夏の終わりは足がつりやすいって本当?寝ている間のこむらがえりの原因と対策を薬剤師が解説

足の攣りのイメージ写真

寝ている間に足がつって、困ったことはありませんか?急に起こる足のつりは、痛くて動けずつらいものです。とくに、こむら(ふくらはぎ)をつることが多くみられますが、ほとんどは一過性ですぐに治まります。今回は、足がつるメカニズムと予防法・治療法についてご紹介します。

足がつりやすい季節は夏と秋!

暑さが厳しい夏と、夏の終わり頃にかけては、とくに足がつりやすい季節です。その理由は発汗が関係しています。かいた汗と一緒にカルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウムなどのミネラルが排出されてしまい、電解質のバランスが乱れます。電解質は、神経伝達物質や筋肉の調整をしているため、バランスが崩れると筋肉の過剰収縮や痙攣が起こってしまうのです。

また、脱水症状や冷房などによるからだの冷え、暑さで運動不足になりがちなことも足がつる要因になります。

足がつりやすくなる原因は?

足がつりやすくなる原因はひとつではありません。いくつかの要因が重なって発症していることもあります。以下では、足がつる原因をピックアップしましたので、当てはまるものがあるかセルフチェックしてみてください。

脱水や水分不足

脱水や水分不足になると、筋肉の代謝が低下します。水分不足になると、筋肉の収縮に関わる電解質やミネラルバランスが崩れ、足がつりやすくなります。

筋力の低下

運動不足や加齢による筋力の低下は、足がつる大きな要因です。自分の筋肉量に見合わない運動をすると筋肉が疲労し、痙攣が起こります。

過度の運動

激しい運動や、いつもは使っていない筋肉を酷使すると、筋肉ははやく疲労してしまいます。また、からだに緊張状態が続いたときや、力が入り過ぎたときにもこむらがえりが起こりやすくなります。

薬剤の服用

薬によっては、足のつりを起こしやすくするものもあります。たとえば、利尿作用のある薬、腎臓病の薬、肺炎の薬などがあげられます。ただし、足がつるからという理由で服用を中止はしてはいけません。

寝ている間の足のつりを予防する方法

足のつりを予防するには、水分補給や運動と休憩のバランスに注意するのが効果的です。運動をする際には、適度な休憩と水分摂取をしながら、自分の体力や筋肉に合わせて行いましょう。

水分や電解質を摂る

汗をかくとミネラルバランスが崩れ、脱水症状も起こりやすくなります。水分摂取は大切ですが、単純に水だけを摂取しても電解質が補えないため、経口補水液やミネラルを含むドリンクを飲むとよいでしょう。

水分であっても、お茶やコーヒーといったカフェインを含むものやアルコールなどを飲むと、利尿作用で脱水になることがあるので注意してください。

適度な運動をする

年齢とともに、筋肉量は低下してきます。筋肉の量が減ると、血行不良やそれに伴う冷え性、脱水症状なども引き起こりやすいため、足もつりやすくなります。適度な運動を心がけ、筋肉を維持しましょう。

からだをあたためる

からだが冷えると、血行不良や筋肉が収縮する原因になります。運動するときは、血行が悪い状態で開始しないよう、ストレッチや体操などでからだをあたためてからはじめましょう。

つらい足のつり改善は漢方薬を試してみても

足がつる原因である、ふくらはぎの筋肉の過剰な縮みを防ぐためには、水分の循環をよくしなければなりません。そのため、運動中や就寝中の脱水を防いだり、血行をよくしたりして、ふくらはぎの機能を回復させることを目的とした漢方薬を選びます。

血行がよくなることにより、筋肉に必要なミネラルや水分、栄養が届けられ、筋肉の痙攣や痛みを根本から改善するのです。

たとえば、足のつりには「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬が効果的なのは広く知られています。足のつりは、筋肉のカルシウムイオンとカリウムイオンのバランスが崩れ、過剰に収縮することで起こります。芍薬甘草湯は、イオンのバランスを正常にする作用があり、過剰な収縮指示を出す神経伝達物質を遮断して、足のつりを改善します。

「芍薬甘草湯」以外も!足のつり改善におすすめの漢方薬

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)


芍薬と甘草の2つでできています。芍薬のペオニフロリンと、甘草のグリチルリチンには筋肉の収縮を抑える働きがあり、足のつりに効果的です。また、芍薬には鎮痛作用や血管拡張作用、甘草には抗痙攣作用や抗炎症作用があり、これらが働くことでこむらがえりに効きます。

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四物湯(しもつとう)


体力が低下して、冷え性で皮膚が乾燥している人に向いている漢方薬です。とくに女性に多く使われています。甘草が含まれていないため、偽アルドステロン症の副作用の心配がなく、高齢女性のこむらがえりへの使用経験例があります。

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疎経活血湯(そけいかっけつとう)


血液や水分の巡りを改善し、急性から慢性の痛みまで幅広く用いられています。余分な水分を取り除いたり、血液の循環を改善したりする生薬が含まれており、関節痛にも効果があります。こむらがえりにおいて、芍薬甘草湯が無効であった症例に有効だった報告もあります。

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このように、こむらがえりに用いられる漢方薬はさまざまなものがあります。しかし、性別や年齢・体質によって使用する漢方薬はかわります。

どの漢方薬が自分に合っているのかを見極めるためには、漢方に精通した薬剤師の力を借りるのもおすすめ。最近では、オンライン上で漢方の相談ができるサービスもでてきています。

漢方に詳しい薬剤師がAIを活用し、個人に効く漢方薬を見極めてくれ、お手頃価格で自宅まで郵送してくれる「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

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日頃から水分やミネラルのバランスを意識して

足がつる要因のひとつには、ミネラルバランスの乱れがあげられます。しかし、ミネラルは体内で作ることができず、食事から摂取するしかありません。とくに、海藻類やゴマなどに多く含まれているため、これらの食材を積極的に取り入れましょう。また、脱水防止のためにこまめな水分摂取を行い、生活習慣を見直すなど、手軽にできる身近なことから意識して、足のつりを防止していきましょう。

<この記事を書いた人>

あんしん漢方薬剤師 相田 彩さん

薬剤師 相田 彩
薬剤師。昭和薬科大学薬学科卒業。
総合リハビリテーション病院、精神科専門病院、調剤薬局に勤務するなかで、漢方薬が使用される症例の多さと、体質や症状に適した漢方を使用することの重要性を実感する。漢方薬の力をより多くの方に広めるために、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選び、お手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」で情報発信をしている。

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