【高杉真宙さんの仕事論】SNSでエゴサは…する! それでも落ち込まない理由とは?
犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬司(阿部寛)が、ある日突然、警察署内の音楽隊に異動を命じられ、奮闘する姿を描いた映画『異動辞令は音楽隊!』に出演する高杉真宙さん。音楽隊という職場を舞台に人間模様を描く作品に絡め、高杉さんの考える“仕事への想い”について、聞いてきました!
仕事のやりがいを感じるのは…“演技に込めた思い”が伝わったとき
編集部(以下、編):2009年にデビューされて、すでに芸歴は13年!
13年、もう僕の人生の半分になっちゃいました。
編:長くキャリアを続けるなかで、高杉さんが仕事に喜びを感じるのはどんなときですか?
最近は、自分が演技をする上でこうやってやりたいな、ああやってやりたいなっていう意図が、見た人に伝わった時ですかね。舞台とかではたまに「伝わった!」ってダイレクトに感じることがありますし、僕の細かい演技での所作や台詞の言い方を観て、「心情的にはこんな気持ちだったんだろうな」っていうのを言い当ててくださっている方を見つけたときなんかは、結構うれしいですね。自分がやりたい事が伝わったんだということに、大きな喜びを感じます。
編:ご自身の演技に対する反響や反応は、SNSでチェックしたりするんでしょうか?
見ます見ます。でも、そうですね…見てはいるんですけど、どんな反応をもらっても、それで落ち込んだりはしなくて。僕、激ポジティブなんすよ。反応がネガティブだったりしても、なんだろ、自分の中でうまく変換できるというか。「そういう人もいるよな」と思うようにしています(笑)。いろんな意見がないと、演る意味がないかなとも思うんです。それぞれの感想があるから成り立っていると思うので、肯定も嬉しいし、否定も嬉しいですね。
周囲の話は半分割り引きして聞く。自分を見失わないための高杉さんのポリシー
編:好きの反対は無関心、とも言いますもんね。
そうですね。だから、反応はどんなものであれ嬉しいです。あと、僕、人の意見は、真正面から全部受け止めるんじゃなく、そういう意見もあるんだな、って考えて、自分の考えとすり合わせるようにしています。
編:お仕事に向き合うスタンスは、昔から同じですか? それとも年齢を重ねてくるにつれて変わってきているなと思いますか?
人の意見に流されすぎないようにするという部分に関しては、昔から変わらないですね。褒められたことも、怒られたことも、咎められたことも全部、半分ぐらい割り引きして聞くようにして生きていこうって結構昔から決めていました。もちろん自分の意見しかないって状況はよくないし、他の方の意見や客観的な考えも必要だと思うんですけど、それに左右されて自分の思っていることを見失いたくないんです。
仕事をする上でのモットーは…“くじけず、素直に、筋を通す”!
編:昔から変わらない信念があるんですね。では、お仕事をする上のモットーはありますか?
仕事をする上でのモットー……そうですね、くじけず、素直に、筋を通して、やっていくみたいな感じですか(笑)。まっすぐに、嘘をつかずに、そんな感じでやっていますね。僕の仕事は作品を作るってことなんでしけど、みんなで一つの作品を作っていくには、一人ひとりの意見が絶対必要だと思うんです。自分の意見も組み込みつつ、他の人の意見も聞きつつやっていくものだと。でも、「違うな」って思った時には戦うべきでもあると思うので、そうですね…まっすぐに取り組む、っていうのが正しいと信じてやっています。
編:今回の『異動辞令は音楽隊』の現場でも、意見のディスカッションはありましたか?
今回の撮影では、割と自由にやらせていただいた印象があります。僕の場合、まずは家で台本を読んで、自分なりに役を作って、それを現場に持っていくんです。台本を読んで自分の考えを役に反映しないんだったら、僕がやっている意味がなくなっちゃうと思うんです。監督たちの考えを役に取り入れていくことももちろん素敵なことだと思うんですけど、まずは自分がやりたいことを一回見せる。そこからすり合わせていくのがいいかなって思っています。食い違っていれば軌道修正するし、みんなに意見をいただいたりもするんですけど、今回は結構やりたいようにやらせてもらったというか。自分で考えた役づくりを、しっかりまっとうできたなって思います。
仕事でも、プライベートでも、“両立”が今後の目標です
編:高杉さんご自身が、自分の強みをひとつあげるとしたら、どこですか?
さっき言った「くじけないこと」ですかね。ポジティブすぎて逆に弱みにもなっちゃうかもしれないんですけど、くじけなさすぎて、心がポキって折れちゃうみたいなことがない。一瞬「あぁ…やっちゃったな」と思うことはあるんですけど、起きたことは仕方ないから、じゃあどうしようかって次を考えるほうが有意義だと思っているので。演技の仕事は普通にオフィスで働くのとは違う仕事かもしれないけど、どんな仕事でも腐らずにやっていくってことが重要なんじゃないかと思います。うじうじせず、自分がやれることを着々とコツコツとやっていくことが、自分なりの近道だと思っています。
編:では、お仕事していく上で今後の目標を教えてもらえますか?
“両立”ですかね。具体的に、何と何の両立ってことではないんですけど、仕事しながら何か他のことも並行して進めるっていうのがめちゃくちゃ苦手なんですよ。仕事の時は仕事だけ、何か他のことに取り組む時はそのことだけ。仕事の場合も、他の仕事しながらこっちの仕事もするみたいな器用なことができなくて。だから、いろんなことを両立していくっていうのが今後の目標かな。今後っていうか、きっとこれまでもそれが必要なことだったとは思うんですけど、最近強く“両立”したいなって感じているので、それが目標ですかね。
(c)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
8月26日(金)より全国公開中
映画 『異動辞令は音楽隊!』
成瀬司(阿部寛)は、違法すれすれの捜査や組織を乱す個人プレーで仕事を進める55歳の鬼刑事。しかし、そのスタイルがもとでトラブルを生み、警察音楽隊に異動させられてしまう。自動車警ら隊と兼任するサックスの北村裕司(高杉真宙)や、子育てと交通課の仕事を両立するトランペットの春子(清野菜名)は、威圧的な成瀬の態度に反発し、敵視するようになって—-。
撮影/木村 敦 ヘアメーク/堤紗也香 スタイリング/荒木大輔 構成/宮島彰子(JJ編集室)