原田知世さん、”実り多き40年”が詰まった新作への想いとは【インタビュー前編】

この3月に40周年アルバム『fruitful days』を発売した原田知世さん。歌手としても女優としてもずっと活躍を続ける彼女に、月日を重ねてさまざまな経験してきたからこそ思うことを、”妹たち”であるSTORY読者にお話しいただきました。

原田知世さん

1983年、映画『時をかける少女』でスクリーンにデビュー。俳優と歌手の両方で第一線で活躍を続け、テレビ東京ドラマ24「スナック キズツキ」や映画「あなたの番です 劇場版」に主演し、大きな注目を集める。3月23日にデビュー40周年記念オリジナルアルバム『fruitful days』を発売。彼女の音楽キャリアにおいて重要なアーティストや初タッグとなる豪華作家陣が楽曲を提供。「シンシア」「守ってあげたい」の2曲の新カバーも収録。新しさの中に懐かしさが同居する、現在の原田知世さんならではの世界が広がっています

 

STORY[ストーリィ]

—歌手デビュー40周年、おめでとうございます!この40年を振り返るとどんな時間でしたか?

「10代の頃は「女優」という意識のほうが強くて、自分の出演していた作品の主題歌を歌うことが多かったので、女優の仕事の中に「歌手」のパートがある感じでした。それが20代になると「音楽」が、役を離れて「自分自身を表現する場」と変化していきました。ここ10年くらいは同じプロデューサーやミュージシャンと作品作りをしていますので、ひとつのチームができ上がり、いつのまにか「音楽」のほうがホームになりました。「役者」の仕事は作品によってそれぞれ異なるメンバーやスタッフが集まるから一期一会です。
かたや「音楽」はいつも同じメンバーが集まるのでホッとできる場です。毎回、その時々にしか出せない「音」を出したいと思ってアルバムを制作してきました。29歳のころ出した「シンシア」を40歳でシンプルにアレンジして歌いました。そして今回のアルバムで改めてセルフカバーしたのですが、歌い方は変わらないはずなのに、3つとも仕上がりが異なります。いろんな経験をして表現の仕方が変化してきたのかもしれません。今までできなかった表現ができるようになったと思うと、年を重ねることも悪くないと思います。今は自然と「歌手」と「女優」の切り替えができるようになりました。全く違う仕事ですが、両方をやっているのが私の個性なのかなと思います」

—40周年アルバムのタイトルが「fruitful days」。とても原田さんらしい感じがしますが、なぜこのタイトルにされたのですか?

「40周年という「節目」を感じるタイトルにしたいとずっと考えていて、やっとレコーディングが終わるころにこの「fruitful」ということばに出会えました。今までたくさんの「実り」をもらってきましたし、たくさんの「実り」のある出会いもありました。そして、これからも「実り」の多い日々でありたいという願いを込めて、「fruitful days」にしました。
今回、初めて川谷絵音さんに曲をお願いしました。実は高校生の姪っ子が「これ好きそうだから聞いてみたら」と川谷絵音さんのバンドindigo la Endのアルバムを勧めてくれました。メロディラインが懐かしい感じがしてとても素敵で。そんなことから思い切ってオファーしました。ほかに私にとってもファンの方にも思い出深い2曲をセルフカバーしたり、これまでの私の音楽キャリアに欠かせない方々にも曲をお願いして最高のものが完成しました」。

—「歌手」としても「女優」としてもずっと第一線で活躍されていますがずっと輝きつづけていらっしゃる秘訣はなんでしょうか。

「私は、こうしたいから、こうなりたいから何年後までにこうしようとか将来の計画を立てたことはありません。先のことを考えずに目の前にあることに丁寧に向き合おうと努めてきました。
幸運にも、素晴らしい「出会い」と「タイミング」に恵まれてきました。たとえばどなたかが私の作品を見て心に留めてくださっていて、その何年後に次の仕事に繋がることもありました。役者は作品の一部だから、その人に合う役に出会わなければいくら実力があってもなかなかその力が発揮できません。おかげさまで運がよく良い出会いができていることを感謝しています」。

—素晴らしい出会いをたくさんされているから輝きつづけていらっしゃるんですね。

明日公開のインタビュー後編は、50代を迎えても輝いていらっしゃる理由をお聞きしました

『fruitful days』/原田知世デビュー40周年記念オリジナル・アルバム

Verve/Universal Music 初回限定盤(SHM-CD+DVD) ¥4,070 (税込)  通常盤(SHM-CD) ¥3,300 (税込)
川谷絵音 (indigo la End、ゲスの極み乙女。、ジェニーハイ etc.) のサウンド・プロデュースによる先行シングル「ヴァイオレット」に加え、THE BEATNIKS (高橋幸宏&鈴木慶一)、高野 寛、 伊藤ゴロー、辻村豪文 (キセル)、高橋久美子、網守将平とい
う、原田知世の音楽キャリア において重要なアーティストや今回初タッグとなる豪華作家陣が新曲を提供。 加えて「守ってあげたい」と「シンシア」という往年のファンには堪らない 2 曲の新カヴァーも収録。 新しさの中に懐かしさが同居する、現在の原田知世ならではの豊潤なサウンドに仕上がっています。 アルバム・プロデュースは15 年にわたり音楽活動のパートナーを務めるギタリスト/作曲家の伊藤ゴローが担当。
https://www.universal-music.co.jp/harada-tomoyo/

撮影/杉本大希 ヘアメーク&スタイリスト/藤川智美(Figue) 取材/見学裕己子

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