多いと週4回浣腸するほどひどい便秘。自力でなんとかできる方法は?【高尾美穂先生のお悩み処方箋】

Mart読者世代である30~40代が抱える体のお悩みについて、産婦人科医の高尾美穂先生が優しくアドバイス!第8回の前半は、便秘についてです!


教えてくれたのは
高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案す る一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。

【相談テーマ】頑固な便秘をなんとかしたいです!

相談者後姿

相談者:Mさん(39歳)
16歳・11歳・9歳・2歳の母
埼玉県在住
専業主婦

「便秘くらいで」と思わず、受診して原因を探って

Mさん:朝浣腸をして排便するのが習慣になってしまっていて、多いときは週に4回浣腸を使っています。人に浣腸をしていると言うと驚かれるのですが、そもそも浣腸は体によくないことなのでしょうか?

高尾先生:一度の浣腸そのものが、体を傷つける可能性は低いです。ただ、週4回の使用は多いですね。便秘症状はいつからですか?

Mさん:高校時代からずっとです。最初は下剤を使ってみましたが、お腹が痛くなったり、いつ出るかが分からないのが嫌だったりして、便秘に効くというセンナ茶を購入して飲むようになりました。

高尾先生:そうだったんですね。

Mさん:妊娠期もずっとセンナ茶を飲んでいたのですが4人目の妊娠中に「妊娠中は避けるように」と書いてあったことに気づき使用をやめ、それ以来浣腸を使用しています。

高尾先生:長いこと悩まれてきたんですね。便秘で病院を受診したことはありますか?

Mさん:夫からも病院に行くことを勧められますが、こんなことで病院に行っていいのかとためらってしまって……。それに、何科に行けばよいのかもわかりません。私は病気なのでしょうか?

高尾先生:「間違いなく病気です」というほどかどうか分からないですが、週4浣腸は「正常」ではないので一度、消化器内科を受診してみるといいですね。大腸内視鏡検査をしてみたら、便秘の原因も分かるかもしれません。中には腸が人より長いことが便秘体質の原因だという人もいます。原因が分かれば対策も立てられますよ。

Mさん:便秘で受診してもいいんですね。今度相談してみます。

高尾先生:ところでMさんはお子さんを4人出産されていますが、妊娠中は便秘もひどくなりやすいですよね。妊婦健診で医師に相談されましたか?

Mさん:特に相談しませんでした。

高尾先生:そうでしたか。妊娠中は定期的に医師に会うチャンスがありますよね。「こんなことくらいで受診していいの?」とか、「育児があるから病院に行くのは大変」と感じる人は、このチャンスを生かしてほしいなと思ってます。

Mさん:確かに、検診のついでなら相談しやすかったかも……。

高尾先生:もしMさんが1人目の妊娠のときに医師に相談していたら、「産後に一度消化器内科で大腸カメラやってみるといいよ」などアドバイスがあったかもしれません。そこで検査を受けていたら、すでに何かしらの対策が立てられて、快適な毎日を過ごせていたかもしれないですよね。

高尾美穂先生

便を柔らかくしカサを増やす食生活など、生活習慣の改善を

Mさん:私のような便秘を解消するために、日常生活でできることはありますか?

高尾先生:便秘と20年以上のつき合いということであれば、生活習慣などを見直してみるのもいいですね。

Mさん:例えばどんなことに気をつけたらいいですか?

高尾先生:まずは食習慣。便を固くしないためには水分をしっかりとることが大事です。さらにダイエットなどで油を控えすぎていても便の出が悪くなるので、サラダなどにオリーブオイルを少し足すのもよいですね。そのほか、食物繊維を含む穀類も必要です。食物繊維に関してはサプリもありますが、それだと便のカサを増やせません。繊維質を含む玄米や大麦など、穀類をしっかり摂って便のボリュームを増やすことが、便秘解消への第一歩になりますよ。

Mさん:そういえば子育てに追われていて、水分も最低限しかとれていないかもしれないです。

高尾先生:こまめにしっかり水分補給することを心掛けてほしいですが、それにプラスして、普段の飲み物をマグネシウムが豊富な水に変えるのもいいですよ。コントレックスなどの硬水に多く含まれているマグネシウムは、便への水分の吸収を促してくれます。

Mさん:さっそく試してみます!ほかに見直すべき点はありますか?

高尾先生:体を動かすことは腸の刺激になるので、運動習慣も大切です。腹筋など腹圧をかけるようなの運動や、ツイスト運動などもいいですね。下腹部のマッサージをプラスしてもよいでしょう。

Mさん:なかなか自分のための時間が持てないのですが、家の中での腹筋ならできそうです。

高尾先生:4人の育児があれば毎日忙しくて、自分時間を確保するは難しいですよね。多忙な毎日だと交感神経が優位になっている緊張状態になりやすく、腸が働きづらくなって便秘がちになるので、生活そのものも見直してみてください。特に睡眠不足やストレスは便秘によくないですよ

Mさん:ストレスは感じるのですが、具体的にどう見直せばいいのでしょうか?

高尾先生:「自分で時間をコントロールできない」「いつも寝不足」など、ストレスに感じることを具体的に書き出すといいですね。

Mさん:なるほど。

高尾先生:その上で、解決のための対策を考えていきましょう。「夫にもっと家事育児をシェアしてほしいと相談する」「上の子に自分のことは自分でするように話す」など、具体的な対処法が考えられるはず。それでも無理ならば、調理家電を購入するなどお金で解決できる部分はあるかなど、さまざまな方向で考えていくと、対策が見えてくると思いますよ。

Mさん:ぼんやり考えるのではなく、具体的に書き出してみるということですね。やってみたいと思います。

【高尾先生のお悩み処方箋】便秘解消のためにできること

1:消化器内科を受診し、便秘の原因を知る
2:硬水を飲む、油を適量摂る、穀類をしっかり食べるなど食生活の改善を
3:腸に刺激を加える腹筋・ツイストなどの運動や、下腹部マッサージをする
4:ストレスに感じることを書き出して、生活状況を見直す

後編は、「39歳で更年期ってあり得る⁉」です。ぜひご覧ください!

撮影/中林 香 取材・文/須賀華子