【週末観たい映画案内】阿部寛が鬼刑事からドラマーになる『異動辞令は音楽隊!』

映画『異動辞令は音楽隊!』場面写真

『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞を受賞した内田英治監督の最新作『異動辞令は音楽隊!』が本日から公開! 阿部寛を主演に迎えた今作は、内田監督がYouTubeで偶然目にした警察音楽隊のフラッシュモブ演奏の映像に感銘を受け、オリジナル脚本を書き下ろしたヒューマンドラマ。吹替えナシで挑んだという演奏シーンなど、注目ポイントをご紹介します。

『異動辞令は音楽隊!』あらすじ

映画「異動辞令は音楽隊!」メインカット

<STORY>

犯罪撲滅に人生のすべてを捧げてきた55歳の鬼刑事・成瀬司(阿部寛)。だが、コンプライアンスが重視される今の時代に、違法すれすれの捜査や組織を乱す個人プレイ、上層部への反抗的な態度は周囲から完全に浮いていた。坂本(磯村勇斗)ら部下に対しても高圧的なふるまいを繰り返した末、遂に上司が成瀬に命じた異動先は、まさかの警察音楽隊! そこは、警察内のはぐれ者たちの集まりだった。

すぐに刑事に戻れると信じる成瀬は、サックス担当の北村(高杉真宙)やトランペット担当の春子(清野菜名)ら隊員たちに悪態をつき、険悪なムードに。プライベートでは母親の幸子(倍賞美津子)と二人暮らし。随分前に離婚し、元妻と暮らす高校生の娘は仕事人間の成瀬に反抗的でどう接していいかわからない。

異動前に追っていた事件に未練がある成瀬は捜査に再び加わろうとするが、同僚や部下から刑事としてのキャリアを完全に否定されてしまう。「人生、こんなはずじゃなかった」ーー崖っぷちに立たされ落ち込む成瀬。音楽隊メンバー、家族、かつての刑事仲間との関係はどうなる……?

【見どころ①】阿部寛演じる”昭和オヤジ”の挫折から再生まで

映画「異動辞令は音楽隊!」場面写真

「新参者」シリーズのの加賀恭一郎役など、TVドラマや映画で何度も刑事役を演じてきた阿部寛。今作では刑事課一筋30年の、捜査のためなら違法行為もいとわない鬼刑事に。一匹狼で警察仲間や家族とのコミュニケーションもままならない、昭和感あふれる昔気質の男を演じています。

映画「異動辞令は音楽隊!」場面カット

写真のように、服装にも気を遣わないのでめちゃダサい……! 前半は完全に周囲から孤立していて、哀愁ただよいまくる主人公・成瀬ですが、音楽隊に異動したことによって今まで見えていなかった部分に目がいくように。不器用ながら少しずつ周囲との距離感が変わっていく様子は微笑ましさを感じます。

【見どころ②】清野菜名が仕事と育児と音楽に奮闘するママ警察官に

映画「異動辞令は音楽隊!」場面写真

ママ世代には、清野菜名演じる春子役も注目ポイント。幼い息子がいるママ、警察音楽隊の隊員、交通課勤務という3つの顔を持ち、どれもがんばりたいけどやはり大変で何かをあきらめなくてはいけないのか……と悩む役どころにはママなら共感できる部分もあるはず。

映画「異動辞令は音楽隊!」場面写真

警察音楽隊と交通課勤務の掛け持ちってどういうこと? というのは疑問ですよね。実は警察音楽隊は都道府県により、交通機動隊や交通課など他の課や隊と兼任の「兼務隊」と呼ばれる音楽隊も多いのだそうです。限られた予算と練習時間で演奏もこなす警察音楽隊の裏側が丁寧に描かれています。

【見どころ③】吹替えナシの演奏シーンは圧巻!

映画「異動辞令は音楽隊!」場面写真

内田監督からは『ミッドナイトスワン』のバレエシーンと同様、演奏シーンの吹替えはナシとの出演者に伝えられ、手元だけの吹替えも一切しないと最初に決められたのだとか。そのため、ドラムには触ったことがなかった阿部寛はじめ、高杉真優、清野菜名らキャストは楽器未経験からのスタートで猛特訓! アクションシーンのようなカメラワークも相まって、努力の結果が集結した演奏シーンは圧巻です。

映画「異動辞令は音楽隊!」場面写真

また、主題歌を担当した Offiicial髭男dismのメンバーには、かつて島根県警察音楽隊での演奏経験者がいることから、カメオ出演が実現。ちらっと映るその場面もお見逃しなく!

作品情報

映画「異動辞令は音楽隊!」ポスター

『異動辞令は音楽隊!』全国公開中

  • 原案・脚本・監督:内田英治
  • 出演:阿部 寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、板橋駿谷、モトーラ世理奈、見上 愛、岡部たかし、渋川清彦、酒向 芳、六平直政、光石 研 / 倍賞美津子
  • 主題歌:「Choral A」Official髭男dism

©2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会

公式サイト https://gaga.ne.jp/ongakutai/

取材・文/富田夏子