【Flower cycle Art】 ③フラワーサイクリスト・河島春佳さんの花(はな)しvol.1
花が一輪あるだけで、空間は華やぎ、心癒され優しい気持ちになれるもの……。
わかってはいても、すぐ枯れてしまうなどの理由から、買うことを躊躇してしまう方もいらっしゃるでしょう。
だけど、生花ではもちろんドライフラワーとしても、長く花を楽しめるなら?
フラワーサイクリスト・河島春佳さんが、新しい“花のある暮らし”をレクチャーします。
毎月第3週目はお花にまつわる話、題して「フラワーサイクリスト・河島春佳さんの花(はな)し」をご紹介します。初回はフラワーサイクリスト・河島春佳さん誕生までのストーリーです。
きっかけは“もったいない”という気持ちだった
河島さんが花や植物を好きという自覚が芽生えたのは、実は社会人になってから。小さい頃から、庭や田んぼのあぜ道に咲く花々に囲まれた生活が当たり前だったため、ひとり暮らしをするようになって初めて「花を買う」ようになりました。毎週自分のために買う一輪の花。枯れて捨ててしまうのが“もったいない”と思い、生花をドライフラワーにするまでが習慣になったのです。
部屋に増えていくドライフラワー。このドライフラワーを使って何かできないだろうかと考え、リースやキャンドルを作るワークショップを自宅で友人に向けて開催するように。「すごく楽しくて、絶対に仕事にしたいと思った」。これが河島さんの仕事の原点となりました。
経験値が足りない! フランスへ花修行
徐々に花の仕事が増えたことで、知識や経験不足を痛感します。「花屋での勤務経験やレッスンを受けた経験もなければ資格もない。これまでは何とかなってきたけれど、空間装飾やブライダルの仕事などはさすがに未経験では難しい。自分の経歴に箔をつけるためにも海外へ行きたい」。
偶然知り合った、パリでフローリストをしている日本人女性に相談し、単身フランスへ花修行に向かったのです。留学先のパリで強く感じたのはカルチャーの違い。週に3日ほど開催されるマルシェで、人々が買っていくものは野菜、ハム、チーズ、ワイン、そして花でした。「花瓶に飾った花を囲んで家族団らんする文化を肌で感じ、素敵だなぁと。コロナ禍で外出制限がかかりそうなると、急いで花を買いに走るほど向こうでは必需品。日本に持って帰りたいカルチャーでした」。
現状を知ってもらうために名付けた「ロスフラワー」
ロスフラワー削減のためにも「花のある暮らし」を広めたい
近年、耳にするようになった「ロスフラワー」という言葉の生みの親は河島さん。5~6年前に「フードロス」という言葉がようやく出てきましたが、食べ物のみならず、花もキレイなまま廃棄されてしまうという現状を知る人は、ほんのひと握りでした。
「もったいなくて捨てられなかった一輪の花を、ドライフラワーにして長く楽しむと心地いいな、好きだなと実感したのが、フラワーサイクリストとして起業に至った出発点。イベントや生花店で、まだ元気なうちに捨てられてしまう花がたくさんある現状にショックを受け、アップサイクルしたいと思いました。私が仕事で使う花のルーツを知ってもらうのもいいのではないかと思い“ロスフラワー”と名付けたんです」。
生花店も決して好きで花を廃棄しているわけではありません。「お花屋さんの想いなども回収してロスフラワーをドライフラワーとして蘇らせることができたら……。そして花のある暮らしをもっと広めて、ロスフラワーを減らしたい」。そんな想いを持って、今河島さんはフラワーサイクリストとして活動しています。
【バックナンバーはこちら】
6月の花 紫陽花(アジサイ)①生花で楽しむ
6月の花 紫陽花(アジサイ)②ドライフラワーで楽しむ
【プロフィール】
河島春佳さん フラワーサイクリスト
株式会社RIN代表。長野県生まれ。生花店の短期アルバイト時に、廃棄される花の多さにショックを受けたことから、フラワーサイクリストとしての活動を始める。
2022年6月〜オンラインスクールがリニューアル。新メンバー募集中。
Instagram:@haruka.kawashima
撮影/山田英博 取材・文/篠原亜由美
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