中山咲月が「トランスジェンダー」を公表するまで…。

23歳の誕生日に発売した『無性愛』で、自身の性自認について語った中山咲月さん。日本では未だ認知が広がっているとは言えない”トランスジェンダー”、”アセクシャル”であることに自ら気づくまでに長い時間があり、また、それを公表するまでに強い葛藤があったと言います。彼の心の中にあった言葉、そしてこれからへ向かう思いを聞きました。

『彼らが本気で編むときは』という映画を観たのがきっかけです

「このシーン、と言うよりも映画全体が刺さりました。一見ハッピーなシーンでもどこか辛そうにしている描写があったりして、自分と似ているな…と」
「映画を観て、自分もトランスジェンダーなのかもしれない、と気が付いてからは辛い時間が続きました」

映画に影響を受けているだけで違うかもしれない、でも…。そんな逡巡が続いた1カ月を「あの期間は自分の気持ちに蓋をしていただけ」と振り返ります。そんな苦しい葛藤の先で自分のジェンダーを見つけた中山さんですが、そこで楽になることはなく、むしろさらに深い苦しみを味わうことに。生きることを辞めようとまで考えた彼を救ったのは、親友の存在でした。

「生きよう、と思えたのは親友のおかげです。自分がトランスジェンダーであることを明かしたときに、その人は『そうだと思っていたし、だからこそ女とか男ではなく、咲月のことをひとりの人間として見ていたよ。命を投げ出す勇気があるくらいだったら、わがままに生きてみたら』と言ってくれて、その言葉が自分の中では本当に救いで、だからこそ今の自分があると思っています」

生きよう、と思えたのは親友のおかげ

「トランスジェンダーということも受け入れられにくい現状で、さらに自分の場合は恋愛感情がないアセクシュアルでもある。ある人にとっては想像がつかないと思うんです。そのことも分かっているので、自分を理解して欲しいわけではなく、こういう人間もいることを知ってほしい。ジェンダーの話に限らず、知ることってすごく大切だと思います。知ることで寄り添えることってあるはずで、だからこそ、少しでも認知が広がる世界になればいいなって思うんです」

本来は表に立つのがあまり得意ではなかった中山さん。それでも彼は、表舞台に立って活動することを選んでいます。その原動力はどこから来ているのか…。

「自分のように辛い思いをしている人がたくさんいると思うんです。だからこそ、自分が表の世界に出ることで、『この人でも笑顔でいられるなら自分も大丈夫かも』って感じてもらえたら嬉しい。そのために今、この仕事をしています」

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撮影/佐々木大輔<SIGNO> ヘアメイク/KATO<TRON> スタイリング/井田正明 取材/石津愛子 編集/岩谷 大