萌えの破壊力がすごい! 佐藤新×織山尚大 W主演ドラマ【辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2022 vol.39】

ジャニーズJr.の佐藤新さん(IMPACTors)と織山尚大さん(少年忍者)が演じる高校生2人の初々しい恋を描いたドラマ『高良くんと天城くん』。不器用でかわいいラブストーリーの展開はもちろん、主演2人の美しさも話題を集めているこちらのドラマを辛酸さんと一緒にチェックしました!

カップリング設定だけでも萌えの期待が高まる

このドラマを観るたびに、虫の息

このドラマを観るたびに、虫の息になってしまう……『高良くんと天城くん』(MBSドラマ)は、大人が浸れる深夜の甘美なひととき。ダブル主演はジャニーズJr.の佐藤新(IMPACTors)と、織山尚大(少年忍者)です。
金髪でクールな高良(佐藤新)は「一軍グループのこじらせ男子」、黒髪で線が細い天城(織山尚大)は「地味目ピュアかわ男子」、というカップリングの設定だけでも萌えの期待が高まります。
共学の高校のクラスメイトだった2人。チャラいグループに所属する高良と地味だけれど無邪気な天城は、スクールカースト的にも接点がないように見えましたが、同じ「環境委員」になったことがきっかけで距離が縮まります。ある時、天城の高良に対する「好きだな」という心の声が漏れてしまいますが、高良はそれを受け入れ、2人の秘密の交際がスタート。2話は高良に迫られる夢を見た天城が恥ずかしさで自意識過剰になって、つい高良を避けてしまい「俺そんなに信用ないんか」などと淋しげに言われるというあらすじ。ピュアすぎる展開に油断していたら、3話ではなんとお泊まりにまで発展!  テレビの前に正座してしっかり網膜に焼き付けました。連休を迎え、気まずいから家族と一緒に過ごしたくないという天城に、高良は「家いるのイヤならうちに避難しにくればいいじゃん」と、両親が不在なので家に泊まりにこないか誘います。1話で付き合いはじめて3話でお泊まり?  Z世代のスピード感についていけません。

高良のモテテクと天城の無邪気な告白、両方破壊力がすごい

学校からの帰り道、手をつないで歩く2人。「俺は今日から高良んちでベリーハッピーな休日をすごすんだ♪」と、天城は嬉しそうです。天真爛漫さの中には1ミリも邪念が感じられません。一方、女性経験もありそうな高良のほうは表情には出さないながらもかなり意識しています。天城が部屋でゲームしていたら、さり気なく隣に座って距離を縮める高良。楽しくトランプして就寝時間になったところで、天城も(これ、普通の恋人ならなんかするの?)(もしかしてそういうあれなの?)と、そわそわしだします。風呂上がりの高良に「今日ってなんもしない?」とつい聞いてしまって「あ~~すいません。今の忘れてください」と天城は焦りますが、その発言が高良の何かのスイッチを入れてしまったようです……。
おもむろに隣に座り、天城のシャツをめくって日焼けの跡を確かめます。「どっからもとの色か確認してあげる」と腕をなぞる高良。さすが一軍男子……スキンシップがハイレベルです。これは男子同士だからこそできるアプローチ。できるだけ日焼けしないように気を使っている女子だと「日焼けの確認? はぁ?」となってしまうでしょう。日焼けにも無頓着なピュアかわ系男子、天城だからこそ効き目があるのです。瞬時に相手の属性に合わせられる、高良の攻めスキルに驚かされました
高良はその流れで天城にキス。視聴者として召されそうになりながらも画面を観ていたら、天城が2回目はわりと自分のほうからアグレッシブにキスしていて、魔性を感じさせました。高まった高良はついに天城を押し倒しますが、初体験で怯え気味の表情を見て中断。紳士的に「別に焦る必要はないから。びっくりさせてごめんね」と謝ります。天城のことを本当に大切に思っているからこそ、無理強いしなかったのでしょう。女性としても、すべての男性に見てほしいシーンかもしれません。お互いのことを思いながら別々の部屋で寝るのも、また青春の1ページです。「明日も大好き!」という天城の無邪気な告白が破壊力抜群でした。

切ないシーンは次の萌え展開への反動エネルギー

4話はお泊まりキスで接近した2人が、惹かれていった思い出をたどる回。高良の「少しつまらないくらいがちょうどよくて、気まずいくらいが接しやすくて……」といったもこじらせ一軍男子の心のポエムで始まります。そんなダルい学校生活で、気付いたら天城の存在に癒されていた高良。
「オレはただ、その人なつっこい笑顔がまるで春を運んできたみたいだと思った」と述懐します。2人は実は最初からお互い惹かれ合っていたのでしょう……。このドラマの学校でのシーンを見る限り、クラスの女子たちよりも天城がかわいいのはまちがいなさそうです。女子だとあざとい萌え袖も、小柄な天城だからこそ自然に見えます。
5話は2人が休日デートをする回。カフェや神社、公園などで戯れる2人。神社でどっちが多くの鯉を集められるか競争しようという天城に対し「戦いません。争いは何も生まないよ」と高良。「俺、人愛するの得意なんだよ」と、クールななかにも余裕と包容力を漂わせます。幼少期、仲間外れにされたさびしい思い出を引きずっている天城にとって、高良は愛を教えてくれる運命の相手だったのでしょう。
デート中、他のクラスメイトに見つかりそうになった瞬間があり、咄嗟に逃げる2人。もう開き直って一緒にいる姿を見せようという天城に対し、高良は「ムリ。天城と仲良いと思われたくないから」という言葉を放ってしまいます。自分に自信がない天城は高良の言葉に傷つき、「なんなら俺、学校でも挨拶ひかえるよ」と、切ないことまで言うのですが、萌えシーンの前に一回辛いシーンが来るのはBLにとって必要な反動エネルギーかもしれません。

男子高校生に愛の本質を教えてもらえるドラマ

一見冷たい高良の言葉の真意は「俺より(自分のグループの友だちが)天城と仲良くなられるのがイヤだって言ってんだよ。天城がかわいいのバレたら……」と、天城を他の誰かに取られるのを心配していたということが判明。そして2人は抱き合って手をつないで、萌えと感動がうずまくハッピーな展開に。「俺の幸せの絶対条件は、天城が幸せなことだから」と、高校生にして愛の真理を悟っている高良。このドラマを観ていると、ロマンチックに自分の気持ちを素直に告白していて、人を愛することの大切さを教えてくれているように感じます。萌えという動機で見始めて、最終的には男子高校生に愛の本質を教えてもらいました。

辛酸なめ子

イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は「辛酸なめ子の世界恋愛文学全集」(祥伝社文庫)、「女子校礼賛」(中公新書ラクレ)、「電車のおじさん」(小学館)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)など。