松嶋菜々子さん「30代は子育て中心。いい具合に諦められた」

その顔立ちと表情、立ち居振舞いから仕草に至るまで、つい見入ってしまう美しさを放ち、ひとたび話し始めると鈴を転がしたような美声に惚れ惚れ。伝説のドラマ「家政婦のミタ」から10年経っても、あの演技が脳裏に焼き付いて離れない比類なき女優・松嶋菜々子さん。子育て中心だった30代の頃を振り返って教えていただきました。

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30代は子育て中心で他者に頼っていたからこそ、すべてに感謝でした

「ジュエリーは大好きで常に何かを身につけています。私が10代で購入したティファニーのオープンハートを今は娘がつけています」

お話を伺ったのは……女優・松嶋菜々子さん

《Profile》 '73年神奈川県出身。'96年NHK連続テレビ小説「ひまわり」のヒロインに抜擢され、'97年『恋と花火と観覧車』で映画デビュー。以降、映画、ドラマ、CMなど話題作に多く出演。映画『リング』『ホワイトアウト』『眉山』『祈りの幕が下りる時』など、ドラマは大河ドラマ「利家とまつ」「魔女の条件」「救命病棟24時」シリーズ、「やまとなでしこ」「家政婦のミタ」など。

自分の予想より早い27歳で結婚しました。ドラマ「やまとなでしこ」の放送が年末に終了し、翌年から放送の大河ドラマ「利家とまつ」の撮影も始まり、仕事も超多忙な時期を過ごしていました。そもそも私は「どうしてもこの役がやりたい」と、ハングリーに仕事に向き合うタイプではなかったのですが、有難いことに20代30代は多くのお仕事をいただきました。 その過密スケジュールについていくのが大変でしたが、数多くの素晴らしい作品に参加させていただきました。それでも当時は自分の至らなさに対する不満ばかりで、どこか自分に満足できなかったんです。一見、周囲からは落ち着いていたように見えたかもしれませんが表面に出なかっただけで、私の中では「あれもしなきゃ、もっとこうしたい」と心がわさわさしていて「穏やかに過ごしたい。穏やかな人になりたい」と常に思っていました。そして30歳で長女を出産して、家庭・子育て・仕事の3つのバランスになった時、混乱するほど大変でした。 器用じゃない私はすべてを完璧にはこなせない、やれることには限りがあって出来ないことが当たり前と実感し、いい具合に諦めたんです。むしろ私をサポートしてくれる母やマネージャーの存在に「感謝だな」と気持ちが切り替わっていきました。仕事をいただけることも、子供を授かったことも、家庭が円満なことも改めて有難いと気づけて、不思議と心のざわつきが収まったのが30代でした。 そこからは自分で俯瞰で見られるようになり、今の優先順位は子育てと確信。その中でバランスよく仕事をしたいので、仕事のペースを落とすように事務所にお願いをしました。こうして仕事に対する向き合い方が変わると、気持ちも落ち着いて、今度は美容・健康面でざわざわしてきたんです。 33歳で次女を出産した時は子供に栄養を与えるばかりで、自分がひょろひょろになっちゃった(笑)。この頃、肌の変化も感じましたね。私自身は自分の加齢を認めているし、年齢に抗おうとも思っていなかったですが、周囲は今まで通りの私を求めてくるわけです。「期待に応えなきゃ」と焦らされてしまって、「昔の私に追いつかなきゃ、元に戻さなきゃ」と、ものすごく感じた時期もあり、そこのギャップに苦しみました。良いと聞いた化粧品を使ってみたりエステ方面にも頼りましたが、もがいたところで現実には子育てが大変で、寝不足になればクマができるし、食べる時間がなければ痩せるし、何も環境が変わっていない状態で何かをやっても無理なものは無理なんです。 同時に健康面でも、腰痛・肩こり・首のヘルニアに悩まされ、体調が悪かった。そんな状態になった時、体こそが資本だから、内面から健康になることが大切だと思ったのが30代半ばでした。そこで夫がお世話になっていたパーソナルトレーナに私もお願いして、骨格を整え、筋肉を鍛える筋トレを始めたんです。「最初はリハビリですね」と言われるほど、体を酷使していたことを知り、ストレートネックで頸椎がずれていることもわかりました。そこから、週2回の筋トレと同時に湯舟と水風呂を各1分6セットを繰り返す交代浴を始めると、徐々に体が変化していきました。

「着るのも見るのもファッションは大好き。20代の時のように、あれもこれも着たいとは思わなくなり、流行を多少取り入れながら楽しんでいます」

>>松嶋菜々子さんのインタビューの続きはこちらから


《衣装クレジット》 シャツ¥25,850、デニム¥41,250、ブーツ¥83,600(すべてアクネ ストゥディオズ/アクネ ストゥディオズ アオヤマ)ピアス¥19,800、ブレスレット¥79,200、リング¥37,400(すべてブランイリス/ブランイリス トーキョー)

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