広末涼子さんのママエッセイ「そもそも、私たちが目指すべきは本当に”両立”……!?」

高校生、小学生の3人の子どもを育てながら、女優としても輝きを放つ広末涼子さん。毎月〝思春期ママ〟たちと思いを共有する場となる連載エッセイ。前回に続き私たちの大問題「仕事と子育ての壁」をテーマに語ります。

▼前回の連載は
広末涼子さん、仕事と子育ての壁。自己実現に伴う高いハードルをどう乗り越える?


家事に育児に仕事……。 頑張る後ろ姿を、きっと 子どもたちは見ていてくれる

先月号に引き続き、ママたち私たちの永遠のテーマである〝仕事と子育ての両立〟について

そもそも〝両立〟って、皆さんはどんな風にお考えですか? どちらも、うまくいっていること! 両方を成立させること! 自分にとって欠くことのできない大切な両輪(二つの物事)が同時に支障なく成り立つこと、それが両立(皆さんもご承知のとおり)。

けれど私は今、というか最近、〝両立させる〟ことが大切なのだろうか? そして、可能なのだろうか? 二つとも上手くやろうとするから(ちゃんとやらなくてはいけない、と思うから)ママは大変なのではないか? 家では家事&育児、現場(会社)では仕事の山積みの日々に心もカラダも疲弊してしまうのではないだろうか……と考えるようになった。

というのも実際のところ、私自身やりすぎて、体調を崩したり辛くなったり失敗の連続で行きついた先が、この答え! (この考え方)なのだけれど(笑)。

だってパパたちは仕事を頑張っていればそれでいい。家族のために働いてくれて、稼いでくれて、家計を支えてくれてありがとう。十二分なのだ。だが、私たち母親はどうだろう? 家族のために、掃除、洗濯はもちろん料理するのも当たり前、子どもの身支度、学校のこと、習い事の送迎、季節の行事……と膨大な量の母親仕事に加え、自分の仕事も現場のみならずオンライン会議や自らも勉強、自宅にも持ち帰らなくてはこなせない仕事量。

こんなに頑張っているのに、子どもたちには「ママ、忙しくてゴメンね」と内心謝っている毎日。こんなのおかしい! おかしいではないか(涙)

そして、思い出したことがひとつ。「お母さん、謝っちゃダメですよ。ママは○○くんのためにお仕事頑張っているんですから! ゴメンね……は無し! ですよ」

長男がまだ2歳、私が仕事復帰したばかりで、毎日託児所にお迎えに行く度「ゴメンね、遅くなって」「会いたかったよーゴメンね~」と言っている私に、園長先生が投げかけてくれた言葉。

ハッとした。そうか、ゴメンねじゃなく、〝ありがとう〟なんだって。ありがとう、あなたのおかげでママはお仕事頑張れるよ、あなたのために頑張ってるよ! ママの働く背中、しっかり見ていてね。なんだなって。

今年の私の誕生日、子どもたちからもらったBirthdayカード、長男からのmessage。「42年間、頑張ってくれてありがとう。一番身近に、一番尊敬できる人がいて幸せだし、エネルギーになってます。俺は18年間育ててもらって、母として一人の人間として、尊敬してる。まだ人生の半分、分岐点だから少し休んで。俺が頑張って稼げるようになったら、ペットでも飼ってゆっくりしてよ」

大変すぎて嵐のように過ぎてゆく毎日が、急に、雲がピンク色に染まる夕暮れ時のマジックアワーに変わったみたいだった。全ての疲れや悩みが、いっぺんに洗い流されたような気がした。

ママ業は、感謝されるためにやっているわけではない。褒めてもらいたいわけでもない。ママの仕事こそ、無償の愛だと私は思う。でも、そう思ってやってきた先に、こんなメッセージ、こんなご褒美があるだなんて。明日から、もうひとガンバリ! できる気がする。

〝両立させる〟ではなく、調和させる、もしくは併存、同時進行! で、いいではないか。きっとその先に頑張る全てのママに光が差すはずだ。

〈次回へつづく〉

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広末涼子

1980年高知県生まれ。14歳でデビュー後、CM、ドラマ、映画と数々のヒット作に出演。日本アカデミー賞をはじめ受賞歴も多数。初の書き下ろしエッセイ『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』(宝島社)発売中。ドラマ「ユニコーンに乗って」(TBS系・毎週火曜)に出演中。

ブラウス¥27,500スカート¥37,400(ともにウィム ガゼット/ウィム ガゼット 玉川髙島屋S・C店)ジャケット¥55,000(コラム/エストネーション)バッグ¥48,400(ヴァジック/ヴァジックジャパン)ピアス¥35,200(MAAYA)

モデル&文/広末涼子 撮影/三瓶康友 ヘア・メーク/MAKI スタイリスト/竹村はま子 取材/奥村千草 ※情報は2022年10月号掲載時のものです。

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