【性教育ワーク連載vol17】「赤ちゃんはどうやってできるの?」を科学的に話してみよう!

親子の15分性教育ワーク。今回は「赤ちゃんはどうやってできるの?」を、徹底的に科学的な視点で、親子で話してみよう!というテーマです。

「『赤ちゃんはどうやってできるの?』と子どもから聞かれて困った」
「なんて説明したらいいのか、そもそもこんなこと話していいの?」
 保護者の方からこういった相談を受けることがよくあります。

「赤ちゃんはどうやってできるの?」と聞かれて戸惑う気持ち、よくわかります。私たちも子どもの時に親とそんな話をしたことはないし、セックスのことは避けて通れないし、学校では「精子と卵子が出会う」以上のことは教えてくれないし。(「はどめ規定」というものがあり、学校では妊娠に至る過程を扱えないことになっています)

でも科学的な視点で話していけば、大人が思っているよりもずっと気楽に、そして面白く子どもと一緒に話をすることができます

イラストを見ながら、子どもと「卵子ってこんなに小さいの!?」「精子の数すごい!」と盛り上がりながら、赤ちゃんが生まれてくるまでの仕組みについて一緒にみていくと、結構たのしいですよ!

それではワークをはじめましょう

今回の15分ワークのお題

①いのちはどうやってはじまるの?
②卵子はどこにある?排卵ってなに?
③精子はどこにある?射精ってなに?
④セックスってなに?どうやって受精するの?
⑤受精卵はどうやって大きくなるの?
⑥どうやって赤ちゃんんいなるの?
⑦どうやって生まれてくるの?
⑧体外受精ってなに?

①いのちはどうやってはじまるの?

いのちのはじまりは、受精卵というもの。これは女性のからだの中にある卵子に、男性のからだの中にある精子が入ってできたものです。受精卵が大きく育っていき、赤ちゃんになります。

②卵子はどこにある?排卵ってなに?

女の人のからだの中には「卵子」という赤ちゃんのもとがあります。卵子の大きさは0.15mm。とてもとがった鉛筆で「チョン!」と点を書いたぐらいの、肉眼で見えるか見えないかのギリギリの大きさです。

卵子は、あかちゃんの頃から卵巣の中にあります。生まれてくるころ、赤ちゃんの卵巣の中に卵子は100から200万個あります。年を取るのと一緒に卵子の数は減り、10才で20万個ぐらい、20才で10万個ぐらいになります。

10才から15才ぐらいになると、頭の中からホルモンという物質が出てきて、卵巣から卵子を出すように命令を送ります。これを排卵といって、月に1回、左右のどちらかの卵巣から卵子が1つだけ飛び出します。

そして子宮の上の方にくっついている管、卵管の中に入ります。卵子が受精しないでそのまま生きられるのは、約24時間です。

③精子はどこにある?射精ってなに?

男の人のからだの中には「精子」という赤ちゃんのもとがあります。精子の大きさは0.05mmで、卵子より小さいです。10才から15才ぐらいの時期になると脳からホルモンと言う物質が出て、精巣に精子を作る命令を送ります。精巣で精子は作られていき、20才ぐらいで10億個の精子が精巣で作られます。精子は精管という管を通って、ペニスの先からからだの外へと出ていきます。これを射精といいます。射精の時、精巣の中に貯まっていた精子が1千万から1億個出ていきます。射精した後、精子が生きられるのは72時間です。

ペニスをこすったり、触ったりするような刺激を加えると、ペニスが固くなって上向きになり、これを勃起といいます。勃起したペニスにさらに刺激を加えていくと、射精が起きます。

④セックスってなに?どうやって受精するの?

勃起したペニスを膣にいれ、動かすことをセックス、または性行為といいます。セックスの刺激で射精が起こります。精子は泳いで子宮の中に入り、そこから卵管の中を進んでいきます。この時、卵管の中に卵子があれば、精子と卵子が出会います。

たくさんの精子が卵子の周りに泳いでいきますが、卵子の中に入れるのは1つの精子だけです。

⑤受精卵はどうやって大きくなるの?

受精卵はひとつの細胞です。その細胞が卵管の中で2つに分かれ、4つ、8つと細かく分かれながら増えていきます。これを細胞の分裂といいます。

受精卵は細胞が分裂しながら、形を変えながら卵管の中を移動して、5から7日ほどで子宮にたどりつきます。子宮にたどりつくと、子宮の内側の膜は分厚くなっていて、そこにくっつきます。これを着床と言います。

⑥どうやって赤ちゃんになるの?

受精してから4週間ほどで、6mmぐらい、ちょうど米粒ぐらいの大きさになります。このころから心臓が動き始め、受精から6週ほどで内臓がほとんどできあがります。

20週ぐらいになると赤ちゃんの形になります。その後、どんどん大きくなっていき、多くの場合、赤ちゃんは受精から38週間ぐらいで生まれます。そのときの赤ちゃんの大きさは50cmぐらい、重さは3kgぐらいです。

⑦どうやって生まれてくるの?

赤ちゃんが生まれてくる準備ができると、親の子宮がぎゅっと収縮してきます。子宮が収縮する力で赤ちゃんの頭が膣へ押し出され、膣を通っておまたの穴(腟口)から生まれてきます。この生まれ方を経腟分娩といいます。

赤ちゃんの頭が下を向いていなかったり、経腟分娩で生まれてくるのが難しかったりするときは、医師がお母さんのお腹の下の方を手術で切って、赤ちゃんは生まれてきます。これを帝王切開といいます。

⑧体外受精ってなに?

卵子と精子は、セックス以外にも、医師の力を借りて出会う方法があります。

卵巣からストローのような針で吸い出した卵子と、射精して出た精子、もしくは手術でとりだした精子を専用の容器の中で合わせます。卵子に精子が入って受精卵になったら、子宮の中に受精卵をいれ、その受精卵が育っていけば赤ちゃんになります。からだの外で受精をするので、体外受精と呼ばれています。
卵子と精子は、セックス以外にも、医師の力を借りて出会う方法があります。

卵巣からストローのような針で吸い出した卵子と、射精して出た精子、もしくは手術でとりだした精子を専用の容器の中で合わせます。卵子に精子が入って受精卵になったら、子宮の中に受精卵をいれ、その受精卵が育っていけば赤ちゃんになります。からだの外で受精をするので、体外受精と呼ばれています。

興味のある子は、体外受精について調べてみるのも、面白いと思います。

以上、科学的に話す「赤ちゃんってどうやってできるの?」のワークでした。このワークは淡々と、そして大人も科学的に興味をもちつつすすめるのが何よりものポイントです。

次回は、今回の赤ちゃんがうまれる話をすると子どもたちが疑問に思うことがよくある、「性別ってなんだろう?どうやって決まるの?」ということを一緒に考えましょう!

〈次回へ続く〉

イラスト/ばばめぐみ ※イラストは書籍「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」(ほるぷ出版)から抜粋

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アクロストン

妻(みさと)・夫(たかお)であり、12歳、10歳の子を育てる親でもある、医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。
公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。
家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

著書:「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」 (ほるぷ出版)、「3~9歳ではじめるアクロストン式 『赤ちゃんってどうやってできるの?』」、「いま、子どもに伝えたい性のQ&A 、思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(ともに主婦の友社)
監修:シールでぺたぺた「おうちせいきょういくえほん」(主婦の友社)

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