【漢字】「馴致=くんち」は間違い!意外と読めない漢字3選|CLASSY.
数回にわたって、漢字学習の目標となり、その到達度をはかることのできる「日本漢字能力検定(漢字検定)」の2020年度に実際に出題された過去問から、CLASSY.ONLINEではいくつか漢字を紹介しています。
さて、今回は「2級」の1ランク上の「準1級」の問題を取り上げます。漢字検定の問題は、「2級」と「準1級」のレベルの差が一番大きいと言われます。「2級」の出題範囲は、常用漢字の読み書き中心の「2,136字」ですが、「準1級」になるとこれが一気に「約3000字」となり、常用漢字外が増えて一気に難しくなります。どれくらい難しくなるのか、お試しください。では、始めましょう。
1.「馴致」
最初は「長年の間に馴致された習慣に泥む」の問題文で出題された「馴致」です。さて、何と読みますか?
「クンチ」とか「センチ」とか読んだ人はいませんか。常用漢字「致」は音読み「チ」と読めるとして、常用漢字外の「馴」が難しい。正解は「ジュンチ」でした。「馴」は「な・れる」と訓読みし、常用漢字の「慣れる」と同じ意味で使いますが、とくに「動物が人に警戒心を持たなくなる」あるいは「その人に対して親しみの気持ちを持つようになる」という意味で使うことが多い。北欧で人に飼い馴らされた鹿を意味する「馴鹿(トナカイ)」なんていうのもありますね。
ちなみに「泥む」は読めますか?
さらに、もう一問。先ほどの問題文末の「泥む」は読めますか?
正解は「なずむ」と読み、「馴染む(なじ・む)」と同じ意味になります。「暮れ泥む」のように使い、「進まない・とどこおる」の意味を添える使い方もあります。
2.「灼」
次は「霊験灼な観音様に参列者が列をなす」の問題文で出題された「灼」です。さて、何と読みますか?
常用漢字にないけれど、「灼熱の太陽」と使う「シャク」だというのはわかりますね。でも訓読みがわからない、そんなところではないでしょうか。正解は「あらたか」でした。「灼」とは、「神仏の霊験や薬の効き目などが明らかなさま」という意味になります。なお、「灼か」と「送りがな」を伴う表記もあります。
ちなみに、問題文や今の語釈に使われている「霊験」は、「レイケン」とも読みますが、多くの国語辞典では「レイゲン」のほうを見出し語としていますので、こちらの読みが基本です。
3.「補綴」
最後は、「論文中の不備な記述を補綴する」の問題文で出題された「補綴」です。さて、何と読みますか?常用漢字の「補」は、音読み「ホ」と読めるとして、問題は常用漢字外の「綴」です。それでも、訓読みなら「つづる」あるいは「とじる」と読める。では音読みは……。
正解は「ホテイ」でした。また、「ホテツ」の読みも正解としています。意味は、「破れなどを繕うこと・文章などの不足を補うこと」になります。
ところで、国語辞典では、「ホテイ」のほうを見出し語にして、「ホテツとも」と注記しているものが多いのですが、たまたまネットで検索したところ、歯科医療の世界で、歯がなくなった場合に入れ歯などの人工物で補う治療を行う「補綴歯科」は、軒並み「ホテツ歯科」と読むようです。いや、勉強になりました。
いかがでしたか?冒頭でご紹介した通り、「準1級」になると急にレベルが上がるというのが、おわかりいただけたのではないでしょうか。「これなら合格できるのでは」と思われた方々はぜひ実際の受験をお勧めします。やはり、何か目標を持つと、生活にメリハリが出るものです。
では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「漢検過去問題集2級」(日本漢字能力検定協会)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)