『黒のバーキン』は20年経っても常に現役【友利新さんが愛するエルメスバッグ】

長く付き合うほどに味わいが増す、レザーの風合いとシンプルな佇まい。思い出や時間を刻み込むように、変化し、なじみ、愛着へと変わるのが「エルメス」のバッグの魅力。眺めるより、使い込むことに意味があると改めて思える、9人の人へのインタビュー。今回は、友利新さんに思いを語っていただきました。
※エルメスのアイテムはすべて本人の私物のためブティックへのお問合せはご遠慮ください。

チャーム代わりに
「カシシル」を忍ばせます

医師 友利 新さん

沖縄・宮古島出身。都内2カ所のクリニック勤務の傍ら、医師という立場から美容と健康を追求する。美容の著書の他、公式YouTubeチャンネルも話題に。

母の姿勢に憧れて。
働く私に寄り添い続けた
ファースト・バーキン

宮古島出身の私に、バーキンの存在を教えてくれたのは、那覇の古着屋さんでした。ジェーン バーキンのことも知って、いつか私も普段着に合わせられるような大人になりたいと思ったのを覚えています。中3のとき患った子宮内膜症の闘病をきっかけに医師を目指しました。その背景には、島で働いていた母の姿も影響していたと思います。大きなカバンに書類をたくさん詰めて仕事をする母こそ、私にとって働く女性の象徴だったんです。

24歳で医師になったとき、初めて自分のお金でパリ旅行に行きました。母がかつて持っていたような大きなカバンが欲しくて、本店で2つのバーキンを買ったんです。使うのがもったいなかったけれど、憧れを実現したくて色んなところに連れていきました。当直先から一泊の旅行、歴代の彼氏のおうちにも(笑)。あれから20年が経ちますが、常に現役でいてくれたのがこの黒のバーキンなんです。ものすごい背伸びをしていた自分、医師として奮闘した自分、私生活のすべても、傷がたくさんついてくたっとしたボックスカーフに投影されています。

その魅力に目覚めてからは、トレンド感のあるバーキンも手に入れています。マカロンみたいなグリーンは、フランス語で緑のバッタを意味するヴェールクリケット。苦手だったピンクも、エルメスらしい絶妙なくすみカラーにはハマりました。内縫い、外縫い、金具色の違い。表情の違うすべてに思い出があって、手に取るたびに出合った瞬間の気持ちも蘇るようです。

メタルボタンのマックスマーラのネイビージャケットに、お気に入りのゴールドのウォッチ&ジュエリーを合わせて。使い込んだバーキンから覗かせたのは、モノトーンで色を合わせたエルメスのカシシル。
*バッグ、衣装はすべて私物です。ブティックへのお問い合わせはご遠慮ください。

撮影/金 玖美 ヘア・メーク/鈴木京子 取材・文/須賀美季 編集/澤辺麻衣子

VERY NaVY5月号『[大特集]NaVY的「麗しのBAG & SHOES」Part2 憧れが止まらない!「エルメス愛」&「シャネル愛」』より。詳しくは2022年4/7発売VERY NaVY5月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。