしまいがち。
フライパンで焼いたとしても、上手に焼けなかったり、どんなにきれいに洗っても秋刀魚の匂いがフライパンに残ってしまったり……。
そんなちいさな”億劫”を解決するのが、煮魚。さっと5分ほど煮るだけ。
旬の味を気軽にかんたんに10分以内で作っていきます。
“ポイント”
秋刀魚でなくても、青魚ならOK。細身な秋刀魚は加熱時間が少なく済むので、短時間料理に向いています。
空いた牛乳パックを開いてまな板代わりにすることが多いですが、牛乳パックがないときは、匂い移りしないようにペーパータオルを敷いています。
青魚のくさみは、「酒多め」で解決。
青魚の煮物の厄介な部分、「魚臭さ」は、酒を多めに入れることで解決できます。
また、脂っこさは梅干しで解消。香りをプラスするためにしょうがを入れれば、美味しく煮上がります。
上田家の落し蓋。
専用の落し蓋を使ったり、アルミホイルをくしゃくしゃにして丸型にしてから菜箸で穴をあける方法など。何を使ってももちろんいいのですが、上田家の落し蓋を紹介します。
四つ折りにしたアルミホイル(オーブン用ペーパーでも可)をさらに対角線に折り曲げて、三角形を作ります。
使用するフライパンの口径よりもひと回り小さい円形に手でちぎり、
中央にも1箇所ちいさい穴をあける。(折った鋭角部分をちいさく手でちぎる)
秋刀魚の梅煮
【材料】2尾分
- 秋刀魚(頭と内臓を取ったもの)…2尾
- 酒…1/2カップ
- みりん…大さじ1
- 醤油…大さじ1
- 水…1/2カップ
- 梅干し…2個
- しょうが(せん切り)…小1かけ分
【作り方】
1.秋刀魚は、2等分に切って、水で洗ってペーパータオルなどで軽く押さえるように水けをふく。梅干しは種を取り除き、半分にちぎる。
2.小さめのフライパンまたは鍋に酒、みりん、醤油、水、梅干し(種も)を入れて混ぜ、火にかける。煮立ったら、秋刀魚を並べ、落とし蓋(別途参照)をし、再び煮立ったら中火にし、5分ほど煮る。
【バックナンバー】
【PROFILE】
上田淳子:料理研究家。スイスやフランスのレストランで修業を積み、現在の道へ。食育の活動も行う。著書多数。近著に『ごちそうしたい、ほめられたい 実は簡単! ハレの日ごはん』(NHK出版)、『上田淳子のチキンスープ − 鶏肉=具材、スープ。簡単、本格的。』(グラフィック社)『4つのソースでごちそうレシピ』(学研プラス)など。
撮影/大森忠明 文・構成/松本朋子