社長兼カバーモデル申真衣さん「私が不妊治療で重視したこと」【お金連載⑭】

撮影/倉本侑磨<Pygmy Company>

子育てを通して今まで以上にお金の大事さを実感するようになったけど、お金の使い方や貯め方なんて学校では教えてくれなかったし、みんなはどうしているの……?そんなママたちの悩みにこたえるべく、元外資系金融会社勤務、現在は社長としても活躍されているVERYモデル・申真衣(しんまい)さんに、毎月読者から寄せられたお金に関する質問に答えてもらうコラム連載。第14回は「妊活・不妊治療」がテーマです。(過去の連載はこちらから)

 

【第14回】今月の質問

2人目がなかなかできなくて、病院に行こうか悩み中。不妊治療って時間もお金もかかりますよね?

 

不妊治療で重視した「1秒も無駄にしない」こと

 

私も不妊治療経験者。経験者どうしで話すと必ず出るのが「お金をかけ出すといくらでも使ってしまうよね」という話。だからこそ、始める前に年齢や予算で期限を決めておくことをお勧めします。我が家が何より重視したのは「1秒も無駄にしない」ということでした。

私が本格的に不妊治療したのは第二子の時。第一子は結婚から半年経っても妊娠しなかったので病院に行き、いくつかの検査や卵管通水を経て約半年後に自然妊娠しました。その経緯もあり、2人目を考え始めた2017年冬にあらためて病院で検査を受けました。血液で卵巣年齢を測る検査を受けたところ、なんと40代半ばという結果。2年前は20代という数値が出ていたので、これには焦りました。すぐに積極的な治療に取りかかろうと思いましたが、その病院の方針や我が家が希望するタイミングが合わず、一旦断念。気持ちは急いていたものの、自分がまだ不妊治療についてよく知らないと感じたので、1年ほどはデータを調べたり経験者に話を聞いたりして知識を蓄えました。

新しくかかった病院は、知人に紹介してもらったところ。「とにかくせっかちな人に向いている」と勧められた通り、話が早いんです。一般的に不妊治療はタイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精というステップを踏んでいきます。でも私は卵巣年齢が高いなど、いろいろな懸念事項があって時間がかかりそうな予感がしていたので、当初から顕微授精を希望しました。

19年の夏から4回採卵し、顕微授精を経て20年の3月に妊娠。短期間で4回の採卵は、人と比べるとかなり多いほうかもしれません。卵子が育ちにくいことも分かっていたので、最初から注射などで強く刺激して、できるだけ多く採卵できるようにお願いしていました。薬が合わずに体調を崩したことも何度もあり、なかなかつらい経験でしたが、救いになったのは先生との相性の良さでした。私が忙しく働いている状況も理解してくれたうえ、時間をかけたくないという思いも汲んでくれました。

いつか第三子が欲しいと思っているので、出産後に生理が戻ってから通院を再開して採卵し、受精卵を保管しています。いつか準備が整ったら、また同じ病院で治療しようと思います。

第2子妊娠中のマタニティ企画の1カット。撮影/西崎博哉〈MOUSTACHE〉

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待ち時間、治療方針…いい病院の基準は人それぞれ違う

 

不妊治療の経験を話すと「どこの病院にかかったらいいですか?」と聞かれることがよくあります。でも自分が何を大事にしているかで、いい病院の基準は変わると思います。お金に関しても、どんな治療を望むか、合っているかは人それぞれ違います。それに、私が治療したのは保険適用になる前。今とは大きく流れが異なると思います。さらにあくまで私個人の体験だと思って受け止めてくれるとうれしいです。

保険適用前の治療時は採卵に大きなお金がかかりました。だから採卵の回数を減らすのが、節約ということになります。排卵誘発剤を使わないような低刺激の治療法もありますが、卵子の数が取れないと結局時間もお金もかかると分かっていたので選択しませんでした。また自然妊娠と顕微授精のリスクの違いなどもはっきりとデータで出ているので、それも参考にしました。こうしたデータは病院で聞くこともできますし、自分で調べることも可能です。

「ステップを踏んで進みたい」「自然周期から挑戦したい」という人は、そうした気持ちを大事にしたほうがいいと思います。私の場合は、ひんぱんに病院に通うことを考えて「話していてもイヤな気持ちにならない先生」を選ぶことを重視しました。初診までの時間や、診察の待ち時間などの条件を見比べてもいいと思います。また、保険適用になったことで治療のハードルが下がった人も多いかもしれません。でも、それゆえにスピード感のある治療が難しく、結局自由診療を選んだという話も聞きます。夫婦の方針や先生のアドバイス、金銭的な問題なども考慮したいところです。

気をつけたいのは、人の話を参考にしすぎないこと。誰かがその病院ですぐに結果が出たからといっても、それはあくまでその人の結果。一つのサンプルを鵜呑みにして転院を繰り返し、時間ばかり取られてしまっている人も少なくはない気がします。とはいえ人に話すとラクになれるので、積極的に打ち明けるのは一つの手。不妊治療をしている、もしくは考えていると話すと「実は私も……」と教えてくれる人も結構いるんですよ。

 

治療開始は「パートナーと気持ちをそろえてから」

 

撮影/西崎博哉〈MOUSTACHE〉

不妊治療中は体調面ではもちろん、精神的にもつらいことがたくさんありました。期待して裏切られるということも何度も繰り返しました。そんなときに意識していたのは、子どもがほしいと思いすぎないことでした。これは第一子妊娠前から意識していたこと。子どもがいたらうれしいけれど、いないから今が不幸というわけではないんですよね。子どもがいなくても夫婦の時間を大切にしたらいいし、人の子どもをかわいがってもいいと思うんです。

 

自分だけがほしいと思って治療をスタートするのも止めたほうがいいと思います。パートナーが乗り気ではないのにスタートすると精神的にもきついうえ、不妊の原因が相手にあった場合は費用面、期間面でも遠回りしてしまう可能性があります。

 

今はまだ子どもを考えていないとか、積極的な治療は始めなくてもいいと思っている人でも、婦人科にかかって検査しておくといいと思います。特に生理が来ない、不順の人などは理由を確かめておくだけで、のちのち役に立つかもしれません。

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