堀田茜さん&辻愛沙子さんジェンダー座談会!「男性にたくましさを期待してしまう自分にモヤモヤする」

堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな疑問を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載2回目!この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!

男性に〝たくましさ〟を期待するのって、ダメですよね?

今回のゲストは...辻 愛沙子さん

【今月の茜のモヤモヤ案件】 素

【今月の茜のモヤモヤ案件】
素敵なお店をサプライズで予約してくれたり、知らないうちにお会計が済んでいたり、花束をもらったり…そんな〝男前〟なエスコートに憧れてしまう自分がいて、モヤモヤします。対等なパートナーシップが理想で、自立した女性でありたいのに、なんだか矛盾している気がして罪悪感さえ抱いてしまいます。こんな気持ちにどう向き合えばいいですか?

ジェンダー問題にも詳しい辻愛沙子さんに恋愛のジェンダー論も聞きたい(茜)

茜:辻さんの発言力、発信力、情報の取捨選択や、SNSとどう向き合っているのかを知りたくて、すでに30分以上喋りましたけど(この内容はCLASSY.ONLINEで公開予定)、ジェンダー論についてもTwitterなどでよく発信されていますよね。実は恋愛面でのジェンダーで私が悩んでいることを聞いてほしくて。

辻:恋愛話、メディアではあんまり語る機会がなかったので嬉しい!

茜:よかった!今って男女差別をなくそうという声から「男らしさ」「女らしさ」の枠を外し、その人の個を見ようという流れですよね。私もそうあるべきだと思っています。私自身も女だからという理由で料理や掃除をしてほしいと押しつけられるのが嫌なタイプなので…。

辻:私もそうですよ。女性=料理をする生き物、のレッテルから逃れたくて頑なに料理はしないと意固地になっていた頃もありました。前にお料理教室をwebで調べてみたら「花嫁修行」という言葉が乱立していて、料理=花嫁か…とゲンナリしてさらに距離を取りました(笑)。いざ料理しはじめてみたら楽しくて、今は大好きですけどね。

茜:わぁわかります。だから私もこれまで「男らしさ」とされていたことを求めるのはよくないと思い直して。でもやっぱり、食事の約束をしたときにお店を予約してくれていて、サプライズで花束をプレゼントしてくれたら素敵な人だな〜って思うし、できればときどきはそういうことをしてくれる人がいいなと思う自分もいて。でもこれって、女だからお料理しろ掃除しろって言われていることと同じなのかなと…。そう考えだしたら止まらず、最近の大きな悩みです。

辻:めっちゃわかるなぁ。でもどういう人が好きかは〝らしさ〞を求めることとはまた別の話。たとえば料理ができる男の人が好きとか、知的な男の人が好きだという〝好み〞は、世間的な男らしさを語るのとは違ってあくまで自分の好みですよね。それと同じで、強い人が好きとか、頼れる人が好き、というのも、〝男だから〞そうであれとレッテルを貼って相手に求めるのは個を無視した押しつけだけど、パートナーのそういう〝個性〞が好きというのはあくまで個人としての好みであって自由だし、性別関係なく相手の魅力であることには変わりないと思うんです。

茜:あー…そう言ってもらえてすごく安心しました。こういう男性だといいな、と憧れの気持ちを抱いてしまう私って愚か者なんじゃないかとか考えこんでしまっていたので。たくましい人が好きなんですけど、でもよく考えたら女性でたくましい人も好きなんですよね。そして自分もたくましい人でありたい。

辻:自分も、って素敵ですね!堀田さんもこういうことに悩むんだと親近感がわきました。

平等ではなく公平でいられるようパートナーと話し合えるのが一番いいと思います(辻)

茜:私は辻さんがそういうふうに自分の考えが整理されていることにも憧れていて。パートナーともそういう話はするんですか?

辻:しますよ!こういうジェンダー論もそうだし、時事ニュースについてもどんな考えを持ったか対話ができる人が好きです。ただジェンダー論については、男性が悪い、ということではなくあくまで社会構造の問題として話すようにしています。男である彼が悪い、ということでは当然ないので。あとは、お互い平等でなく、公平になるようにという話し合いがうまくやっていく秘訣だと思っています。

茜:平等と公平の違いって?

辻:たとえば収入の比率が7:3の恋人同士がつき合ったとして、収入の額がどんなに違ってもデートにかかる費用を5:5で負担することが平等。お互いの状況に応じて7:3で負担することが公平。そこをどうしていくか毎回パートナーと相談しながら決めていくようにしています。平等がいいか公平がいいかは関係性によりますけどね。前につき合っていたパートナーには収入を開示していて、当時相手のほうが稼いでいたし、公平がいいねと話し合ってそういう取り決めにしていました。

茜:あぁ〜そういう話し合いをすれば恋愛の悩みがよりクリアになりそう。平等と公平は違うって、いいですね。考えてなかったわけじゃないけど、そういう言葉を自分のものとして持つことでこの先恋愛をどうしていけばいいか考えやすくなりそう。

株式会社arca 代表/クリエイティブディレクター・辻 愛沙子さん
1995年11月24日生まれ。社会派クリエイティブを掲げ「思想と社会性のある事業作り」と「世界観に拘る作品作り」の二つを軸として広告から商品プロデュースまで領域を問わず手がける越境クリエイター。リアルイベント、商品企画、ブランドプロデュースまで、幅広いジャンルでクリエイティブディレクションを手がける。報道番組news zeroのレギュラーコメンテーター。Twitter@ai_1124at_

撮影/杉本大希 モデル/堀田 茜 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc