【RESTAURANT】ひと皿の向こう側/SES(セス) 後篇

季節ごと、月ごとに“あの料理”を食べに訪れたくなる
記憶に残るひと皿に出会えるイタリア料理店

リストランテ級の料理がカジュアルな雰囲気でワインとともに味わえる『SES』。店名の「SES」は「SESSION」の略。と、いうことで、ジャズバンドのトリオのセッションをイメージしてアーティストの松本セイジさんが描いたこちらの壁画がお出迎え。

松本セイジさんは、榎大輔シェフのニューヨーク時代(※)からの友人で、現在は東京を拠点に活躍されています。セッションとは、いろいろな人、さまざまな要素が一緒になって一つのものを作り上げること。この壁画はそんなスタッフの想いを象徴するものです。
「料理とワイン、スタッフとお客さんとのお喋りや笑い声などが渾然一体になって、日々雰囲気が変わるような店、食事するだけじゃなくてリラックスできたり、刺激をもらえたりする、そんな店にしたいという想いをこめた店名です」(小池純平さん)

※榎大輔シェフは、代官山『カノビアーノ』のシェフを務めた後、ニューヨーク『バスタパスタ』で3年間、経験を積み、2018年より『ALTRO!』のシェフに。

『ALTRO!』時代のお客様が来てくださることも想定して、恵比寿に近いエリアで見つけた物件は、築52年の外壁に施されたタイルや石にヴィンテージ感が漂う、趣のあるビルのガレージ。店の中央にある梁をどうしたものかと悩んだ末、逆に梁の存在感を利用してその下に奥行きのあるカウンター席を設け、照明も梁に設置するスタイルに。席数は11席と少なめですが、ゆったり座れて居心地がよく、キッチンとの距離感も程よいカウンター席になりました。

カウンター席のほかに、4人が座れるテーブル席、同じく4人で使用できる個室もあります。

お料理はこれまで提供してきたものの中から、とても好評だった“季節の風物詩”的なメニューはシェフのスペシャリテとして提供していきつつ、あくまでも食材ありきでその魅力を堪能できるひと皿に仕上げられ、私たちを楽しませてくれます。夏になったらシンコの握り、寒くなってきたらヒラメ、そろそろ香箱ガニかな・・・と、季節の移ろいとともに食べたいネタが浮かんでいそいそと足を運ぶ、街のお鮨屋さんのように。

前編でご紹介した「カステルフランコ とゴルゴンゾーラのサラダ、みかんのドレッシング」(¥2,200)です。

大人気のこのひと皿は、冬の風物詩的メニュー。ワインを飲みながらむしゃむしゃ食べたいサラダ。むしゃむしゃ食べながらもそれぞれの素材の味がしっかりと感じられます。それにしても、カステルフランコは美しい野菜です。

「真鱈白子と下仁田ネギ、黒トリュフのスパゲッティーニ」(¥4,900)

火を入れて軽く炙った白子と、熱を加えた下仁田ネギのトロトロッとした感じを生かすよう、ソースは旨みたっぷりのあさり出汁にクリームを少し加えた重くないものに。トリュフの土の香りも心地よい、まさに冬のパスタです。

「牛ほほ肉のバルサミコストゥファート 百合根とアンディーブのクリーム」(¥3,900)

ほほ肉を煮込む際に加えたバルサミコの酸味とアンディーブと百合根のクリームによって、しっかりとした味わいながら食べ進めても重くなりすぎない煮込み料理。クリームは、百合根のホクッとした芋のような食感とアンディーブの繊維質のシャキッとした感じも残るように仕上げられています。

※料理はすべて2皿分の値段、ほかにパン代として¥300

店内の黒板には、20種類ほどのグラスワインが紹介されています。ブドウや産地でも選べますが、ミネラリー、芳醇、骨太、エレガントなどのタイトルでピンときたものについて小池さんに相談しながら選ぶのも楽しい。ペアリングもお願いできます。

今回ご紹介したお料理と飲みたいワインを選んでいただきました。

右・【 Jホフスタッター ジョセフ ゲヴェルツトラミネール 2020】
ゲヴェルツトラミネール特有のライチのような華やかな香りと果実味もありながらもドライ。甘い香りはゴルゴンゾーラチーズとよく合いますし、皮ごと使ったみかんのドレッシングとカステルフランコのほろ苦さは、このワインのミネラル感と好相性。実は、先にワインを見つけて、このワインを飲みながら食べられるサラダをイメージしてカステルフランコのサラダが生まれたそうです。

中・【シャトー勝沼 鳥居平今村 ヴィンテージ・コレクション キュヴェ・ユカ ブラン 2004】
100年経っても飲める、長期熟成を見越して造られたワイン。“ユカ”は現当主のお孫さんの名前だそうです。白子に合わせたいワインを探していたときにとあるお鮨屋さんで飲んだ、木桶熟成で江戸時代の酒を再現した島根の日本酒「寛文の雫」が、火を入れた白子との相性が抜群に良かったことを思い出して選んだというワイン。熟成してトロンとした甲州の甘さが、白子と下仁田ネギの甘さに合い、桶熟成のリッチな鼻に抜ける香りが、トリュフの香りと非常に相性がいい。

左・【ニーノ・ネグリ カルロ・ネグリ スフルサート 2016】
キアヴェンナスカ(ネッピオーロのこと。ロンバルディア州ではこう呼ばれます。)を房ごと陰干しして造られるワインですが、見かけによらず意外とさっぱりした味わい。軽めに仕上げられた牛ほほ肉の煮込みとよく合います。

今宵はどんな魅力的なセッションが繰り広げられるのか・・・確かめるために足を運びたくなります。右から、小池真奈美さん、小池純平さん、榎大輔さん。

DATA

SES(セス)

東京都渋谷区東2-21-3 イトマサビル 1F

☎︎ 03-6805-0780

営業時間:17:3024:00L.O.

休:日曜

2021920OPEN

撮影/牧田健太郎  取材・文/齊藤素子 構成/中村 亮

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