細川モモさん「妊娠出産は、漠然と考えていてはいけないテーマだと思う」【素敵な40代が、30代にしておけばよかったこと】

今の自分より、少し上の世代の素敵なひと。そんな人に「こんなとき、どうしましたか?」と聞きたくなるときがあります。30代は、人生のいろいろな選択肢があるからこそ、迷うとき。先輩たちがCLASSY.世代のために、失敗も葛藤も包み隠さず教えてくれました。

“妊娠・出産は、漠然と考えていてはいけないテーマだと思う”

【予防医療コンサルタント】細川モモさん

仕事大好きなタイプだけれど、子どもを持ったらもっと欲しくなりました

自分ごとで30代でしておけばよかったと思うのは、卵子凍結です。幸い私にはふたりの子どもがいますが、将来の選択肢を広げるという意味でもしておけばよかったな、と。どちらかというと私は仕事人間だったので、子どもを産むまでは自分は子育てに生きがいを見出せるタイプじゃないと思っていたんです。ですが、実際に子を持つとやっぱり可愛くて、3人目も意識するんですよね。もし30代で卵子凍結をしていたら選択肢のひとつになっていたかも、と考えることも。月経不順で妊娠しにくいかもしれない、結婚する年齢が遅いかもしれない、と卵子凍結をする人も多いと思いますが、私のようにひとり産んだらもっと欲しくなる可能性もある。将来の自分に選択肢を残してあげるために卵子凍結を選択してもいいんじゃないかなと思います。

漠然と考えていたら期日を過ぎていた、ということだけは避けてほしい

日本人女性は年齢相当の卵子数が少ない人が目立つことに興味を持ち、30代のときに「卵巣年齢共同研究プロジェクト」を実施しました。20〜30代の未婚女性に参加してもらい、AMH(アンチミューラリアンホルモン。発育過程にある卵子から分泌されるホルモンの数値を測り、卵子の数に目安をつける)を検査したのですが、40代や50代相当の卵子数しか残っていない人が結構いたんです。数値が低くてもタイミングが合えば妊娠の可能性はありますが、卵子の数を増やすことはできません。検査結果を渡すと泣いてしまう人もいましたが、そこまで身近ではなかった結婚や妊娠を真剣に考えて、婚活を始めた人がたくさんいたんです。この経験を通して、女性は産むか産まないか選択肢があるうちは迷うけど、「自然妊娠が難しいかもしれない」と突きつけられたら結構な数の人が産む選択をするんだな、と。自分の身体のデータを数値で突きつけられると、本当の願いが見えてくるんですよね。もちろん、突き詰めた結果、産まないという選択をしてもいいんです。子どもがいない人生も豊かだと思うから。でも、妊娠・出産を漠然と考えて向き合わなかったが故に、気付いたら期日を過ぎていた、ということだけは避けてほしい。分かっていれば備えることもできるから、30歳のタイミングなどでAMHを調べてみてもいいかもしれません。後悔しない生き方をするためには、自分の体の生殖能力を正しく理解して、もやっと引いてるリミットをちゃんと引き直すことも必要です。

とはいえAをA+にするくらいでいい

健康を壊してしまうと働けなくなるし、産むこともできない。そしてそのツケは誰も払ってくれない。将来に備えて投資をするように、健康も貯蓄と捉えてメンテナンスして長くもたせることが重要です。CLASSY.世代は多少の無茶が利く年代ですが、ぶっ飛んだ生活はなかったことにならないことは知っておいてほしい。だからといって、365日完璧な食生活をしましょうとか、仕事をセーブして丁寧な生活を送りましょうと言いたいわけではないんです。30代は仕事も忙しい時期だと思います。居酒屋でもコンビニでもいいから、選ぶものを好きなものを半分、体にいいものを半分にするとか、パスタに温泉卵をプラスしてみるとか、デザートをオイコスに替えてみるとか、AをA+にするくらいでいい。将来の自分が喜ぶ選択を少しずつ意識するだけで、未来は必ず変わります。ただ、無意識と無知が一番怖いから、体にいい食べ物や自分に必要な栄養素の情報は持っておくべき。今はたくさんの選択肢が提示されているけれど、選択の責任は自分で負わないといけない。後悔することがないように学ぶ必要があるし、正しい情報をキャッチしてヘルスリテラシーを高めておくことが不可欠です。

【細川モモさんの30代キャリア年表】

32歳:結婚。三菱地所とともに働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープン
33歳:第一子出産
34歳:『成功する子は食べ物が9割』を出版
34歳:出産
37歳:第二子出産
39歳:『生理で知っておくべきこと』を出版

細川モモさん 1982年生まれ
予防医学に関心を持ち、米スタンフォード大学で講義を受けていた頃。アメリカでは20代でAMHの検査を受ける女性も多く、生殖年齢から逆算して、出産してから社会に出る人も。

細川モモさん
1982年生まれ。東京都出身。両親のがん闘病を機に予防医療を志し、渡米。最先端の栄養学を学ぶ。2009年に医師・助産師・管理栄養士・博士などの専門家からなる母子健康推進活動を目的としたプロジェクトチーム「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。「卵巣年齢共同研究プロジェクト」をはじめ、大学、病院、企業などと共同で研究、論文発表を続けている。インスタは@momohosokawa

撮影/水野美隆 ヘアメーク/Ryo 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc