ひとつの「白」で、暮らしを変える⑥
どんな白を美しいと感じるのか、どう探せば〝いい白〟に出会えるのか。そもそも、白いプロダクトの魅力とは?数々のプロダクトに触れてきた、インテリアデザイナー・吉田裕美佳さんの視点を探りに、自宅を訪れました。
吉田裕美佳さん
インテリアデザイナー〈FLOOAT,INC.〉。人の動きや流れを考慮したデザイン、マテリアルやディテールに至るまで、居心地のよさを追求した空間づくりに取り組んでいる。
「プロダクトの白」を味方に
同じものが二つとない〝一点もの〟が暮らしを彩る力は言わずもがな。インテリアデザイナー・吉田裕美佳さんは20代でこの仕事に就いて以来、それとは対照的な〝プロダクト〟に心惹かれてきました。「リピートがきくことは大事。壊れてしまっても、買い足したり修理することで日常を繋いでいけるのがプロダクトの魅力です。アートではなく日用品に近いものならなおさら、機能美を頼りにしたい」。中でも白いプロダクトには、吉田さんならではの視点が。「白は、最もシルエットが美しく浮かび上がる色。例えば赤や青のように、経験から刷り込まれた印象をほぼ持たないので、プロダクト自体を一番ピュアな目で堪能できるはずです」。それを心ゆくまで味わえるのがこの自邸。内装の自由設計が叶うコーポラティブハウスで、白い壁に囲まれた空間を作り上げました。「光の回り方やマテリアルの映り方は、置かれる場所によって大きく変わります。白い空間はそういう意味でプロダクトと向き合える。とにかく物が大好きなので日々増えていきますし(笑)、頻繁に配置換えもする中で、物同士を馴染ませてくれる役割もある」。物を置くために取り付けたヴィツゥのユニットシェルフ。それに合わせて切ったフィックス窓から注ぐ光によっても、白いプロダクトの輪郭がきれいに立ち上がっています。
「何事も、白であり理由や意味がちゃんとある。家なのでギャラリーみたいな場所を目指すわけではないけれど、物が映えるような環境で暮らしていたいと思うんです」。
撮影/伊藤徹也 取材・分/藤井そのこ 構成/松本朋子
※2021年10月発売号掲載当時の情報です。
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