『不登校新聞』編集長に聞きました「子どもはどうして不登校になるのか?」
子どもはどうして不登校になるのか?親はどう対応すればいいのか?『不登校新聞』編集長に聞きました。
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○ 教えてくれたのは...
「不登校新聞」編集長 石井志昴さん(40歳)
東京都出身。中学受験を機に学校生活が合わなくなり、教員やいじめなどを理由に中2から不登校に。19歳から不登校新聞のスタッフになり2006年から編集長。これまで不登校の子どもや関係者400人以上に取材した。
「学校に行きたくない」はSOS
子どものサインを見落とさないで
子どものサインを見落とさないで
Q.不登校の理由を教えてください。また最近は「なんとなく行きたくない」子が多いのはなぜでしょう?
A.
まず、学校に行きたくない理由を聞いてもはっきり答えられないのは、いろんな理由が重なっているから。理由は一つではないし、話してもわかってもらえないと思っている。
その中で、半分以上の子がいじめを主とする人間関係を理由とします。高圧的で贔屓の強い教師との関係、ADHDなどの発達障害やHSE、母子分離不安なども考えられますね。
Q.不登校になりそうな子、兆候などありますか?
A.
特に不登校になりやすい素因はなく、誰でも不登校になりえます。強いて言えば兄弟姉妹が不登校だと、なりやすくなることぐらいでしょうか?
不登校前の兆候は、頭痛・腹痛、ペットやきょうだいなど弱いものいじめ、頻繁に手を洗うなど強迫神経症。あと、3人に1人は不眠になりやすいです。よくゲームや動画にハマり夜寝ないから朝起きられないという相談を受けますが、これは逆で、登校する朝のことを考えたくないから現実逃避のための没頭なんですね。見分けづらいものもありますが「ん?」と思ったら注意してみて。
Q.不登校の増加と新型コロナ感染症との因果関係は?
A.
実際は、今から8年くらい前から増加傾向にあります。でも、子どもたちにとってはコロナの感染対策のために休校が長引いたり、イベントがなくなってしまったり、楽しいと思えることが明らかに少なくなっていますよね。
社会全体的にも不安定ですし、ストレス反応が強く出るはずで、これからもっと不登校の子どもは増えるのではないかと思います。
Q.子どもが不登校になった場合、親の対処は?
A.
「学校に行きたくない」は、相当な勇気を持って出た子どもの言葉と思ってもらいたいです。命のSOSかも。〝行きたくないなら行かなくていいよ!〟そのひと言がセーフティネット。そう言われると慌てて学校に行く子であれば、それはそれでよし。無理には行かせず、子どもの心を最優先に。
親御さんには、子どもと何でもない雑談をするようにしてもらいたいですね。就寝10分前とか、楽しそうにしている時に隣にいるとか。何か話せるかもしれません。
あとは、親御さん自身も自分に余裕を持つようにしてください。子どもを見ない時間を1時間は作るとか。ずっと向き合い続けるのも、お互い辛くなってしまいます。
Q.子どもが不登校になったら、誰に相談すればいい?
A.
子どもの心が傷ついている場合、まずそのケアをするのがいちばんです。カウンセラーやフリースクールなど、まずは親御さんが相談してみて、信用できると思ってからお子さんを連れていってください。
担任の先生に相談するのは状況次第。先生は学校に来る子にとってはプロですが、多くの生徒を抱える中で苦しんでいることもある。それから不登校の子の経験のある先輩ママに相談するのもいいですね。
撮影/吉澤健太 取材/竹永久美子 ※情報は2022年5月号掲載時のものです。
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