我が子の「発達」が気になったとき、親ができること

多様な価値観が尊重される今、親子で「子どもの発達の特性の違い」を話し合うことはとても大切なこと。もし、わが子や友だちの 「発達」が気になった時、私たち親は何ができ、子にどう伝えていったらよいのか、STORYが全力で考え、取材しました。

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STORY世代のママたちの、子どもたちの「発達」に まつわる日々の 悩み

「LITALICO 発達ナビ」編集長 牟田暁子さん

大学生の長男、先天性の身体・知的障害のある中学生の長女のママ。発達が気になる子どもの保護者や支援者向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」は、保護者によるコミックエッセイから専門家監修の基礎知識まで幅広い記事を配信。ユーザー同士が質問し相談し合えるQ&Aや、コミュニティ、発達支援施設検索、子育て記録がとれるダイアリーなども利用できます。https://h-navi.jp/

<STORY世代のママたち>(手前)

右/金子みずきさん(仮名・42歳) 
3人姉妹の母。次女に発達の特性があり。幼少期から他の子との違いに悩み、今後の進路について心配している。

中/多田涼子さん(仮名・44歳)
一人っ子男児の母。息子のクラスメートに発達が気になる子がいて、息子にどう伝えたらよいのか思案中。

左/生田春香さん(仮名・45歳)
2人姉弟の母。近所に住む従弟に発達の特性があり、幼少期より子ども達は一緒の環境で育っている。

発達障害の娘は、クラスでできないことが増えて辛そうでした

金子 
娘は、学年が上がるにつれ、上手くできないことが増え、自己肯定感が低くなっていると感じます。

牟田 
実は子ども自身がとても悩んでいるんですよね。自分は人よりできないことがあると。親が担任の先生に特性をお伝えして、協力を仰ぐのも一つの対応策です。クラス内の掲示物が多すぎて授業に集中できないなら、飾り方を工夫していただくとか、どうしても授業を受け続けるのが辛そうな時は、他の部屋で落ち着かせる時間を作ってもらうとか。

金子
教室の環境についてなども相談してよいのですね。また、娘は、お友だちとのコミュニケーションにも難しさを感じているようです。

牟田
相談してよいと思います。友だち関係については、急にコミュニケーションをとろうとしても難しい場合がありますね。ツール(同じ話題や趣味)があると仲良くなりやすかったりしますよ。たとえば、漫画やアニメ、ゲームなど、友だちが好きなものを聞いて、それについて親子で一緒に見てみるとか。知識があると自信がついて会話しやすくなり、仲良くなることもあるので、トライしてもいいかもしれません。

子どものクラスに発達が気になる子が いるけど、どのようにサポートすればいい?

多田
クラスに発達が気になる子がいます。息子にどうサポートしたらいいと伝えるべきか悩んでいて。

牟田 
元々サポートするのが好きな子だったら、助けることは苦ではないと思います。自分ができる範囲でこの部分はサポートできるけど、ここは自分のことに集中したいなど、先生と相談するとよいと思います。

多田
パパが授業の遅れや息子への影響を心配しているのですが……。

牟田
親が勝手に大変だ、問題だと決めつけるのではなく、お子さん自身がクラスメイトのことをどう感じているかをまずよく見ることが大切です。実際に負担に感じているようであれば、子どもだけに任せるのではなく、仕組みでも解決すべき。お父様が主体的に考えてくださっているのなら学校側に仕組み作りの提案をするのもいいと思います。

親戚に発達障害の子がいるからか、息子はフラットに友だち関係を築いています

生田 
うちの息子は特性がある従弟と一緒に育ってきたからか、偏見なく友だちを受け入れています。

牟田 
特性があるのは不幸なことではないし、子どもは同情はされたくないんですよね。相手の気持ちは子どもに伝わっています。友人としてフラットに接する、困っていることがあったら親切にする。自分もそうされたら嬉しいですよね。

PTA役員になるのも◎ 。学校に行く機会も増え、先生方やママたちとの関係構築にも

金子 
娘が周囲に迷惑をかけているかと思うと、私自身が学校行事に対して苦痛に感じる時があります。

牟田 
私の場合ですが、「わが子は苦手なことがあり、こういう特性があります」と最初の保護者会で話をしました。また保育園時代は率先してPTA役員などをしていました。園に行く機会が増えて、子どもの様子を垣間見られたり、担任以外の先生ともお話しできるので、学校でも役員をやると、先生方へ相談できる機会も増えると思います。

金子 
親同士の交流も増えますね。

牟田
はい。内にこもるより外に出て他のお母さん方とお話しする方が気が楽になって救われますよね。「どう接すればいいのか」がわかれば差別や偏見もなくなり、助けてもらえることも増えると思います。

金子
これからはもっと周りのママたちにも話してみようと思います。

多田
私も息子に友だちとしてフラットに接して、互いに困っていることがあったらサポートし合うことが自然なんだと話したいです。

(敬称略)

わが子や友だちの「発達」が気になったら、まずは知っておきたい 3POINTS

<わが子が気になったら……>

子どもがどうしたいのか、何に困っているかを聞いてみる

何事も子どもの意思を聞いて。進路等でも子ども自身で選択を。うまくいかなかった場合には、別のプランを提案できるよう情報収集をしておけばよいと思います。

親子で孤立しないよう、周囲とのコミュニケーションを取り続ける

家族で抱え込まず、カウンセラー、先生等に相談し、助けてもらいやすい環境を作っておくこと。「発達ナビ」のQ&Aコーナーなどを活用し情報を得ることも◎。

必要な環境調整を先生や周囲にお願いしてみる

たとえば、教室に情報が多いと集中できない場合に、掲示物の場所を工夫してもらうことや、少し落ち着ける時間を作ってもらうなど相談するのもよいですね。

<クラスの友だちだったら……>

学校生活において何が大切なのか、家族で話し合う

さまざまな人がいて多様な価値観を知る、友だちと助け合うことで心が成長するなど、学校で学ぶことは勉強だけではありません。家族でも話してみましょう。

当事者のママや友だちとフラットな関係を築く

発達が気になる子のママとも、フラットに付き合っていけたらいいですね。「凄い才能があるの?」など聞くことは逆に傷つける場合もあります。

違いがあることが当たり前ということを親子で考える

子ども自身も、発達特性でなかったとしても、社会生活でなんらかの「違い」に悩んでいるかもしれないので、わが子の気持ちを傾聴する時間を作ってみて。

撮影/嶋野 旭 取材/田路暢子 企画監修/LITALICO ※情報は2023年1月号掲載時のものです。

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