【広末涼子さん連載vol.5】子どもの学習習慣。親はどこまで介入するべき?

驚愕のテストの点数から親子で一念発起!

1月号からスタートした広末涼子さんの連載「毎日が3兄弟ママで、女優」。
ここで取り上げた読者ママの悩みに対して、広末さんも一緒に考え、思うことを語っていただく、Junior STORY本誌連動企画です。

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3月号読者

ママの声①

子ども9歳男子 山中祐子さん 46歳 フリーランス
子どもの帰宅時間に家にいられないので、宿題を終わらせておくように言うのですが、それがなかなかできない。勉強のフォローができず、義母に仕事を辞めるよう言われたことも。仕事も中途半端にはできないので自分のせいで子どもの成績が悪くなったのではと自己嫌悪に。働くママたちは子どもの勉強にどう向き合っているのでしょうか。

ママの声②

子ども10歳男子 片岡由美さん 43歳 会社員
専業主婦だった時があったので、その時に学習習慣がついていたのですが、働き始めてから手薄になって、明らかに勉強ができなくなってしまった。睡眠時間を削って練習問題を作ったりはするけれど、間違い直しまで見てあげられなかったり。今はオンラインの家庭教師に見てもらって何とかやっていますが、難しくなるこれからが心配……。

どうしたら日々の学習習慣が身につくのか? 自ら机に向かってくれるようになるのか? テストで満点をとりなさい、とは言わないけれど、せめて毎日の宿題くらいは自分できちんとできるようになってほしい。たいていの親が持っているこんなささやかな願いを、私も同じように抱いていた長男がまだ小学生の頃。
 
小学校入学時に息子と中学外部受験を約束していた私は、小1~小3は〝くもん〞で日常的に学習習慣をつけさせ、4年生からは塾で本格的に受験勉強の態勢に入る! という計画を立てていました。そして無論、この方法で学校の勉強のみならず受験戦争にも対応できる! と思い込んでいたのです。しかし、かなり早い段階でこのプランは崩れることに……。
 
当時の私はまだ20代で家事と育児と自分の台詞を覚えて撮影現場に行くだけで必死で、長男の宿題をみてあげることなんて殆どできていなかった。正直なところ、私は生まれてこのかた親に勉強をみてもらったことなんて一度もなかったので、息子が小学校に入学してから暫くの間は、宿題をチェックしてあげなくてはいけないことにすら気づいていなかったのが事実(苦笑)。
 
そしてこれは四国の田舎で女子として育った私の常識なのだけれど、宿題は自分でやるのが当たり前で、普通に提出するのが当然だと思っていました。うちの長男に出逢うまでは(笑)。

そしてその日は突然訪れたのです。 いつものように息子のランドセルの底の方に蛇腹になったプリント類を引っ張り出し、その可哀想なしわくちゃな紙たちをテーブルの上で破れないように両手で引き伸ばしていた時のこと。私の目に飛び込んでたのはナント、ナ、ナ、ナント! 赤い0(ゼロ)の文字。

一瞬、何のことか理解できなかった私は、頭の中がハテナマークでいっぱいになり、目をこすって再度凝視。そう、それは紛れもなく彼が持って帰ってきた漢字の小テスト0点の回答用紙だったのです。いくら小テストとはいえ、いくら彼が真面目に漢字練習をしていなかったとしても、まさか〝0点〞をとるとは。0点をとるのは、のび太くんくらいで漫画の世界の中だけのことだと思い込んでいた私にとって、それは衝撃の出来事。そこから、子どもの勉強をみる! とことん漢字チェック! という母親としての私のチャレンジが始まったのです。

今学期に習った漢字を総チェックし、練習帳を用意、練習問題を作ってテストをし、書けなかったものや間違えたものをノートに書いて復習する! ひたすらこれを繰り返していくことで彼の苦手な漢字がわかるので、次の問題にはその間違えやすい漢字を多く出題していく。反復すれば、いつかは覚える!!
 
仕事から帰ってきて、彼のその日の漢字採点&次の日の問題作成が私の毎日の日課に。初めは気が遠くなりそうだったけれど、慣れてくると母としては、やり甲斐もあり、息子と一緒に同じ目標に向かっている感覚も含め意外と楽しい作業に。

しかし、来る日も来る日も漢字特訓をさせる私に息子が付けたあだ名は、〝漢字ババア〞(爆笑)。「うわあー、また漢字ババアが来たあー」
こうして私はしばらくの間、漢字ババアと呼ばれるようになったのでした。

まあ、そんな親子の奮闘と努力の甲斐もあり、長男はテストでまともな点数をとるようになり、二度と赤い0(ゼロ)の文字を見ることもありませんでした。そして、それと同時に、彼自身が勉強法を身につけたのか、漢字だけでなく他の教科も成績が上がり、気付けば自然と勉強相手としての母の出番はなくなり、漢字ババアの任務完了。私は無事、普通の〝ママ〞に戻った(戻れた)のでした。

子どもの勉強に付き合うのは想像以上に大変なこと。宿題や予習・復習にどこまで付き合うべきなのか、悩みどころ。

「宿題は、ママへの宿題じゃないのよ!」と叫びたくなる。

そんな時は、叫んだらいいと思う! ママの心の声をたまには子どもに知ってもらうのもいいことだと思う。 そして、それを叫んだうえで、一度一緒に頑張ってみるのもいいかもしれません。わが子と一緒に目標設定し、チャレンジしてみる。そうすると、その時間がかけがえのない次への第一歩に繫がるかもしれません。

〈次回へつづく〉

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広末涼子 1980年高知県生まれ。14歳でデビュー後、CM、ドラマ、映画と数々のヒット作に出演。日本アカデミー賞をはじめ受賞歴も多数。プライベートでは、高校生、小学生、幼稚園児と各世代3人の子ども達のママ。

文/広末涼子 撮影/HAL KUZUYA ヘア・メーク/山下景子(KOHL) スタイリスト/竹村はま子 取材/小仲志帆
【衣装クレジット】ジャケット¥28,600(styling//styling/ ルミネ新宿1店)ワンピース¥154,000(カオス/カオス表参道)パンプス95,700(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)ピアス¥12,100(メラキ/フラッパーズ)

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