注文が怖くて入れなかったカフェ、会話はメモを読んで……と波乱万丈な1ヵ月!【Ritaの大人留学②】
こんにちは、Ritaと申します。今年の春に大人留学を思い立ち、お金なし、コネなし、語学力なしでも、やる気ひとつでスペインまでやってきました。留学開始まで数多くの手続きがありましたが、思ったよりもすんなりと準備が進みました。まずは語学学校スタート日を決め、そこから日本出発日、住宅退去日、退職日を逆算。混乱と不安が少しずつ期待に変わり、日を追うごとに腹がくくられていくのを感じました。そして迎えた2022年6月4日、いよいよ清水の舞台から飛び降りる時が来ました。
いよいよ大冒険がスタート!したのですが……、そもそもひとりで飛行機に乗ること自体も初めて。スペイン語はおろか、英語もままらないので、途中の乗り換えでは、乗り継ぎ便を逃さぬよう、他の搭乗者の後ろにぴったりくっついて進みました。そうして23時間かけて到着した目的地、スペイン・マラガ。語学学校が空港送迎を手配してくれていたものの「遅れる際はドライバーに連絡を」と言われていたため、あらかじめスペイン語の話せる娘に入力してもらっていた文章を、そのままドライバーへ転送。当たり前のようにスペイン語で返って来た返信を見て、「私、本当にスペインに着いたんだ……!」と、一気に緊張感が高まったのでした。車窓から見るマラガの街は、陽差しが明るく中世建築の隙間に海も見え、まるで映画の世界に入ったかのような錯覚に陥りました。
ホームステイ先では「会話メモ」が命綱
右も左も分からない留学の最初の2ヶ月は、現地のホームステイにお世話になることに。「日本から来ました」「まだスペイン語は話せません」「これは日本のお土産です」など、用意したスペイン語メモをなんとか棒読みする私……。その私に、熱心に耳を傾けてくれるホストママ。幸運にも、常に留学生が数名滞在している家庭ということもあり、スペイン語の会話がまったくできない私でも心配がいらないことを、全身で感じさせてくれました。そして、心強かったのが、到着後すぐに娘が日本からかけてくれた、生存確認の電話。「うちの子をお願いします」と言わんばかりに挨拶をする逞しい娘の声を聞いて、果たしてどちらが母親でどちらが娘なのか、一瞬分からなくなりました。
語学学校は「助け合い精神」で乗り切る
語学学校は1クラス6~7名、国籍も年齢も20〜60代と、さまざま。私のクラスにはドイツ、カナダ、デンマーク、ノルウェー出身の学生がおり、みんな英語は流暢。「どうしよう、みんな英語喋れるじゃん……」と思ったのも、束の間。いざ授業が始まると授業中は英語禁止、スペイン語は私と同じく、みんな超初級で安心しました。練習してきた自己紹介はスラスラ言えるものの、応用編に入った途端急に目が泳ぎ、先生に助けを求める姿までも一緒。そんな、クラスメイトとのアレコレを日本の家族に話すと「まだ話せないはずなのに、どうやってコミュニケーション取ってるの?」と驚かれますが、自分でもよく分かりません。ただ、初級レベルだからこそ言語以上にお互いを理解し合おうとする力が、会話を可能にしてくれているのだなと強く感じます。
まさかの難関は「カフェでの注文」
日本では当たり前のようにできていたのに、いきなりつまづいたのが、「カフェでの注文」。地元の人でにぎわっているチュロスとホットチョコレートのお店に入ろうとするものの、勇気が出ず断念。「どうやって注文するのかな……」「メニューは読めるのだろうか……」なんてモジモジしてしまい、結局、日本にもある見慣れたマークのチェーン店の方に足が進んでしまいました。あと一歩だったのに入れなかったのが悔しくて、翌日曜日に再チャレンジ! 目の前のおじ様の見よう見真似でなんとか注文! 日本では当たり前のように入れていたカフェも、スペインではこんな一大イベントになるなんて……! それでも、昨日より今日、今日より明日、これからできることが増えていくと思うと、とても楽しみです。
こうして始まった、私の留学生活。頼みの語学学校も私生活まではお世話してくれないため、すべては自力で進めなければいけません。でも、3週間が経ち、周りを見渡してみると、助けてくれそうな人が少しずつ増えてきたことに気がつきました。加えて、街の構造や日々の暮らし方も分かってきました。迷わずに家に帰れるようになったり、街中で好みのノートを購入できる場所を発見したり、バスの乗り方を観察しながら学んだり……。小さな成長を、日々楽しんでいます。そして、そんな環境に身を置けていることに感謝をしながら、引き続き自分のペースで進んでいきたいと思います!
この記事では、月2回の連載を通して、楽しい50代を過ごすための挑戦を、読者の皆様と共有していきたいと思っております。無鉄砲な新たな人生を、一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです!
お金なし・コネなし・語学力なし!53歳の私が安定を捨てて「スペイン留学」に踏み切った理由【Ritaの大人留学①】
撮影・文/Rita
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結婚、出産、離婚、子育てを経て、あとは終活を……と考えていたとき、娘さんの「人生もうやることないって言っているけれど、まだなんだってできるでしょ。留学でもしてみたら?」のひと言に突き動かされ、スペイン留学を決意。お金、コネ、語学力がなくても、情熱ひとつで日々をまい進する「Rita流留学ルポ」をSTORYwebで更新中。