女医が薦める「三大漢方薬」から更年期ケア始めてみるの、ありです

更年期になると、のぼせやほてり、倦怠感やイライラなど、心身ともにさまざまな不調を感じるように。「そもそもこれって更年期症状なの?」という悩みから、適した漢方薬の選び方など、更年期世代ライター沢が産婦人科医の丸田佳奈さんに聞いてみました。

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産婦人科医・タレント 丸田佳奈さん(41歳)

日本大学医学部卒業。産婦人科医の立場からテレビや雑誌など、幅広いメディアで情報を発信。著書に「キレイの秘訣は女性ホルモン〜女医・丸田佳奈が答える47の悩み相談〜」(小学館)。プライベートでは1児の母。

1.【更年期症状を見分けるポイント】は?

ライター沢(以下沢) 私はもうすぐ47歳になるのですが、最近生理が不順になってきて更年期が始まったのかなぁと感じます。他にも寝つきが悪かったりと「更年期症状」と言われる症状を感じるのですが、対処すべきでしょうか?

丸田さん(以下医師) よく患者さんも誤解されているのですが、「更年期」と「更年期障害」は別物です。「更年期」は閉経する女性は必ずある期間のことを指しますが、「更年期障害」かどうかはご本人がその症状で困っているかがポイントになってきます。
沢さんのように更年期になると生理不順になる方は多いのですが、それによって生活に困っている訳ではなく、がん検診の結果も問題ないようなら、何もしなくても問題はありません。
反対に、ホットフラッシュが酷く、夜中に起きて汗びっしょりになってしまう方などは、生活に支障をきたしているようでしたら、病院を受診して「更年期障害」の治療をスタートする事になります。

 なるほど!では、病院に行くほど困ってはないけれど、以前と体調が違うと感じ始めた方にオススメの対処法はありますか?
漢方薬がいいという話をよく聞くので、薬局で買って飲んでみる、というのもありでしょうか?

医師 そうですね。薬局に行くといろいろな漢方薬が売っているので、薬剤師の方に症状を説明して、自分に合う漢方薬を案内してもらうのももちろんいいと思います。

 近所の薬局でも手に入るのは嬉しいですね。漢方薬を飲むメリットはどのようなものでしょうか?

2.【漢方薬を飲むメリット】は?

医師 まず、漢方薬は知名度が高く、安心して飲むことができます。薬局で販売している漢方薬は基本的に日本の大手メーカーが製造していて、生薬の配合比率はメーカーによって若干異なりますが、治療効果への影響はそれほどありません。どれも「日本薬局方」の基準を満たした処方構成になっているので安心です。
次に、副作用が比較的少ないこと。漢方薬と聞くと「副作用がない」と勘違いされている方もいるかと思いますが、決して副作用がゼロではありません。(含まれている生薬が重複することがあるため、複数の漢方を同時に服用する際には注意が必要です。)
そして、いくつもの生薬をブレンドして作っているため、1つの薬を飲むだけで幅広い症状に対応することが可能です。様々な症状が現れる更年期障害と漢方薬は、相性がいいんです。
最近は漢方が更年期障害に効くというエビデンスも揃ってきています。また「ホルモン補充療法」などの他の更年期治療とも併用することが可能なのもメリットのひとつです。

3.【漢方薬を飲むデメリット】はある?

 反対にデメリットはありますでしょうか?

医師 デメリットとしては、沢山の種類があるため選択が複雑なこと。更年期障害は、痛かったら痛み止め、のような単純なものではありません。本来であれば、漢方医のところで患者さんの体質や現在の体調を診たうえで処方するのが理想ではあります。
また、即効性がある薬ではないのでしばらく(2~3カ月程)服用してから自分に合っているかを見極めなければいけないこと。そして、人によってはやや飲みにくい感じる方がいることです。

 更年期に効く漢方薬というと、具体的にどのようなものがありますか?

医師 婦人科3大漢方薬と言われているのが、「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」です。

4.疲れ、冷え、むくみには【当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)】

医師 当帰芍薬散は、疲れやすい、冷えやすい、むくみやすい方におすすめの漢方薬で、多くの方に効く万能薬とも言われています。

5.精神症状には【加味逍遙散(かみしょうようさん)】

医師 当帰芍薬散の症状に加え、あれもこれも色々な症状が出る方、また症状が変わりやすい方、イライラ、涙もろい、不安、眠れないなどの精神症状を伴う方向けです。

6.汗の症状には【桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)】

医師 比較的体力があって、のぼせやホットフラッシュなどの汗の症状がメインの方におすすめの薬が「桂枝茯苓丸」です。

 まずは2~3カ月続けてみることが大事ですね。

医師 市販の漢方薬を飲んでも症状が改善しなかったり、あまりにも症状が重すぎて困っている場合などは、一度婦人科を受診してみてください。また、更年期障害以外の別の病気が隠れている場合もあるので、定期検診はしっかり受けておくことをオススメします。

 更年期といっても、症状によって日常生活に支障が出る人もいれば、気にならない人もいる。まわりの情報に振り回されることなく、自分自身が日々過ごしやすくなるよう、対処法を考えていけるとよいですね。

取材/沢 亜希子

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