【イヤイヤ期】子どもへの「ダメ!」を回避する5つの方法
子どもと一緒に過ごす時間が増える年末年始。今週のVERYweb「こども遊び研究所」では、「ダメ!」「早くしなさい!」などママがつい子どもにキツく言ってしまうシーンを遊びに変えるユニークなアイデアを井出武尊さんに教えていただきました。
イヤイヤ期のコミュニケーション
ダメ!と言わない遊びの提案
子どもたちは生まれて3歳くらいまでの間に大きな成長を遂げます。歩く・走る・投げるなどたくさんの動作が出現し、言葉も上手になり自我の芽生えとともに自分の気持ちを伝えるようにもなります。主張が強いのが転じてイヤイヤ期なんていう言い方もあるくらい。
自分の意思がはっきりとあるものだから、大人の言うことを聞き入れられないこともしばしば。親としては「それはダメ!」とか「早くして!」等、少しきつく言ってしまうこともあるかもしれませんね。思わず強く言ってしまい、後で反省するという経験が僕にもあります。
ここは「こども“遊び”研究所」ですから、きつく言ってしまいそうな場面を遊びで楽しく回避する方法を考えてみました。代表的な5つの「〇〇しないで!」と「〇〇して!」を例にご紹介します。
「走らないで!」→ゆっくり歩く動物になりきり
交通量の多い道路やお店の中などで子どもが走ってしまう時には、歩くのが楽しくなる遊びの提案を。ゆっくり歩く動物の真似をしながら歩いて目的地へ向かいます。
「ゾウさんになって歩いていくよ!」と声をかけて、のっしのっしと大きくゆっくり歩いてみせます。しばらくしたら「今度はキリンさん」「カバさんはどんなかな?」と動物を変えるとより楽しく遊べます。広くて安心な場所に着いたら「トラさんになっちゃえー!」と逆に思いっきり走って発散しましょう。ゾウさんが気に入ってなかなか進めない時には「今度はヒト(人間)に変身だ!」と言えば普通に歩けるかも。
※車や自転車、周囲の人に注意しましょう。
「静かにして!」→ポーズを決めたら静かにするよ
レストランや電車、バスの中など静かに過ごしたい場所でも、子どもには声の大きさのコントロールが案外難しいもの。こんな時にはママやパパが特定のポーズをしたら静かにする、という遊びと、小さな声でおしゃべりする遊びのミックスでいきます!
まずは特定のポーズで静かにする遊び。わかりやすいのは人差し指を口の前に持ってくる「しーっ」のポーズ。このポーズの時は静かにするというお約束。「ママ(パパ)がこのポーズしたら静かにする遊びだよ」と遊び感覚で楽しんでください。
「しーっ」ができたら、今度は静かにおしゃべりする遊びです。子どもの耳元で小さな声で話しかけます。ちょっとくすぐったい感じも手伝って楽しい遊びになります。
「早く行くよ!」
→ごっこ遊びで身支度も遊びに
早く出かけたい時に限ってぐずぐずして、なかなか出かけられないもの。ならばごっこ遊びの要領で身支度を遊びに変換します。お着替えが進まない時は洋服屋さんやヒーローの変身に、靴を履いてくれない時は靴屋さんに。
「いらっしゃいませ、ここはお洋服屋さんです!」という感じ。着替える洋服も大人が決めずに2〜3つ提示して「今日はどれにしますか?」とショップスタッフになりきります。ヒーローに変身という想定ならば敵にやられているふりをしながら「パジャママン!お洋服ヒーローに変身して助けてくれ!」という感じで着替えてもらいます。なりきり度が高いほど遊びも盛り上がります。
あるいは最初にご紹介した「歩くのが楽しい遊び」に誘ってもいいですし、以前の記事「子どもとのお散歩が楽しくなる10のアイデア」も参考にしてみてください。
「お風呂に入って!」→お風呂をおもしろ実験室に
目の前の遊びに夢中でなかなかお風呂に入ってもらえないと、結果的に就寝も遅くなり生活のリズムがくるってしまいます。出かける時のようにお風呂も「ごっこ遊び」にするのもいいですね。桶やタオルを使えば様々なごっこ遊びが楽しめそうです。
さらにお風呂ならではの「お風呂で実験室」というのはいかがですか?実験と言っても楽しく水の不思議に触れるくらいの気持ちでOKです。
プラスチックのコップやおもちゃなどをひとつ持ち込めば「浮力の実験」です。「どうして浮かんでいるんだろうね?」「中にお湯を入れたらどうなると思う?」と大人にとっては当たり前のことでも言葉にして一緒に楽しんでみてください。逆さまにしてお風呂に沈めても中にお湯が入らないこともとっても不思議な体験です。お風呂に入ると水のかさが増すのも不思議。
氷を一粒持ち込むだけでも楽しいですよ。氷が溶けていく様子や、お湯の温度の変化などを観察してみましょう。
「きょうだいで仲良く!」
→一緒に少し特別な遊びに
きょうだい喧嘩は親の永遠の悩みかも…。それぞれに好きなことが違うのに、どちらかがやっているものを欲しがったり。ヒーローが大好きな男の子が、女の子のおままごとに侵入するなんてことも度々。
基本はそれぞれの遊びに集中できるように誘います。ヒーローの例で言えば喧嘩になりそうな時には、大人が倒すべき悪者を演じておままごとの世界から本来のヒーローの世界へ導いたり。こっちの方が楽しそうだと感じられるよう、演じる悪者はとっても悪い感じで!
一つのおもちゃを取り合うようなことも多いですよね。特にイヤイヤ期にはなかなか譲れません。別のものを提案してダメな場合にはきょうだい一緒に、普段はしない少し特別な遊びに誘います。こういう時だけはスマホに触れても良いことにしたり、お布団の上で転がって遊んだり。特別であるほどに気持ちの切り替えは早くなります。
きょうだいでおもちゃの取り合いになるのは心の成長の証でもありますから、ある程度は見守っていれば良いと思います。大人もストレスを溜めないように気分転換を見つけましょうね。
遊びは「楽しい」という気持ちが前提にあります。だからこそ子どもの自発的な行動を促せるものでもあると思います。子どもたちにとって遊ぶ時間は成長に必要な生活の一部です。遊びの力をうまく使って楽しく過ごしたいですね。
遊んでみた様子は、ぜひ#takeruide #VERYこども遊び研究所 のハッシュタグをつけてInstagramにアップしてくださいね!
\教えてくれたのは/
◉井出武尊さん Takeru IDE
2004年東京藝術大学先端芸術表現科卒業。子どもと遊びの企業にて多数のプロジェクトに携わり、15年以上にわたって子どもの遊具や遊び場のデザインを手がける。幼少期における表現活動の重要性を感じており、遊びのプログラムの開発、ノウハウの提供、情報発信などに幅広く従事。子どもの表現教育のためのミュージアム設立が目標。2021年1月現在、5歳の娘と毎日遊ぶ様子がSNSを通じてママたちの関心を集めている。Instagram:@takeru_ide